プロゴルファー祈子の元になったと言われる「不良少女とよばれて」

◆内容
プロゴルファー祈子・ 全話の要約です。
テレビでは1987年10月21日から1988年4月20日まで放映(昭和62年10月~昭和63年4月)

◆状況
DVDが出ておらず、Netflix、Huluやアマゾンプライムなどの見放題プラン、光TVのリストにも存在しないので2022年以降に見ることは著しく困難。
たまに違法アップロードもあるが、短期間で消滅することが通常。
不良少女と呼ばれてと似ているから版権の関係で駄目という噂もあるが、無関係だと判断。
ゴルフクラブで人を殴ったり、殺人の凶器にしている事が理由。恐らく、ゴルフ協会から強いクレームが入ったのだろう。

当ページ筆者は20年以上前の再放送時になんとかビデオに収めることに成功。粗筋を解説したい。

◆各話リスト

連番 サブタイトル
1 乳房に傷を持つ少女
2 ああ 私の敵は兄?!
3 さようなら!貴男
4 破られた婚約
5 さらば不良少女
6 少年院が待ってるぜ
7 涙の引退式
8 バンカー蟻地獄
9 婚約者の復讐
10 血鎖の秘密
11 敵?謎の美少女
12 鏡の国から来た娘
13 決闘!富士の裾野
14 女4人地獄の戦場
15 恋捨て記念日
16 明日なき闘い
17 命賭けた闇ゴルフ
18 友よ安らかに眠れ
19 継母の陰謀
20 夢か?峡谷の特訓
21 友情そして勝利
22 勝て!少女戦士
23 傷だらけの栄光


■登場人物■
◆神島祈子(かみしま れいこ)(演:安永亜衣)
祈る子と書いて「れいこ」。これは父・友平が出生届を提出する際に「礼子」と書くべきところを「祈子」と書き間違えたため。父が無実の罪を着せられ陥れられたことで、謂れなき差別を受けて育った。そのため非行の世界へと足を踏み入れ、暴走族・北斗七星会の会長となり、5番アイアンを使って敵対グループのメンバーを殴る・火の点いたゴルフボールを打ち込むなど大暴れし、『5番アイアンのお祈』として名を馳せた。信也の真剣な愛情によって目覚め、父の魂を受け継ぎプロゴルファーを目指す。父の無実を信じており、信也とともに謎に迫る。かつて信也が打ったゴルフボールが胸にあたり、今も胸に痣となって残っている。

◆野上信也(のがみ しんや)(演:風見慎吾) 
祈子・徹の幼なじみ。誠実な性格で、賢三に逆らえない父と母から反対に遭いつつも、祈子のために体を張って純愛を貫く。


◆神島徹(かみしま とおる)(演:沢向要士)
祈子の兄。信也が打ったゴルフボールが祈子の胸に当たった際、怒り狂って信也を叩きのめし、そのまま家出。祈子同様非行に走り、北斗七星会と勢力を2分する暴走族・ブラックエンジェル会長を経て、野沢の手下になっていたが、根は純粋な青年。祈子に対し妹以上の感情を持っていたが、実は野上敬太郎の隠し子であり、信也の腹違いの弟であることがのちに明らかとなり、信也とは恋敵になる。

◆神島保子(かみしま やすこ)(演:音無美紀子)
女手ひとつで祈子と徹を育てていたが、非行に走った子供達に胸を痛めている。横浜市内で大衆食堂「あすか」を経営している。


◆神島友平(ゆうへい)(演:岡本富士太) 
祈子・徹の父で以前は有名なプロゴルファーだった。ある人物の企みにより殺人の罪を着せられたまま遺体で発見される。


◆野上敬太郎(けいたろう)(演:中条静夫)
信也の父で徹の実父。祈子を「野上家の疫病神」呼ばわりし、後に祈子に「信也と別れて野上家を救ってくれ」と頼む。


◆野上静子(しずこ)(演:久我美子)
信也の母。息子を誑かした犯罪者の娘・祈子や、自身の夫の子で直接の血縁が無い徹に対してつらく当たるなど、世間体ばかり気にする。


◆丸元賢三(まるもと けんぞう)(演:長門裕之)
利一郎亡き後、丸元物産社長に納まる。


◆丸元律子(りつこ)(演:岩本多代)
利一郎の実妹で賢三の妻。祈子を目の仇にする。


◆丸元亜矢子(あやこ)(演:生田智子)
賢三・律子夫婦の一人娘。信也の婚約者だったが、婚約解消を信也から告げられ、恋敵として祈子を憎む。祈子がプロゴルファーを目指し養成所入りした事を知り、ゴルフで祈子を打ち負かそうと、両親の反対を押し切り同じ養成所へ入所する。


◆丸元利一郎(りいちろう)(演:佐原健二)
賢三の義兄で、生前は丸元物産の会長を務めていた。ゴルフのプレイ中に友平に撲殺されたとされているが……。


◆高倉道夫(たかくら みちお)(演:国広富之)
プロゴルファー。友平と賢三の秘密を握っていると目され、祈子から執拗に追われるが、祈子をゴルファーとして鍛え上げ、祈子から先生と仰がれるようになる。


◆野沢剣二(のざわ けんじ)(演:萩原流行)
祈子の行くところに現れる暴力団・華粋会(かせいかい)の幹部。賢三の命令で非道な行いをする。孤児であったが、賢三に妹とともに援助を受けた恩を返すために働いている。


◆野沢冬子(ふゆこ)(演:松井きみ江 現・松井紀美江)
剣二の妹で丸元家の家政婦。律子の命令で祈子を抹殺しようと火を放つが、逆に返り討ちに遭い焼死する。

◆大崎冴子(おおさき さえこ)(演:大沢逸美)
徹の恋人でレディースブラック会長。祈子を少年院送りにすべく鑑別所に入所したが、野沢に唆されて祈子を奪還しにきた徹と鑑別所を脱走後、レディースブラックを追放される。徹が祈子のことを好きだと知り、目の仇にしている祈子の前に現れるが、足を洗った祈子に勧められる形でプロゴルファーを目指す。高校時代はソフトボール部でピッチャーだった。

◆時田真介(ときた しんすけ)(演:石橋正次)
元プロゴルファー。祈子が父の秘密を探るために接触したが、何者かに口封じに殺される。

◆秋葉清(あきば きよし)(演:織田裕二) 
北斗七星会副会長。序盤のみ登場。

◆新巻鉄男(あらまき てつお)(演:斉藤隆治)
北斗七星会のメンバー。

◆室田花子(むろた はなこ)(演:松居直美)
通称・おハナ。祈子の親友で北斗七星会の幹部。かつて当たり屋の常習で少年院に収容されていた頃に鏡子に救われ恩義を感じており、祈子を付け狙う鏡子との間で板ばさみになる。しかし鏡子が信也にまで危害を加え、祈子との対決は避けられないと知り鏡子をナイフで殺害しようとして、もみ合ううちに誤って崖から転落。二人の和解を訴えながら息絶える。
順子(じゅんこ)(演:白島靖代)
祈子の親友で北斗七星会の幹部。

◆大木優子(おおき ゆうこ)(演:中村晃子)
野沢行きつけのスナックのママで、徹の実母。若い頃は赤坂で芸者をしていた。

◆司鏡子(つかさ きょうこ)(演:土家里織)
『5番アイアンのお祈』によく似た格好をし、胸に祈子のものとそっくりの傷跡を持つ謎の少女。実は利一郎の娘であり、胸の傷は父親を狙って時田真介が打ったゴルフボールを身を挺して受けて出来たもの。父親を殺された恨みを容疑者の娘である祈子に抱く。司という姓は本名ではなく実母の旧姓で、素性を隠して祈子や信也に接近する。中学の時に、賢三と共謀して父の財産を奪おうとしていた継母をベランダから突き落として殺害した過去があり、収監された少年院で同室だった花子を救うため看守を刺し、少年刑務所送りになっていた。

◆森戸大二郎(もりと だいじろう)(演:下川辰平)
鑑別所所長。

◆黒木(くろき)(演:綿引勝彦)
御殿場にある星雲女子プロゴルファー養成所の主任コーチ。友平からアドバイスを受け、17回目の挑戦でプロテストに合格した過去がある。

《出演者メモ》
●不良少女とよばれてと共通で目立っているのは、やはり高倉役の国広富之か。他には、鑑別所にも共通キャラはいたが端役となる。逆に言えば、出演者はほとんどかぶっていない。

●高倉役の国広富之は、不良少女とよばれてでは味方役だったので、祈子の高倉が本当はいい人だという先入観が出てしまいがち。

●大沢逸美はヤヌスの鏡にも女ヘッドとして出ていた。一方では、お笑いマンガ道場に出て、おちゃめな絵を描いていた。

●時田役の石橋正次はヤヌスの鏡では硬派の教師だったので、イメージが違う。

●賢三の役者・長門裕之は当時53歳で、2022年現在の53歳とは違い、老けてるように感じる。チビだが、二枚目役者だったらしい。祈子視聴時には悪役が主体の三枚目役者かと思っていた。


■各話詳細■

◆第 1話 乳房に傷を持つ少女
 ゴルフコースで、信也、父親の野上慶太郎(社長)、信也の婚約者の亜矢子、父親の丸元賢三(社長)がプレイ。信也がボールを打つと、不良の姿をした祈子が飛び出す。祈子がボールを打って、飛行中のボールを叩き落とした。 祈子の知り合いの女の子が、大学生の男にもてあそばれ自殺した。その報復にボールを金玉に直撃させる祈子。
 過去の回想。信也が軽井沢(長野県)の別荘の庭でゴルフの練習をしているが、打ったボールが祈子を直撃。死んでしまったと思った兄の徹は、信也をゴルフクラブで滅多打ち。ここでもゴルフクラブが暴力に使用され、ゴルフに携わる人にとってみれば、クレームを入れたくなるのも納得。徹はそのまま失踪。そんな時、祈子の父がゴルフ場で人を殺したというニュースが祈子に届く。軽井沢を追われる母娘。
 横浜で和風の料理店(ビール程度の酒も出せる)を経営している母娘。時田という怪しい男が飲みに来る。お金をせびりに来ていて、神島家の秘密を握られている模様。祈子は時田を殴り、更にはナイフで斬りつけようともする。時田は「父の親友だった。何だって知っている。味方にしておいた方がいい」と言う。今にも時田を致命傷にという時に信也が祈子の居場所を突き止めて現れる。祈子は飛び出して逃げる。
 祈子率いる北斗七星会と、ライバルのブラック・エンジェルが乱闘。そこにも信也が現れてゴルフをしろと説教する。しかし祈子は信也をボコボコにした。その夜、父が夢の中に現れてゴルファーになれと伝える。


◆第 2話 ああ 私の敵は兄?!
 海岸でゴルフショットの練習をする祈子。暴走族の情け容赦無い不良グループにボコられたのに、ピンピンとしている信也が現れる。ゴルフがやりたいんじゃないのかと詰め寄る信也。そんな時に、ブラック・エンジェルの冴子達が攻撃を仕掛けてくる。波止場から海に飛び込むことで逃れた祈子。岸にたどり着いた後も大勢に襲われる祈子だが、味方の北斗七星会の皆が現れたのでブラック・エンジェルは退散。また袋にされる信也。
 信也の婚約者・亜矢子が野上信也の両親の所に現れ、信也について話す。野上家にも女のお手伝いさんがいるのだが、以後、二度と出てこなかったような気がする。野上家が凋落するに連れ、クビになったのだろう。
 アジトにいる祈子たちの前に、よろよろの信也が現れる。流石に、まだ回復していない模様。祈子以外のメンバーは席を外す。祈子にビンタをくらわせて説得。父・友平は祈子を祈りの中から生まれた子と語る。兄の徹がいるのに、祈子に願掛けしているので、鋭い視聴者は徹に違和感を覚えるはず。プロゴルファーの夢も、なぜ徹ではなく祈子なのか? 後の話で判明する。友平おじさんの軌跡をたどることを提案する信也。3年前に別れた時は15歳だったので抱きつけなかった信也だが、祈子も18歳になっているので、好きだと告白して抱きついた信也。祈子も父の真実を探すことを決意。
 信也と自宅に戻った祈子。父の遺書が変だと気づく。塩沢湖の別荘には何日も隠れていて、遺書を書く時間はたくさんあったのに、妻よ子よ程度の短い文しか書かれていないのだ。出かけようとすると、亜矢子が現れる。信也のことについて宣戦布告のような話。まもなくニューヨークへ行くことも聞かされる。一人で泣き出す祈子だが、色々知っていると豪語する時田という男を思い出した。母・保子が時田と会うのを止めようとするが、父の事件の真相すら知るかも知れない相手と会おうとする祈子を止めるのは不自然だった。保子には祈子に知られたくない別の秘密があることが読み取れる。
 信也は丸元賢三に出向の延期を申し出るが怒られる。その話を聞いた両親にも諭される信也。祈子は時田を夜の居酒屋で探し出し、時田は秘密に対して200万円を要求する。ヤクザの野沢剣二が現れ、時田は退散するも、会う約束は取り付ける。夜の外人墓地で待ち合わせ。しかし何者かによって時田は刺殺される。死ぬ直前に祈子に「あんたの親父、無実だ」と叫ぶが息絶える。見回りの警官がやってきて逃げる祈子。


◆第 3話 さようなら!貴男
 祈子は時田殺害で指名手配になっていることを知る。ただ、時田に関して無実を証明できたとしても、凶器準備集合罪で少年院へと考えると祈子は人前に出るわけにはゆかなかった。父の無実を晴らすためには、少年院へ行っている時間はないと判断する祈子。
 信也はニューヨークに発つ飛行場で、時田殺しで祈子が指名手配されている事を知る。それまでは、祈子を立ち直らせたつもりで、アメリカへ行く気はあったと言える。まだ、丸元物産の次期後継者を捨ててはいないのだ。信也は祈子を探しに飛行場から去る。丸元賢三は婚約破棄を切り出すが、亜矢子は破棄しないと強く出る。一方の徹も祈子のピンチを知る。徹はアジトから飛び出そうとするが、剣二に止められる。祈子の母・保子と信也が会っている所に徹も様子見。警官に見つかり徹は殴って逃亡。保子と信也もバイクで逃げる徹を確認。
 信也は花子たちのアジトに案内される。そこに徹が現れ、信也と再会。祈子がプロゴルファーになることを徹に伝える信也。徹は祈子を探す決意。
 祈子は図書館で真面目少女の姿をして事件のメモ。新聞では、ブッシュ(茂み)に打ち込んだのは友平と殺された丸元副社長。ボールの位置を巡って激しく口論。友平がクラブを振るって逃亡となっている。祈子は丸元賢三の屋敷に潜入。寝室で賢三にナイフを突きつけて、当時の話を聞く。時田から聞いたことを突きつけるも、友平が殴り殺した所を高倉と共に見ていると言う。賢三の話は新聞の内容と同じだった。即死だという。亜矢子が現れ、信也がニューヨークへ行かず横浜へ行き、祈子を探している話を聞き、祈子は退散。丸元には「あんたの話は信じない。父さんは無実、必ず真相を暴いてみせる」と吐いてゆく。祈子が去っても丸元は激怒。
 徹は剣二にナイトバーへ連れてこられる。大木優子がママをやっている店だ。剣二は優子に惚れていてるという。剣二は呼び出されて店を出る。優子は徹が神島友平の息子だと知って動揺するも、徹の追求にとぼける。あの子が徹……と驚いている様子。剣二は祈子の情報を聞き接触するつもり。
 信也は花子達が確保した男と会っていた。盗み撮りの趣味があるサラリーマンだった。外人墓地で時田が刺された事件で、写真でも犯人の顔は見えていないが男だったと証言。花子のアジトに電話する祈子だが、サングラスの何者かに付け狙われていることを認識。サングラスに覆面の男に襲われる祈子。ロープの首絞めで命を狙われるも、手持ちのクラブで反撃し、難を逃れる。そして、父も殺人の汚名を着せられて自殺を偽装されたと判断した。


◆第 4話 破られた婚約
 祈子は父が自殺したとされる塩沢湖(長野・軽井沢)にやってきていた。山荘で物色し、絵の裏から父のスコアカードを発見、祈子へのメッセージが記されていた。プロゴルファーになって夢を父の叶えてくれ。山荘には野沢剣二の部下が続々と現れる。殺されそうになるも、徹が妨害してくれる。外へ逃げるも野沢が現れる。川の崖へ追い詰められるも、水へ飛び込んで逃げる祈子。
 信也は隠し撮りのサラリーマンを連れて警察へ、時田殺しの容疑は晴れるも、警察が祈子を逮捕する気は変わらない。亜矢子は信也と接触、例個が次に現れる場所を知っていると言い同行。
 プロゴルファートーナメントが行われている会場は、副社長・利一郎が殺されたゴルフ場でもある。高倉がプレイ中で、祈子は高倉のキャディに化けていた。知り合いのつてだった。祈子は高倉が打とうとする時に、事件の概要を口に出して高倉に聞かせる。高倉は動揺したのか、林に打ち込んでしまう。林で二人切りでボールを探し、神島友平の娘だと名乗る祈子。ナイフを出して当時のことを高倉に尋ねる。事件当時、高倉の位置からは見えなかったと言い、駆けつけた時には利一郎は死亡していたという。神島友平はいなかったので犯人と証言したのだ。高倉はプレイ再開、キャディとしての祈子は戻らなかったので、信也は探しにゆく。丁度、野沢が祈子を襲おうとしていた時だった。高倉はキャディが腹痛だと伝えていて、祈子の不利になるようなことは話していない。
 夜になって、帰宅しようと車を走らせる高倉の車を止めて乗り込む祈子。高倉はとぼけるも、時田が無実だと証言したことを高倉に伝える。あの男の言葉は信用できないと突っぱねるも、祈子は死ぬ間際に嘘はないと譲らない。街に到着し車が停まる。祈子は本当のことを話してもらうまで離れないと宣言。高倉は警察を口に出し、社内電話を使おうとすると、祈子は車を飛び出す。信也は父母に自由にさせて欲しいと訴える。
 ぼろぼろになった徹が優子ママの店に現れる。優子は自分の家で徹を手当して休ませる。チンピラをやめろと諭すも徹は言うことを聞かない。優子の部屋に野沢が現れ、殺しの容疑が晴れたことを知らされる。野沢の組・華粋会に入会させて欲しいと改めて頼む徹。信也は丸元社長に辞表を出す。丸元は「祈子の味方をするということは、丸元一族を敵にすることだ」と言う。亜矢子への気持ちは直接伝えると言う信也。亜矢子と会う信也は辞表を出したことを亜矢子に伝える。そして、結婚は無かったことにして欲しいと言う。亜矢子は信也と結婚すると譲らない。祈子に負けないと誓う亜矢子。
 祈子は信也たちと過ごした軽井沢の別荘に身を隠していた。眠る祈子に忍び寄る足……信也だった。殺人容疑が晴れたことを伝え、自首してくれと言う。祈子は時田が友平は無実だと言ったと信也に伝え、父の無実を晴らしたいという。信也は逃げ回っていて無実を晴らせるのかと問うてくる。自首して罪を償えば、自由に行動できると諭す。信也は会社へ辞表を出したことを祈子に伝えると、祈子は自首する決意をした。


◆第 5話 さらば不良少女
 信也と横浜の自宅へ戻る祈子。父が無実だと時田が言ったことを母に伝え、自分も命を何度も狙われたことを伝える。父も無実の罪を着せられて殺されたと主張する祈子。自首することを母に打ち明ける。1人で自首するという祈子に、風呂敷を持たせる母。店の表には花子達一同が待っていた。ところで自首というのは、事件が発覚していない時に使う用語で、事件発覚後は出頭という言葉が使われる。信也や祈子の発言は、出頭が正しい言葉。
 少年課へ出頭する祈子。連日、取り調べを受け、少年鑑別所へ移送される。少年鑑別所は、釈放か少年院送りかを判断する施設。丸元家にも祈子が少年鑑別所へ入ったことは伝わっていた。亜矢子は祈子が事件のことを調べている話題を出し、不審な点でもあったのかと口に出す。丸元賢三は、不審な点などあるはずがないと断言。亜矢子は祈子は釈放されて欲しいと思っていて、恋のライバルとして戦いたいと親に言う。
 鑑別所で集団生活が始まる祈子。以前に痛めつけた川崎の照代や、北斗七星会の親衛隊メンバーと再会。メンバーには解散を宣言する。解散が駄目なら祈子は引退だという。照代に絡まれる祈子。照代を叩きのめした時に、クラブで石を打ってぶつけ照代の額に傷をつけていた祈子。鑑別所での祈子は元親衛隊も含め、照代達に殴る蹴るの暴行を受ける。祈子達は無抵抗で、祈子を痛めつけるのは照代単独。泣きを見せる祈子は謝り出し、気が済むまで殴っていいと言うと、照代は一旦は退散。
 野沢や徹達はビリヤードをしていた。少年院で2・3年という話を聞くと、徹は時間がないと言い出す。野沢に問い詰められると、徹は祈子がプロゴルファーになりたがっていることを言わされる。華粋会に入会させて欲しいという話には、大きな手柄を立てないとと野沢に言われる。冴子を野沢が連れ出す。徹に惚れていることを見抜かれている冴子を野沢はそそのかす。
 祈子が真面目にやっているので、所員達には更生の意欲が見え始めていた。一方の信也は、事件当時のキャディ2人の名前を突き止めていた。翌日にゴルフクラブを辞めていて行方が分からないという。北斗七星の男メンバーの2人と、親衛隊の2人は釈放されていた。しかし、入れ替わりに冴子が鑑別所にやってきた。流石の祈子も不安で眠れない。祈子の不安は的中、冴子は祈子を少年院送りにするためにやってきていたのだった。
 花子達と信也は出所したメンバーの出所祝をやっていた。冴子がやってきたことが話題に出、また暴れて鑑別所へといきり立つと信也は怒って止める。
 鑑別所の食事の配膳。早速、冴子から蹴りが入って配膳をこぼすも、祈子は自分の不始末だとごまかす。座禅中には冴子の配下の女子が祈子を針で刺してくる。ただ、それらの様子は所長がしっかり見ている。冴子と話すことができ、勝負は済んでいると宣言する祈子。しかし、冴子からはどちらかが墓場に行くまで終わらないと返される。面会があり、信也が来たのかとうきうきするも、信也の母・静子だった。信也を諦めてもらうと言う。二度と信也と会わないと約束することに。泣きじゃくる祈子も所長は見ていた。


◆第 6話 少年院が待ってるぜ
 祈子の母・保子と信也が面会にやってくるも、祈子は信也に会うことは拒否し保子とだけ面会。部屋替えがあり、冴子の配下と同室になる。20人もの幹部が、各部屋に散らばっているという。冴子が仕切ったも同然。
 お風呂シーンでは女性の尻がモロ見え。二十歳を超えている役者だろうが、役としては10歳代。いずれにしても、昭和だから許されていよう。祈子も脱衣所で肌着を披露。すっぽんぽんで浴室に向かった祈子だが、ジャージや下着を棚から盗まれ捨てられる。バスタオルで出てくる祈子だが、自分の衣類が全部なくなっているのを知る。冴子達も現れ、冴子を問い詰めるとねあっさりと指図したことを白状。「少年院に行くのを怖がってるいと思うなよ。行くときは道連れにしてやる」と啖呵。バスタオルのまま走って部屋に戻ろうとすると、所長が廊下の影から、ゴミ箱に捨てられた衣類を投げてくれる。「信じることだ」と逆光で語る所長。ということは、所長は順光で祈子のバスタオル姿を拝見ということに。
 部屋では、冴子の配下が寝床を敷き、パジャマ姿で女子トークしている。しかし、祈子が戻った途端にピリッとする。今度は布団が奪われていた祈子。戦おうとはせず、ジャージのまま座って寝ることに。眠らせないと言われる祈子も負けておらず、みんな眠らせない。どっちが泣きを入れるか勝負を宣言。冴子の配下も受けて立つ。連日行われ、3日後の夜と4日目の夜には、脱落者が発生。5日目には祈子も睡魔に襲われる。冴子の配下で残りは1人でユウコ。引き分けを申し出てきたので了承する。ところで、優子ママと名前が被ったユウコという不良少女がいることが判明。
 祈子に泣きを入れた扱いされ、体育館倉庫で冴子にビンタを食らうユウコ達。徹の所に野沢がやってくる。冴子を鑑別所へ送り込んだ理由が、祈子を少年院送りにするためだという話をし、どうして祈子をと問う徹。仕事でやっているだけで、祈子に恨みがあるわけではないと弁明する野沢。野沢は信也を見つけたら叩きのめせと司令を受ける。徹のブラックエンジェルによって北斗七星や喫茶店にいた信也が襲撃を受ける。喫茶店の娘は元。北斗七星会で通るに包丁を突きつけ、その隙に信也を逃がす。喫茶店の娘は好きにしなと開き直るも、気持ちは祈子と同じだと1発殴っただけで済んだ。ブラックエンジェルの男達から辱めを受けるつもりだったのに拍子抜けといった所か。
 信也がまた面会に来るも、拒否される。いずれ信也も北斗七星会の幹部のように足腰立たなくされると冴子に言われる祈子。所長の部屋で所長は信也と対面し、祈子と信也を引き合わせる。祈子は荒い言葉で信也を突き放して飛び出す。これで少年院へ行くと信じてしまう祈子。
 信也が行方不明のキャディをゴルフ練習場でを探していると、亜矢子と会う。亜矢子は神島友平が犯人じゃないなら、誰が犯人だとか疑問を持ち始める。今の所、信也にも犯人は分からない。信也が車に乗っていると野沢達に引きずり出され、ボコボコに叩きのめされる。
 調理実習で嫌がらせを受ける祈子。ついに冴子にタイマンを見申し込む。タイマンの時間になり、約束の場所・礼拝堂へ向かう途中、信也の信じろという言葉に、もう一度考え直す。冴子の前に出た後は、「戦わないが、体を好きにしろ」と宣言。冴子の攻撃が開始され、配下は全員が見守る。口から血を垂らしても耐える祈子。冴子がマリア像という武器を持ち出した時に、ユウコが冴子を止め、更にはユウコが祈子の代わりに攻撃を受けると冴子に伝える。すると、一斉に冴子を止める配下達。祈子ちと同じ部屋にいた者達だった。所長達にはお見通しで、礼拝堂に所長やスタッフが続々と。所長は冴子の負けを宣言。祈子は気絶し、所長が運ぶ。次の日、所長室に呼び出される祈子。所長は祈子が更生する意思を認めた。所長からドライバー(ゴルフクラブ)をプレゼントされる。保護観察処分(釈放)の可能性が強いことを冴子の配下は野沢に手紙で伝える。
 祈子が少年送りに決まったと野沢は通るに伝える。徹には馬鹿なことをするなと忠告していたが、徹の性格を分かっていた。祈子を救出に行くとメンバーを集めた徹。それにしても、川崎の照代はどうなったのだろう? 冴子が来たので、ちゃっちゃくなっていたという考えでもいいけど。それとも、出所、もしくは少年院送りだとか。


◆第 7話 涙の引退式
 夜、布団の敷かれた祈子達の部屋。冴子の配下だったユウコ達とも打ち解ける。心地よい眠りに就いた祈子だが、徹達が潜入し、祈子をさらおうとする。冴子が先に起きて合流。自分を迎えに来てくれたわけではないのを知り落胆。祈子も徹と合流するも、逃げる気はないことを伝える。また、祈子の仲間になった女子が「余計なことをするんじゃないよ。祈子はもうここを出られるんだ」と徹に向かって叫ぶ。察した徹は撤退するも、冴子はナイフで祈子を捕まえて、一緒に逃げるよう強要する。敷地内で建物の外にまで連れ出される祈子だが、所長達職員が駆けつけ、祈子は連れ去られずに済んだ。
 徹に詰め寄られる冴子。冴子は祈子が憎くてやったのではなく、徹のためだと言うが、「妹を痛振られて喜ぶ兄がいるか」と馬鹿呼ばわりされる。ブラック・エンジェルを永久追放される冴子。好きだと告白するも徹によってバイクから突き飛ばされる冴子。
 祈子は家庭裁判所で保護観察処分となった。釈放された祈子は信也の車で戻っていった。信也の父・敬太郎とゴルフのコンペ中だった丸元は、電話で祈子の釈放を知る。びっくりしていたようだ。そりゃ、視聴者もびっくり。暴走族・不良グループのヘッドで暴れていたのに、保護観察処分は都合良すぎると思った。まあ、もっと酷い人物が、後に保護観察処分となるので、祈子の場合は認めるとしよう。丸元賢三は不愉快になり、敬太郎に会社間の取引も考えると言い出す。
 祈子の出所祝は自宅で行われた。花子達や男衆も来ている。祈子は父の無実を暴き、プロゴルファーになる話を皆の前でする。冴子が現れ祈子にナイフで襲いかかる。ねじ伏せられる冴子。冴子は徹は祈子が好きなんだとか言い出す。徹の祈子に対する感情は妹に対するものじゃないとぶち撒ける冴子。ゴルフで勝負しようと持ちかける祈子だが、冴子は誰がやるものかと突っぱねる。
 祈子の暴走族の引退式の後、信也とデートする祈子。祈子に綺麗だと言い、口づけする信也。よく見るとしていない気がするが、物語上ではしているのかな。徹が保子の店舗にやってくる。保子は「祈子も足を洗ったんだから徹も」と促すも、徹はやることがあると言って母の話を退ける。徹は祈子に会いに来ていた。徹の反応を見て、保子は確かに徹が祈子を男として愛していると判断し始めていた。それよりも、徹が「あのこと」に気づいているのではないかと、より心配な保子。
 母から去った徹は夜道で冴子と遭遇。徹は無視して去る。そんな時、バイクの若い男3人が冴子を見てナンパでツーリングに誘うも、冴子はクビになったレディース・ブラックの冴子だと知ってかと追い払う。すでに冴子は暴走族のヘッドではなく、雰囲気が女になっていて、ナンパされたというシーンかな。ふらっと車の前に飛び出る冴子だが、すんででかわした。車の運転者は高倉だった。
 優子の店に現れた徹。信也と祈子を祝福してやるのが兄のはずなのに、拒絶する自分が理解できない徹。その告白を優子ママは聞かされる。高倉は気絶している冴子をシティホテルに連れ込む。エッチな意味ではなく、介抱のため。それを野沢が見ていた。野沢は祈子達を追っていたのだ。信也と祈子も同じホテルで食事をしていて、高倉と対面。冴子が知り合いじゃないのかと、高倉の部屋で眠る冴子を見せる高倉。確かに知り合いだった。冴子が眠っていた部屋はベッドが2つあるツインなので高倉も隣に寝るはず。冴子が車にぶつかっていたら、ゴルフ選手権の出場停止と言うも、高倉が女の子をホテルに連れ込んでいても、それはそれで出場が危ぶまれそうだが。作者のジョークなのかな? 高倉は事件のことについては、何も話すことはないと譲らない。
 シングルで別々の部屋に泊まる祈子と信也。ただ、寝る前には信也は祈子の部屋でぐっすりお休みと声掛け。夜半には野沢が動き出そうとするが、高倉が「今夜は眠らせてやれ」という。


◆第 8話 バンカー蟻地獄
 信也の調査したキャディの名前を確認する祈子。瀬戸久仁子(48)と堂島兼子(50)となる。当時のアラフィフなので戦前の生まれが記されている。朝食で信也と打ち合わせする祈子。キャディは2人共に何も見ていなかったと証言しているという。ただ、その後、消息を絶っていることを考えると、嘘だと推理する信也。朝食の場では高倉とも顔を合わせるが、高倉の意向は変わらない。真相解明を無駄と宣言し、祈子にゴルフの練習を奨めるのだ。冴子とも鉢合わせ、ゴルフの勝負なら受けて立つと言う祈子。冴子はプロゴルファーの高倉に弟子を志願する。鑑別所脱走中では駄目。綺麗な体になってから、然るべき所を紹介すると約束してくれる高倉。
 祈子はまずは瀬戸の息子が勤める会社を訪ねるも母の居場所なんて知らないという。女手一つで育ててくれた母の居場所を知らないなんておかしいと詰め寄るも駄目。休日に妻と息子を連れ、車で出かける久仁子の息子の後をつける信也達。伊豆の小さな港町漁業の手伝いをする久仁子(48)を発見した。孫もいるし瀬戸久仁子は、見た目がもはやお婆さんの域。昭和の40歳代は、お婆さんというわけだ。ただ、後に出る堂島兼子は独身でお婆さんとまではゆかない。久仁子と接触し、自己紹介して事件のことを聞く信也達。何も見てない、帰ってくれと言う久仁子。久仁子ともみ合っていると、華粋会の連中が現れ乱闘に。自転車で警官が現れ華粋会は退散するも、久仁子の孫息子が溺れる。祈子と信也はいち早く海に飛び込んで助けにゆく。久仁子婆さんは「孫を助けてくれてありがたいけど、それとこれとは話が違う」と気まずそうに言い、大学を出ても就職口がなくてブラブラしていた息子にいい会社を紹介してくれた人がいて、妻や子供にも恵まれている恩があるという。そして、事件当時はフェアウェイにいて、本当に何も見ていないという。ただ、もう1人のキャディ堂島から話を聞いて、大概のことは知っているという。信也は堂島がどこにいるかを久仁子に訪ねると、気まずそうな顔をして「伊豆のオーシャンゴルフクラブにいるはず」と教えて去っていった。
 一方、徹は優子ママの店で飲んでいた。母の保子が徹を発見。父母が徹を見る目が遠慮みたいなのを感じていたと徹は保子に告白。そこに優子が現れる。保子は優子を見て知っている様子だが、初めてだと語る。徹が飛び出た後は優子と保子は知り合いとして語り出す。徹と祈子は兄と妹……事実は違うと優子。保子は野上敬太郎を呼び出し、徹は優子の店にいたことを伝える。敬太郎は「徹は友平と保子の息子だ」と念を押す。このシーンで視聴者の勘がいいと、徹の父親が敬太郎だと判断できよう。もっと勘がいいと、母親が優子だとも。丸元家では信也と祈子がホテルを転々としながら調査していることを話題にしていた。 亜矢子はドライブに出るという。
 祈子達は堂島の勤めるゴルフクラブで堂島と会っていた。祈子は些細なことで怒る父ではないと説明するが、堂島は確かに父と丸元利一郎(副社長)の口論の現場を見ていた。つまり、堂島は現場にいたのだ。友平がクラブを振るう所を見たのか詰め寄ると、堂島はクラブが当たったのは確かだという。駆けつけた時には友平は逃げ、丸元副社長は死んでいたという。堂島が消息を絶った理由は、副社長についていた不吉なキャディと呼ばれない内に職場を変えただけという。信也の情報によると、友平は救急車を呼びに事務所へ行った後、副社長の所へ戻って死を確認しているのだ。友平が救急車を呼びに行った時、副社長は生きていたのかを聞く信也。3年前の記憶だからとごます堂島だが、矛盾を許さない祈子と信也。堂島からはゴルフの勝負を持ちかけられる。1つ知っていることを話すという。負けた場合には30万円だという。今の祈子には30万は大きかったが、もちろん信也がサクッと出すと約束。
 当日に勝負開始、パー3のホールだった。グリーンの前にはバンカー(砂地)があり、先取の堂島はバンカーの前に落とした。引き分けは引き分けということで、祈子はグリーンへの1オンを狙いにゆく。しかし、威力が大きく、グリーンを越えてしまい、その先のバンカーに落ちる。野沢はこの勝負を木の影から見ている。堂島の2打目はグリーンに乗り、特にカップに近いというわけではない位置に。祈子は「こんな人に負けるはず無い」とおごっていた。力が入りすぎ、グリーンを越えて、またバンカーに。しかも、顎下と呼ばれる、バンカーの崖みたいな部分にボールはあった。祈子はグリーンに乗せるも、堂島がパーでカップに入れて勝負は終了。泣き崩れる祈子は、もう一度とせがむも、一度こっきりと堂島に突っぱねられる。信也に説教され、一からゴルフをしようと諭される。
 冴子は警察に自首していた。まあ正確には出頭だけど。


◆第 9話 婚約者の復讐
 丸元家のメイドに何者かから電話がかかり、信也達が伊豆のオーシャンクラブにいることをメモしている。亜矢子が電話しているメイドを発見しメモを奪う。到着した亜矢子はオーシャンクラブに圧力をかけて、祈子を追い出す。支配人によると、人殺しの娘に出入りされたんじゃステータスが保てないという。追い出されようとする祈子をスタッフの堂島は見ている。出てゆくことになるが、お金は返してもらったのだろうか心配。海岸の岩場にある砂地でバンカーの練習をする祈子。昭和なら許されても、令和じゃ怒られそう。その様子も堂島は見ている。野沢が堂島に声をかけて連れ出す。
 祈子は手から血が滲むまで練習をしていて、信也は手の傷に口づけ。その様子を亜矢子が見ていて飛び出す。信也の母・静子が倒れたという。祈子には信也を不幸にしたのは祈子だと突きつける。野沢の泊まっているであろうペンションで堂島に口止めを改めて要求、長生きしてもらいたいと、口を割ったら殺害をほのめかす。
 祈子と信也は堂島のアパートで待っていて、再度、勝負を申し込む。堂島の住所がバレバレだが、令和では個人の住所を簡単に教えてもらうことはできまい。一人暮らしのようで、結婚もしていない感じ。堂島は勝負は1度きりだと返すが、今度の祈子は引き下がらない。人生がかかっていると、お願いするも堂島は部屋へ。流石の昭和でも、アパートの部屋に押し入るのはヤクザ・暴走族とかくらいか。強い雨が降る中も、祈子達はアパートの前にたたずむ。
 優子ママの店にいる徹達。野沢から祈子の居場所を聞いて、伊豆へ行くことに。優子は徹を心配して説得するも、徹は突っぱねる。優子も怒り出し、野沢は人を信じていないと説明。優子は徹を呼び捨てにする。このシーンで、優子が母親だと気づく人も多くなってきたかな。優子の不自然な態度に、徹は優子が信也との関係を疑いだす。まさか、徹と優子の関係は疑わないものの、優子が何かを隠していると判断した徹なのだ。
 祈子の親衛隊だったメンバーは、祈子と一緒に引退したわけだが、揃って保子の飲食店に世話になっていた。そこに電話があり、ブラック・エンジェルのメンバーが祈子のいる伊豆に向かったという知らせ。元親衛隊は一斉に伊豆へ向かおうという相談を保子が止める。花子だけがこっそりと向かう。夜おそく、堂島はアパートの外を見るが、やはり雨の中、たたずむ祈子達。
 優子の店に野上敬太郎が訪れ、酒を注文。優子とは徹の話をする。優子から約束を破るはず無いと言われ、敬太郎は帰る。雨上がりの朝、堂島と話そうとする祈子達。堂島の方から、挑戦を受けることにしたと言われる。ただ、次の掛け金は50万だという。信也は「まだそれくらいなら残っている」と語る。信也はいい会社・丸元物産にいたのに、もう残金が50万円級だとは。まあ、社員時代には車とか買ったんだろうけど。場所は「この間と同じゴルフ場」だという。時間まで、岩場でバンカーの練習をする祈子を見張るブラック・エンジェル。北斗七星会も駆けつけていた。野沢の指示か出たら、祈子と信也達を痛めつけて東京へ送る作戦。
 ゴルフ勝負が始まる。パー3の谷越えホール。祈子の1打はまたもやバンカーに。風を計算していなかったと堂島に言われる。祈子、なにやってんの? 堂島の1打目は飛距離はでないが無難な場所に。続けて堂島が打ち、グリーンに乗せてくる。OKと言う祈子、続けて堂島が打っていいという意味だった。ゴルフでOKというのは、「次は打たなくてもカップに入ったことにする」で、以後の回ではそうなっている。視聴者から指摘されたのだろうか。堂島は難なくパーを決めた。瀬戸久仁子と違い、堂島はゴルフがそれなりにうまいことに気づいた視聴者がいよう。祈子はバンカーから、そのままカップに入れるつもりで打つと、カップを通り過ぎ、グリーンには残るものの、結構オーバーしていた。パーを決めた祈子だが、引き分けでしかなかった。立ち去る堂島だが、泣き崩れる祈子。
 堂島は全部知っているわけではないがと話してくれた。自分も殺人者(酒によった弾みで)の父を持っていて父は自殺。理不尽に不合格にされプロゴルファーにはなれなかったという。昭和の終期ならば、それなりに緩和されただろうが、堂島の時代ならば更に厳しかったのだろう。結婚していない理由は、人殺しの娘だったからだ。信じられるのはお金だけ、祈子が自分と同じ人間になってしまうのは哀れだと思った堂島。まあ、祈子の場合には信也がいるので、結婚できそうだが。これまでの情報と違う話を堂島から聞けた。友平のショットは林に入ったと思っていたが、堂島の話によると見事なショットでフェアウェイだったという。林に打ち込んだのは、最後に打った利一郎・副社長だけだという。利一郎、友平、堂島の3人でボールを探す。口論の原因も把握していた堂島。利一郎がOBからボールの位置を自分有利になるよう動かし、プロの友平は普段は温厚でも許せなかったのだ。しかも、利一郎は動かしていないと開き直る。利一郎がキレて、ゴルフクラブで友平を殴りかかる。避けても、利一郎の連続攻撃が飛んでくる。足を滑らせた友平が持っていたゴルフクラブが、利一郎に直撃し倒れてしまう。そんな時に、丸元賢三と高倉が駆けつける。友平は救急車を呼び事務所へ走る。友平のクラブが当たったのは確かだが、利一郎は死んでおらず自分で上半身を起こすくらいはできる。その後は堂島は医者を呼びに行ったから見ていないと言い逃げ出す。野沢が近づいていたのだ。野沢の合図でブラック・エンジェルが飛び出すも、北斗七星会も飛び出し乱闘。信也と祈子は逃げるが、野沢の掛け声で徹は2人を追う。2人は足を滑らせ、山の斜面を転がり落ちる。


◆第10話 血鎖の秘密
 山の斜面からの落下によって信也とはぐれてしまう祈子。何者か男の足音が近づくも、徹だった。野沢の子分になっている徹に祈子は詰め寄るも、徹は父の無実を証明したいのは同じだと言い、野沢の子分でいる理由も、誰が野沢に命令を出しているのか調べるためだという。祈子の方は徹に、堂島からの情報を伝える。信也を探すという祈子だが、徹は男だからなんとかなる、信也は野沢に見つかっても殺されないとして信也を探す気はない。問答では面倒くさかった徹は、祈子を腹パンで気絶させ運ぶ。信也は花子達が確保していた。信也の声を背に、徹は祈子を抱えて進む。
 翌朝、徹は河原の近くに車を隠していて、祈子をそこで休ませていた。目覚めた祈子は徹に話を聞く。信也は仲間と一緒にいることを伝える。河原では、子供の頃のようにはしゃいで遊ぶ。車で戻ろうとするも、山道で野沢が格上の車で追いかけてくる。徹の車の排気量では、とても逃げ切れない。正確な車種までは調査していないが、徹の車はマークⅡクラスで、剣二の車はセドリック・クラス。野沢の部下達がもう1台の車で現れ、車を降りることを余儀なくされた。徹の指示で徹が戦っている間に逃げる祈子。野沢の子分が2人、追いかけてくるが、バイクに乗ったテツオ(北斗七星会)によって逃亡が成功。徹は追い詰められていた。とどめを刺される前に、誰が野沢に指示を出しているのか聞こうとし、徹の目的を野沢に把握される。
 横浜に戻った祈子は母・保子に電話。保子の店舗に信也も戻る。信也は静子を見に東京の自宅に戻るという。東京には保子も乗せて行ってもらい、保子は野上敬太郎に会社に赴き、料亭で会う。暴力団に囚われた徹を助けて欲しいと頼む。徹は敬太郎の子だと訴える保子。敬太郎は拒絶し、私の子だと言わないでくれと返される。徹は感受性が高いから、祈子の扱いとの違いに気づいたと語る保子。ページ筆者の想像だが、例えば、10歳前後である程度育った子供の頃、徹兄ちゃんとお風呂に入ろうとする祈子がいたとして、友平や保子はそれを阻止しようとしたとか、そんな積み重ねもあったと考える。
 信也は母から、側にいて欲しいと頼まれる。一方の敬太郎も丸元物産との取引停止に対して会議を開く。徹の配下が優子の店を訪れ、野沢のアニキを裏切って地下室・拷問部屋に捕まっている話を聞く優子。保子は優子に助けを求める。優子は母親は静子だと怒る。静子は華粋会に乗り込むも、徹なんていないと追い出される。一方の優子は様子を見ていて、華粋会に忍び込むチャンスを伺う。徹は野沢に誰から命令されているのか聞くも、誰にも命令されていないと返る。祈子を憎む理由は夢を膨らませているからで、捻じ曲げてやり、憎しみだけの女にし、それを見るのが楽しいからだという。
 敬太郎は丸元の邸に訪れていた。会社の取引のことかと思いきや、各界に幅広い顔があるとのことで、ある青年を暴力団から助けて欲しいという話だった。丸元は私が暴力団と関係があると言いたいのかと逆ギレ。丸元は「神島の息子に力を貸すいわれはない」と、なぜか徹のことだと知っていた。ただ、会社や徹の命で気が沈んでいたのか、丸元の言動のおかしさは追求できない模様。野上家では信也と父母が揃っていた。テツオから電話があり、祈子が1人で華粋会に殴り込むという。母に止められ信也は乗り出せない。
 祈子が来る前に腹ごしらえと称して、事務所には野沢だけ残り、子分達には外で飯を食わせる。確かに祈子はまだ来ないが、優子が潜入するチャンスが生まれた。祈子は子分をゴルフボールで闇から倒す。地下室で優子が徹のロープを解こうとすると野沢が現れる。そんな時に祈子が地下室の扉の向こうまで到着。徹を助けてくれるなら女になってもいいと語る優子。駄目なら私を殺してくれとまで言う優子。まさか、男と女の関係かと詰め寄る野沢。違うとしたら徹は優子の子供じゃないのかと野沢は当ててしまう。野沢は「男と女」か「母と息子」の2択だと思い、男女ではないとすると残りで決まったのだ。優子は自分の息子だと宣言する。相手には奥さんと子供がいたので、神島夫婦に預けたという。徹は気絶しておらず、話を聞いていた。母の優子が赤坂で芸子をやっていたことも知る。祈子も徹が兄ではないと知り、逃げ出してしまう。祈子だと察する野沢の言葉を聞き、徹も祈子が来ていたことを知る。八つ当たり同然に、野沢にゴルフボールをぶつける祈子。怒りとも悲しみとも分からず激情に追われる祈子。
 冗談の域だが、剣二は優子に惚れていたという設定だが、ハタチの青年の母親だと知り、覚めてしまったのかな? 一方、第1話で時田が神島家の秘密を握っている感じだったが、徹の出生のことだと分かる。


◆第11話 敵?謎の美少女
 自宅の仏壇で、友平に徹を守ってと頼む保子。祈子が戻り、徹を助けに行ったと説明。優子が徹を助けたことも伝える。優子と徹の関係を保子に尋ねつつ、優子が母親だということも突きつける。保子は徹が友平との子供だと言うので、信じていいのか確認する祈子。保子は譲らず、祈子は信じることにした。だが、保子は祈子を騙すことはできないと、本当のことを語り出す。徹は優子の子供だということは打ち明けるも、父親については秘密のままとし、徹を自分の子供として育てたという。泣きながら徹の父親のことも追求する祈子だが、それだけは話してもらえない。
 優子の部屋で眠る徹。優子は自分の所に戻ってきて誰にも渡さないと1人で発言。保子が優子の家に来るも、優子はもう保子に返すつもりはないと伝える。約束では母親と名乗らないはずだった優子だが、徹が殺されそうになったら別。約束を破ったのは保子達だという優子。徹は幸せになっていなかったのだ。母二人の前に徹が起きてくる。親父の名前を聞こうとする。教えてもらえないので、捨てた男を自分で突き止めるという徹。
 祈子は打ちっぱなしで練習していた。そこに高倉と亜矢子が現れ、高倉は赤坂の格式の高い料亭で丸元と食事するという話を陰から聞く祈子。亜矢子は高倉に指導を受けていた。祈子は花子に頼んで赤坂の知り合いを紹介してもらう。芸子に化けて料亭に潜入するつもり。
 徹も赤坂の料亭を調査する。優子はコテツと呼ばれる赤坂一の芸子だった。当時の事を知る女将に会いにゆく途中、祈子を見かけるも、今は女将のいる料亭を優先。仲居の女に、大木優子なんて知らないから帰れと言われる徹。そんなはずはないと、中まで乗り込んで女将に会う。「客の情報を漏らさないのが掟」と言われる徹。女将は余裕だったが、ナイフを突きつけられ口を割った。
 料亭で飲食を開始する丸元と高倉。祈子の話になるも、芸子が来るという電話。芸子に扮して祈子が料亭に入り込んでいるものの、丸元とは別の部屋では野沢が飲んでいて、ちらりと目撃されてしまう。料亭の中で徹と祈子が対面。今の徹は、祈子と顔を合わせづらかったのか徹は逃げ出す。祈子は後を追いかけてしまう。
 芸子が欠けた状態で丸元の席は始まる。徹を追いかけたことで遅れて部屋に向かうも、まずは廊下で聞き耳を立てる祈子。しかし、背後には野沢が迫っていて気絶させられる。丸元が廊下の物音に気づいて芸子を下がらせ戸を開けると、祈子が倒れていて、高倉も確認。祈子は高倉が起こすも、祈子には丸元や高倉が野沢とグルなことを主張する祈子。しかし、丸元は野沢なんて男は知らんという。すでに野沢剣二は消えていたのだ。野沢の件はともかく、祈子は2人が嘘をついている証拠を1つ持っている。丸本達は友平がクラブで利一郎を滅多打ちの後、即死と証言する。祈子の主張としては、実際には1回も殴っておらず当たっただけ。救急車を呼びに行った後でも、利一郎は生きていたのだ。丸元賢三は殺人現場では動揺していて見間違えもあったかも知れないと誤魔化し始める。また、すでに死んでいたことは譲らない丸元、そして賛同する高倉。一瞬だが意識を取り戻したかも知れないと、あえて引く部分も賢三は見せる。ただ、友平が殺した事実は変わらないと断言。丸元は祈子が譲らないのを見て「考えがある」と宣言。祈子は「野沢を使って殺す気か」と図星を指されたのか、祈子にビンタを食らわせ警察を呼ぶという。高倉が執り成して、祈子には帰ってもらうことに。
 野上家は家族3人で買い物から自宅に戻り、特に静子が嬉しそう。信也や敬太郎も静子に関しては安心。そんな家の中に、徹が待っていた。信也は徹の無事を歓迎するも、静子は入り込んでいることに強い疑念。敬太郎も合わせて徹を責める。しかし、徹は「野上家の息子が自分の家に帰ってきて文句があるのか」とすでに父親を把握している。静子としては、信也1人しか産んでいないので、野上家の息子は信也1人だと主張。徹は2人だと言い張り、敬太郎を父さんと呼ぶ。徹は自分が敬太郎と、赤坂の芸子・優子との子供だと主張。徹の主張に信也も父へ説明を求める。すでに信也は信じ始めているのだ。敬太郎は断固として認めないものの、静子も信じ始めている。花子と一緒に信也の家を訪れる祈子。別ルートで母の保子も外に来ている。
 徹は家の中で暴れていて、調度品や窓ガラスとかを壊しまくる。徹は改めて敬太郎に詰め寄る。本人の口から公表して欲しい徹なのだ。信也はもう弟だと信じているのか、徹を兄として殴る。そこに祈子と保子が登場。徹は祈子に対して赤の他人だと言い放ち、徹は飛び出す。信也だけは保子に確認し、徹が弟だと確信することに。信也と祈子は夜の道で徹の話をしながら歩く。「暫くは母を見ているので、祈子に危険なことはせず、ゴルフの練習だけをする約束をしてくれ」と言われる。祈子が花子と公園を歩いていると、野沢の部下達に襲撃される。しかし、ゴルフボールを打って、追っ払ってくれる同世代の女子が現れる。姿は暴走族時代の祈子そのものだった。花子はその女子を鏡子と呼び、知っている模様だが、知らないと首を振る。名前を呼んだのに知らないは無いでしょ。鏡子はゴルフクラブを振るい、関節技で容赦なく暴力団員の腕を折る。祈子は礼を言い、名前を聞くと教えてくれる鏡子。だが、鏡子は「助けたんじゃない。お前を滅ぼすために鏡の国からやってきた」という。ナレーションでは、「祈子を憎む恐るべき理由が隠されていた」と語られる。


◆第12話 鏡の国から来た娘
 母の店で手伝いをする祈子と花子。司鏡子のことを知っているんじゃないかと花子に詰め寄る祈子。花子は会ったこともないとしらばくれる。店のガラスが割れ、店の中にゴルフボールが飛び込んでくる。犯人は鏡子だと確認し、敵だと確信する祈子。夜の街を歩く鏡子、大抵の者は避けて通るも、北斗七星会の男衆が絡む。あっさり、男衆は倒される。鏡子はライブ会場でピアノを見事に引き、拍手も受ける。花子は鏡子をつけていて、祈子に手を出さないでと頼む。間に入るから友達になって欲しいという。拒否する鏡子だが、花子は戦って欲しくないと言う。鏡子は聞く耳を持たない。徹と信也を同じ場所に呼び出せという鏡子。
 北斗七星会の元親衛隊がお花に問い詰めるも、鏡子が現れ、お花を連れ出す。花子には鏡子に従わざるを得ない恩義があるという。元親衛隊は祈子に報告。祈子は鏡子がどうして目の敵にするのかが分からない。
 夜の丸元家、庭ではゴルフの練習をする亜矢子。母の律子は祈子を人間として立ち直れないようにして頂戴と賢三にせがむ。野沢から電話が掛かり、鏡子の話を聞く。災いの種だという賢三。一方の野上家は徹のことで揉めている。花子が現れ、信也と接触。徹の居場所が分かったという。花子と出かける信也は徹を見つけて安心。兄と弟が会話し、信也は兄のつもり。徹は兄だと思わないと返し、信也は徹を殴る。徹は「祈子は一人の女だ」と言い。祈子が好きだと信也に宣言。祈子を奪うとも言う。殴り合いに発展。現れた鏡子がゴルフボールをぶつけると、兄と弟は即座に倒れる。鏡子の配下がバン(大勢が乗れる車)で現れ、兄弟を連れ去る。祈子を呼び出せと花子に指示。花子は徹が見つかったと、泣く泣く祈子を呼び出す。一部始終は野沢が見ていて、賢三に報告。賢三はアジトを探せと命令。ただ、賢三は「悪魔の子」とは別人かも知れないと、儚い想いも持っている。
 花子の指定した場所には、縛られた兄弟と鏡子、花子がいて、花子の裏切りを思い知る祈子。祈子を怒らせる作戦だった。戦いを挑む鏡子を、兄弟は口で止めるが、祈子は頭に血が上り戦うことに。鏡子も含め、敵の女達に囲まれる祈子だが、鏡子はタイマンだと言う。鉄パイプを花子から受け取り、戦うことに。祈子は啖呵を切って胸の傷を見せると、鏡子も胸の傷を見せる。それぞれの傷は鏡のような位置となる。配下の女に邪魔されながらも、花子は信也たちのロープを切る。追い詰められ、叩きのめさせれる寸前の祈子に信也と徹が駆け寄る。信也が鏡子から攻撃を受けて出血。今度は花子が拉致され、別の機会に勝負ということに。徹は祈子に対し、お前と兄妹じゃなかったことを、神様に感謝したいくらい喜んでいる。好きで好きで仕方ない。信也から奪うと祈子にも言う。
 丸元賢三は野沢の報告で、鏡子の胸の傷を知らされている。鏡子は少年刑務所を出所したようだ。人を殺した悪魔の子だと妻・律子は言う。あんな小娘、ひねり潰してやるという賢三。亜矢子が帰り、御殿場のプロゴルファー養成所へ行くという。野上の家に賢三が現れ、野上敬太郎に絶縁を宣言する。丸元物産は敬太郎の会社との取引を一切中止すると言って去る。信也と祈子が家に来て、徹についてまた話す。敬太郎は話を変え、亜矢子が養成所へ行ったことや取引中止の話をする。敬太郎からは災いの元だと強く言われる祈子。静子は泣き言を言って崩れるも、駆け寄る祈子には冷たい言葉。野上家を飛び出して泣く。


◆第13話 決闘!富士の裾野
 徹は優子の部屋に戻るも、荷物を取りに来ただけ。改めて優子は母を主張するも、徹は人間としては優子に感謝しているが母としては拒絶。野上家では落ち込む静子。徹だとは思わなかったが、静子はよそに夫が子供を作っていることは薄々気づいていて、口を閉ざすことで妻でいる道を選んでいた。復讐として妻としての役割を一切しないと信也に言う。そのことで責められたら離婚も考えるという。静子は自分がどうなってもいいと、信也が祈子に会うことさえも促す。
 信也は祈子と会い、夢を目指せと改めて諭す。亜矢子が現れ、ゴルフ養成所で実力を伸ばし、祈子と勝負するという。祈子は鏡子とは戦わず、亜矢子とゴルフで勝負する道を宣言。祈子達が戻った保子の店に、ボロボロの花子が送り届けられる。花子は布団で休ませ、花子は目を覚ます。鏡子は命一輪残してくれた。鏡子のすべてを知っているわけではないがと話してくれる。
 花子は中学生の時に少年院に入っていて、鏡子と知り合っている。父と母の命令で当たり屋をやっていた。小学生の頃からわざと車にぶつかって、運転手からカネを巻き上げる。中学生の時にはすでに何度も警察に捕まっている。親はすでに娘の当たりで暮らす有り様。花子は嫌だと言うのに親は強要してくるので、親を突き飛ばしてしまう。親が弾みで車に当たって、とっさに芝居をするも、車の運転手は小学生の時に当たって大金を巻き上げた相手と同じ男だった。親は無事だったがその時に捕まり、花子は少年院に。暴走族として暴れていた祈子よりも重罪のようだ(笑)
 花子は少年院で部屋長の鏡子と知り合い、鏡子は世話役に。ふざけた調子で自己紹介する花子。花子は徳永小枝(漢字はページ筆者の当て字)に目を着けられ、グループから激しいいじめを受ける。殴る蹴るの暴行や水攻め植物攻め。教官も見て見ぬ振り。いじめる理由は、顔が気に食わないからだという。食事も取り上げられ、反抗する気力も無い。教官と小枝はグルだった。ただ、鏡子もその時期には見つめていただけ。授業中に歌を歌えと命令されたり、鉛筆で首を就突かれたり、花子へのいじめは続く。歌ったことで教官に体罰を受ける花子。その時には鏡子も立ち上がり、徳永が犯人だと教官に言うも、教官は受け付けず、代わりに竹刀で叩き続けられる鏡子。鏡子が背中を見せて叩かれている時はスタントレディで、顔を向けている時は、クッションが背中にありつつ、なんだか弱い叩き方なのはご愛嬌。
 花子のいる少年院のある夜、教官と徳永グループが飲み食いしている所を目撃する花子。グループに入らないかと誘われる花子だが激しく拒否し、告発を宣言。しかし、徳永グループにリンチを受け、教官も竹刀で制裁しようとした時にナイフを投げて鏡子登場。徳永グループはあっさり叩きのめし、教官は竹刀で鏡子の顔を打ち、少年刑務所送りを言い渡す。顔を何度も打つも鏡子はひるまず体で詰め寄る。花子がナイフで教官をぶっ殺すと迫るも、鏡子に止められる。鏡子は人を殺したことがあるという。人を殺したら、魂が木っ端微塵に砕け散ると説教される。鏡子は教官を刺す。教官は3ヶ月の重症で死んではいない。しかし、鏡子は少年刑務所送り。
 鏡子への恩義を語り終えた花子。花子の知る鏡子はそこまで。祈子はまだ疑問。そんな鏡子がどうして自分を憎んだり狙うのか。花子にも理由は分からないが、かなり裕福な家のお嬢様だと語る。鏡子と戦うのはやめてという花子。祈子も戦いたくないと返す。花子は懐に果たし状を隠し持っていた。祈子との勝負の場所が記されている。朝、富士の裾野を指定している。祈子は友達になるには、勝ち負けをきっちりつけない限り、理由すら話してくれないと判断し、勝負を受けるつもり。カムバックを宣言する。信也は止め、プロゴルファーになることで事件の謎が解ける気がすると言い出す。プロ養成所へ入ってもらい、プロテストを促す信也。
 祈子は布団で鏡子の挑発を夢見る。祈子を憎む理由を知りたいし、祈子はもしかしてと思い始める。その確認のために勝負に出かけるのだった。出発時に保子に見つかり、信也も起きてくる。祈子は鏡子が憎む理由の予想を語る。友平の事件に関係あるかも知れないと。それ以外に考えられない。対決を宣言し、信也に攻撃して飛び出す。
 約束の場所には鏡子がいた。お互いにゴルフクラブ・5番アイアンを所持。祈子は約束を迫る。祈子が勝ったら、憎む理由を教えて欲しいと。鏡子はその心配は無用で、祈子がくたばる寸前に、耳元でたっぷりと話してくれるという。決闘開始、互角の勝負が続く中、野沢も監視。鏡子のアイアンは折れ、勝負が見えた。倒れる鏡子の首にアイアンを突きつけ、理由の説明を求める祈子。しかし、鏡子に起きられてしまい、今度は素手の格闘勝負。お互いに疲れ始めた時に、花子が恩義を受けた相手とは戦いたくないと改めて宣言する祈子。それでも話してくれないので、素手の鏡子に対して、改めて5番アイアンを持ち出すと、形勢不利な鏡子は「そんなに憎しみのわけが知りたいのかい」と言う。祈子の方から「お父さんの事件と関係あるんじゃないのかい」と切り出す。鏡子の本名は丸元鏡子、殺された丸元利一郎の娘だという。憎しみのわけが分かった祈子だが、乱闘を続けようとする鏡子。祈子は鏡子を投げ飛ばし、父のことで話があるという。そこに野沢が車で乱入。祈子の投げによってですぐには立ち上がれなくなっていた鏡子を野沢が掴んで車に乗せる。
 鏡子は野沢剣二を知っていて、余計なことをしてくれたと、いらつく。停めなという言葉に野沢は素直に停車させる。野沢は鏡子に「お前では祈子を倒せんぞ」と忠告。富士の裾野には信也が祈子を探しに来ていて、呆然とたたずんでいた祈子を叱ったりせず、無事を喜ぶ。祈子は信也に鏡子の素性を話す。利一郎の娘なら、いつか誤解は解けると、前向きな信也。祈子も同意する。真相が明らかになれば鏡子も分かってくれるはず。信也に謝り、ゴルフをしたいと宣言。プロ養成所へ入学することに決める。


◆第14話 女4人地獄の戦場
 信也の車で御殿場(静岡県)の女子プロゴルファー養成所へ行くことになり、横浜の家に迎えに来た信也。荷物を持って出てくる祈子。信也は忘れ物とか無いかチェック。保子は娘に通帳を渡す。店は祈子の元親衛隊と花子が看板娘として働いてくれる。富士山も見える道を通り、養成所に到着。黒木という指導員は神島の名前で反応。所長が応対してくれるが、信也は就職の面接も同時に実施。一流会社を辞めた理由を聞かれると、信也は祈子を見届けるためだという。信也と祈子の関係を聞かれ、幼なじみだけど兄と妹だと思ってもらえればと説明。男女関係はタブーという。どうやら信也はアルバイトとして採用。
 祈子は早速、亜矢子と対面するも、信也も現れ、亜矢子は去る。黒木の案内で、最先端(昭和末期なので古臭いけど)の施設やコンピューターを見せられる。コンピューター練習所では、冴子が練習していた。どうやら、鑑別所で綺麗な体になったようだ。亜矢子のことは大丈夫だと確信する信也だが、野沢が現れると雰囲気は一転。野沢は祈子の三途の川の水先案内人だと自称。命を狙うというわけだ。祈子は野沢に対して、信じる者や愛する者の話をするが、野沢は寂しくない、そんなもので生きていけるかと切り返す。祈子の前ではキッパリ言ったが、車で去っている途中には、祈子の言葉を噛み締めていたが、憎しみに変えると独り言。信也は住み込みの部屋を与えられていた。
 ビリアード場に野沢と徹がいた。祈子を付け狙う仕事の野沢だが、軽井沢からわざわざ東京に戻ったようだ。その場には保子が訪れていて、話を聞くことに。3年前、鉄道自殺をしようとして助けたのは野沢だった。線路をとぼとぼと歩いていた徹。電車が前方から現れると知ると、電車に向かって走り出す。そこに野沢が現れて、徹をぶん殴って自殺を止める。それ以来、実の弟のように思ってきたという。話は逸れるが、優子ママに惚れていた野沢だが、結構な年上趣味だったのだろう。ハタチの徹を弟扱いなわけで。信也を叩きのめして、祈子を奪えと言いつつ、俺に頼れとほのめかす野沢。徹は祈子のことでアニキの力を借りるつもりはないという。小遣いと称して、だいたい20万円くらいの金を徹に渡そうとする野沢。保子が飛び出し、金は返すと差し出す。むしろ保子の登場で、徹は金を受け取ってしまった。家に戻ってと頼むも徹は拒否。ビンタする保子、徹は祈子が好きだと保子に告白。保子を母さんとは呼ぶ。
 養成所で祈子は冴子と同じ部屋だった。鑑別を出たばかりで、高倉に紹介されたという。ここで呆れてしまった視聴者もいよう。暴れまくった祈子も少年院に行かず釈放されたが、脱走後に戻ったとはいえ鑑別所を脱走したり、元々はかなりの罪状で収容されていたというのに、少年院に行かず、まさか釈放だとは。まあ話の都合上、仕方あるまい。不良少女とよばれてでは、ヒロインは少年院にずっといて、ライバルも少年院という物語。祈子のライバルが、少年院に何年もいたら、話は進むまい。
 冴子は祈子に対する恨みを忘れたわけではないという。全然、更生していない。祈子はゴルフの勝負ならば受けて立つという。冴子は約束を迫る。ゴルフの勝負で負けた方がゴルフを捨てるという賭けだ。祈子は応じようとしないが、冴子としてはプロになるのが目的ではなく、祈子に勝つことが目的だと宣言。賭けには乗ってもらうと冴子は強く出る。そんな時に、亜矢子も部屋に入ってきて、亜矢子も賭けに参加し、祈子が負けたら信也を諦めるという条件を突きつける。冴子は徹と祈子が兄妹ではないことも知っていて、祈子に勝って徹を見返してやりたいという。どうも、冴子が負けた時には、徹を諦める模様、亜矢子は冴子の条件も察して、負けた時には信也を諦めるという。勝負を受けるか詰め寄る冴子。受けないと暴力で叩きのめすという。受けない場合、亜矢子の方は、理事に祈子が殺人者の娘だと知らせ、追い出すという。ブロテストの日に決着を着けると祈子は宣言。
 特訓が始まる。マラソンは強靭な肉体を作るための必須科目だという。必須でない科目とは、なんなのだろう? ルールの授業、リズム感や集中力を養うエアロビクスなどもある。エアロビは必須でない科目? まあ、大抵の生徒は全部やるんだろうけど。もちろん、打ちっぱなしの練習もある。
 社長・野上敬太郎の会社の会議室では幹部が集まっていた。新しい市場開拓の結果が出るまで待ってもらいたいという敬太郎。しかし、すぐ側に座る幹部からは、丸元物産に依存してきたと指摘され、新規と言っても丸元物産が睨みを効かせているとも言われる。丸元物産にも交渉を続けるという所で会議終了。帰り道は運転手によって車が用意されているが、歩いて帰るという敬太郎。
 夜の街、予備校の看板を見ている徹を敬太郎が見かけ後をつけると、徹はバーへ。敬太郎も店に入って徹の隣に座る。徹は怒ったり逃げたりせず、まずはなぜ居場所が分かったのか聞く。敬太郎は大学へ行きたいなら、保子の所へ戻れと指示。徹は店を出るつもりで、勘定を聞く。時間も僅かで1杯しか飲んでいないのに、バーテン(酒を用意する店員)は1万8000円だという。徹は「ボル気か、馬鹿野郎、人を見ろ」と請求額に納得しない。バーテンはこれくらいの額は常識だという。請求に応じない徹に対し、バーテンは目で合図し、客として座っていたヤクザを呼ぶ。野沢のアニキの影響力がないお店だろう。まあ、ヤクザが客の振りして常駐しているということは、勘定時に揉める前提なわけで、軽いボッタクリは違いない。しかしながら、1万8000円は、ついつい払ってしまう客も多そうだ。東京・歌舞伎町とかの本格的なボッタクリではなく、プチ・ボッタクリは昔からあったようだ。徹の場合には、女の子が隣に座るわけでもないので、納得できまい。ブラック・エンジェルのヘッドで大金も扱うはずだが、金銭感覚はしっかりしている徹。ヤクザ達が徹へ向かおうとすると、敬太郎が払うと言う。徹は拒否し、3000円を出す。今度はバーテンが納得せず、ヤクザが襲ってくるが徹は返り討ち。乱闘を止めようとするも跳ね飛ばされる敬太郎。立ち上がって3万円を出すも、徹はヤクザを全員倒し、3万円はまとめて破り捨てる。敬太郎に言葉を投げ捨て、徹は去る。
 家に戻る敬太郎だが、静子が酒を飲んで出迎えもしない。徹に会ってきたんでしょと、女の勘で当ててしまう静子だが、敬太郎は認めない。信也からの手紙が届いていて内容は示されないが、翌日、敬太郎は養成所にやってくるので、近況報告で確実。ほうきをゴルフクラブに見立てて振る練習があるが、これは馬鹿げていると思った。鑑別所ならばほうきでもいいが、養成所ならゴルフクラブ以外には持つ意味がない。案の定、祈子は隣りにいる亜矢子に、ほうきをかすってしまう。黒木コーチがもっと間隔を開けてやれと指示するが、そもそも亜矢子が近づいているのが悪い。
 練習中に敬太郎が祈子を建物内で屋根とイスのある休憩所みたいな場所に呼び出す。まずは、練習中に呼び出して済まんと友好的な語り出し。頼みがあってやってきたと言う。椅子に座ったままだが、テーブルに手を着いて頭を深々と下げ、信也のことは諦めてくれという。信也が亜矢子と結婚しないと、野上家が滅びてしまうという。代わりに、野上家に徹を受け入れてもいいと思っているという。何度も頭を下げる敬太郎だが、祈子は勝手だと判断し、嫌と逃げ出す。亜矢子も話を聞いていて、亜矢子とすれ違う。
 敬太郎は今度は信也の部屋へ。静子がアルコール中毒だと打ち明ける。母を助けることができるのは信也だけだという敬太郎。亜矢子との結婚を促す。信也の部屋を祈子が見ていて、信也は気づいて飛び出す。祈子は逃げ出し、信也は追いつく。信也は祈子を選ぶも一旦、家に戻るという。祈子は信也を苦しめたくないのでいなくなるつもり。敬太郎の車で東京へ戻る信也。すれ違いで、鏡子を乗せた野沢が車でどこかへ向かう。
 出てゆく前に夜中に練習する祈子、冴子と亜矢子がやってきて、まずは亜矢子が祈子に詰め寄る。祈子が養成所を出ると言うと、冴子が出てきて勝負はどうなるのか祈子に話させる。プロテストの日にと言い、プロは諦めていない祈子。走り去ろうとする祈子だが、鏡子が現れた。
 鏡子は「逃げ出そうたってそうはいかないよ」と祈子を静止させる。祈子を粉々に打ち砕くためにやってきたという。鏡子はすぐに亜矢子に矛先を変え、「久しぶりだね。お前にも容赦しない。お前がお嬢様ぶっていられるのは、お前の両親がお父さん(利一郎)の財産を乗っ取たからだ」と亜矢子の髪を引っ張って服従させる。なすがままの亜矢子。祈子は養成所を去るどころではなくなった。


◆第15話 恋捨て記念日
 翌朝、亜矢子が祈子と冴子の部屋を訪れ、養成所を出るのか聞いてくる。勝負はプロテストの日ということで、養成所は出ることを奨めてくる亜矢子。鏡子は丸元家では悪魔の子とを呼ばれていた。相手が憎い祈子でも、鏡子に命を狙われているとなれば、祈子の命を優先。亜矢子はなにも祈子に死んで欲しいわけではないのだ。鏡子も現れ、亜矢子は髪と腕を掴まれ、軽い悲鳴を上げつつ鏡子に連れ出される。これには冴子も気になる様子。個室に連れ込まれ、「あたしのことで余計なこと言うんじゃないよ」と往復ビンタされる亜矢子。ここを出るのはお前だと亜矢子に言う鏡子。鏡子の攻撃の時、冴子が現れ止めようとするも、鏡子にねじ伏せられる。冴子は反撃しようとするも、祈子が止める。ここはプロゴルファー養成所、ゴルフで戦うべきだとみんなに言う祈子。
 丸元物産では、野上の会社(扶桑工業)の幹部ながら、すでに野上敬太郎を裏切っている男が、丸元賢三と会っていた。丸元としては、扶桑工業の会社の次の社長に据えるつもりで、男はヘコヘコしている。丸元律子が野上静子を友達と称して銀座の喫茶店に呼び出していた。敬太郎が社長の座を追われる話をする。信也と亜矢子の結婚も改めて願う律子。静子は信也を死ぬ気で説得するという。
 ゴルフのショットの練習場。鏡子は150ヤードの看板を見ろと祈子に指示し、あっさりとボールを当てる。祈子も負けじと看板にぶつけて破壊する。祈子は林に鏡子を呼び出し、父の話をしたいという。友平が利一郎を殺したとされる事件に関し、友平の部分は真実ではないという。父は無実で、自殺ではなく殺されたと鏡子に打ち明ける。しかし、鏡子は弁解はやめろと取り合わない。利一郎は鏡子を愛してくれたが、叔母の律子やイトコの亜矢子は肉親なんかじゃなくて、泥棒猫だという。少年刑務所を脱獄して殺人犯を殺してやろうと思ったが、友平は死んでいた。どこに怒りをぶつければ悩んでいた時に、祈子が不良少女になっていたのでターゲットを定めた。鏡子は刑務所で模範囚となり、古武道の稽古もつけてもらう。祈子は話をたくさんしたいが、鏡子は話はこれまでだという。亜矢子は盗み聞きをしていて、鏡子に指摘されると逃亡。
 東京の家にいる信也。敬太郎が戻り、会社取引では至る所に丸元の圧力が掛かっているという。役員からも責任を追求する声が出ている。丸元の息の掛かった役員からだ。信也に改めて結婚を促す。信也は一生丸元の言いなりになると父親に示唆するも、敬太郎は冷静でいられない。敬太郎の本音を聞いたつもりの信也。今度は徹を家に入れる話も持ち出し、信也は「卑怯だ、最低だ」と言い始める。静子も戻っていて、廊下で立ち聞き。信也は折れず、敬太郎は退散。静子と敬太郎が廊下で立ち話となるも離婚を考えている話を出す静子。
 徹は野沢の賭場でルーレットをしている。その場には後に祈子と戦う勝田もいたがセリフはない。徹は適当に数字に賭けるも当たるはずもない。野沢はまた徹に10万円くらい金を出す。丸元家のメイド冬子がサングラスで訪れていて、兄さんと呼ぶ。どうも兄と妹の模様。鏡子の連絡がないので聞きに来た冬子だが、野沢は養成所に鏡子をぶち込んだことを冬子に語る。そんな大事なことを丸元に黙っているので冬子は怪訝。丸元から恩義を受けているのに裏切るのかと迫る冬子。徹が盗み聞きしていて、野沢が問い詰めようとすると、子分が一斉に徹を囲もうとするが野沢は口で制する。お金を返しに来たんだな、女を口説くにもカネが要ると徹を出かけさせる。冬子との会話が再開し、鏡子のことはまだ暫くは丸元には黙っているよう冬子に指示。
 信也は静子のアルコールをやめさせるために他のことを提案。静子はドライブに行こうと言い、行き先は御殿場がいいという。御殿場といえば養成所がある。アルコール中毒よりはいいと判断し、ドライブ開始。信也は予想はしていたが、静子は養成所へ行って祈子や亜矢子に会いたいという。信也は車を停めて会ってどうするのか問う。どっちが信也のお嫁さんにふさわしいのか見てみたいという。しかし信也は、静子が他のことを考えていると判断している。
 20kmマラソンが始まり、養成所から離れて走る。祈子にも泥棒猫だと指摘する鏡子。信也を亜矢子から奪ったことだ。徹もバイクで御殿場に来ていた。信也は祈子に何もしないと誓いを立てさせようとする。そんな時、祈子達の走る姿を見る。鑑別所にまで行った娘を嫁にできますかと、やはり祈子を嫌っている静子。祈子を誤解していると信也は静子に指摘し、祈子とは別れないと母に宣言。静子は最後のお願いだと言い出す。祈子が信也を見かけ車に寄るも、マラソンを再開して去る。信也は祈子を追う。その隙に静子は車からいなくなっていた。母さんと何度も叫ぶ信也の声を祈子や亜矢子はキャッチ。叫ぶ信也の所に、祈子、亜矢子、鏡子、冴子が集合。マラソンの指導員は、樹海の恐ろしさを語る。霧も深いので待っているように言う指導員だが、皆は静子を探す。亜矢子と話している信也は、祈子も見失う。冴子は徹を発見し、プロゴルファーになる話と、女同士の賭けのことを伝える。静子を探すことに徹も参加。祈子は崖を滑り落ちてしまう。チャンスとばかりに、鏡子は小さな岩を持ち上げて祈子にぶつけようとするも、亜矢子が現れ中止。鏡子は亜矢子を連れ出す。奥に引きずり込んで、帰れなくするつもりだったが、祈子が亜矢子をサポート。徹は祈子を連れ出すつもり。祈子は軽く滑る静子を発見し、介抱しようとするも、静子はヤケになっている。信也が聞いていることを知りつつ、祈子は静子に暴言。信也は怒り出すも、静子をまだ言葉で責める。こんな母はお断り、信也のお嫁さんになんてならないと宣言し去る祈子。祈子が信也のためを思ってしたのだと、木に向かって独り言。徹が見ていたが、祈子の信也への気持ちを知り、祈子をさらうことは断念して去る。祈子は徹が去るのを確認。静子は怒っていたが、信也は祈子の気持ちを分かっていた。車に静子を乗せて去っていく信也の様子を祈子は見ていた。


◆第16話 明日なき闘い
 養成所ではゴルフに熱中しようとする祈子。パットの練習をするも、祈子が打ったボールを鏡子が打ったボールでぶつけて邪魔する。母に手紙を遅り、安心させようとする祈子。静子を東京の家に戻し、信也は改めて御殿場へ。静子は祈子を許さないつもり。冴子や亜矢子のゴルフにケチを付ける鏡子だが、祈子は2人共にいいゴルファーになると返す。それにしても、4人で1つのテーブルで食事しているのが笑える。祈子の隣には亜矢子、祈子の向かいには鏡子、斜め向かいに冴子(鏡子の隣が冴子)という位置。
 信也が車で養成所に着くと、丸元夫妻も様子を見に訪れていた。娘にプレゼントも持ってきていた。黒木(指導員)に案内される夫妻。祈子を目撃し驚き、律子は人殺しの娘まで指導しているのかと詰め寄る。黒木は祈子が神島プロの娘だと知っているので、「練習生の家族の経歴や職業は問わない」と返す。そこに亜矢子もやってくる。理事長を呼べと律子は譲らないも、亜矢子が止める。ゴルフで決着を着けると亜矢子は母をなだめる。祈子が外へ飛び出すと信也が現れ、母・静子の側にいないことに驚く。信也は祈子の心を見抜いていることを祈子にも伝える。ただ、祈子で解決しようとする態度には残念に思い、自分を信じろと言い抱き合う。
 亜矢子の部屋に父母が訪れている。律子は祈子にいじめられているのではないかと心配するも、祈子はそんな人ではない。父母の思っているような人ではなく、フェアな人だという。丸元賢三は馬鹿なと驚く。まあ、確かに邸に忍び込まれてナイフを突きつけられたり、宴席に乱入したりと、賢三の心象は良くあるまい。祈子がいなければ逃げ出していたとも告白する亜矢子。練習が厳しかっただけ、早く帰ってと促す亜矢子。両親を外へ送ってゆく亜矢子だが、鏡子が見ていることに丸元の3人は気づく。そこに信也と祈子も現れ、少し離れて様子見。鏡子は叔父、叔母、亜矢子の前に現れる。律子のコートを剥ぎ取る鏡子。財産を乗っ取って買ったと鏡子は言う。賢三は利一郎の家は丸元物産の所有物だったという。税金のために会社名義にしていたが、利一郎がいなくなったのをいいことに、名義の理由を知りつつ賢三が乗っ取ったと主張する鏡子。賢三が丸元物産の社長のイスを狙って、利一郎を失脚させようとしていたことを知っていると鏡子は言う。信也と祈子はしっかりと、そのことを聞く。ただ、そうなると、鏡子は利一郎殺害事件に関し、丸元賢三を疑っても良さそうだが、犯人として友平一択だったのは矛盾の域。律子は亜矢子を養成所から出てゆかせようとするが、亜矢子はここに残ると去る。祈子に恨みを晴らしたら、次は賢三たちの番だと宣言する鏡子。家も財産も返してもらうと賢三を脅す。祈子と信也は「賢三が社長の椅子を狙って利一郎を追い落とそうとしていた」と確信。
 賢三に何度もビンタで殴られる野沢剣二。鏡子のことを報告しなかったからだ。野沢は丁寧に謝罪。冬子もその場にいる。冬子は兄は、祈子と鏡子が相打ちになるよう仕組んでいるとフォロー。賢三は上手くゆけばそうなるとしながらも、祈子・鏡子が同じ場所にいることで祈子が余計なことを知ってしまうことを恐れている。すでに祈子には最も知られたくないことを知られてしまったのだ。賢三の指示は、2人を養成所から追い出し、殺し合いをさせることだという。まずは祈子をターゲットだと野沢は伝える。
 野沢の賭場ルーレットでは、徹がメチャクチャな賭け方をしている。そこに優子が現れ説教。徹は剣二アニキがついていると得意な様子。徹は「ギャンブルは最高さ。何もかも忘れられるし、時間も飛ぶ」と言う。優子の説教と心境告白を聞かされる徹。徹はますますやけに。
 ついに優子が直接に敬太郎と話をする。徹が祈子を好きなことも報告。優子は敬太郎に徹を立ち直らせて欲しいと頼むも、敬太郎は関係ないと突っぱねる。負けが続く徹だが、野沢はチップを追加してくれる。それでも勝てない徹だが、ついにマグレで当たる。次勝てば、負けた分はチャラになる。野沢はディーラー(ルーレットを回す男)に目配せ。野沢の賭場なので、いつでも野沢の指示てイカサマができる模様。さっき当たって手に入れた分も含め、全チップを14の目に賭ける徹。ルーレットの玉は一旦は14に入るも、跳ねて隣の2に入ってしまう。磁石でも入ってる? 全部賭けてしまったのでスッテンテンの徹。
 野沢は徹に「そろそろ精算してもらわないと」と迫る。億は楽に超えているという。殺してくれと言う徹だが、一文の値打ちもないと野沢に殴られる。保子や優子に払ってもらおうかと脅す野沢。助かる方法は、徹の命を賭け、祈子にゴルフの勝負をやってもらうことだという。徹は祈子に迷惑をかけたくないので、本当の父・野上敬太郎の名前を出す。早速、野沢は賢三に報告。
 敬太郎が野上家に戻る。静子が生花を1人でしているも、敬太郎は無視される。リビングには徹がいて、更には野沢と部下達もいる。断りもなく人の家にと敬太郎は非難するも、息子の徹に入れてもらったという。賭場で1億2000万円の借金を作ったので払ってもらいたいという話。命は保証できないという。なんの関係もないので払わないという敬太郎。徹に諦めを促し、野沢達は徹を連れて去る。静子は敬太郎に自分の子供を見殺しにする人間であって欲しくないと言葉をかける。野沢は祈子を呼び出し、徹が捕まっている話をする。徹を助けたければ、プロとゴルフマッチをやって、祈子が勝てば徹の借金はチャラだという。祈子が負けたら徹は自分で死ぬことになる。場所と時間を伝えて、すぐに去る野沢。ページ読者はこの条件を覚えておこう。
 保子は店の権利書を用意し、優子と会っていた。保子の店は2000万になるかならないか。優子も店の権利書を用意していて6000万にはなるという。計8000万となれば、額面通り取ろうとしないはずだという優子。徹の母は保子だといい、保子に野沢の事務所へ行ってもらう優子。徹には二度と会わないという。権利書を持って野沢の事務所へ行くも、持って帰るよう促される。不足だという。保子は警察に訴えるというも駄目。徹の件は祈子に任せることにしたと野沢。ゴルフで勝負、華粋会と玲子との賭けゴルフで決まるのだ。権利書を持ち帰り、優子の店へ行く保子。優子と一緒に敬太郎の会社へ向かうも、会議の内容が聞こえ、赤坂の芸子に産ませた隠し子の話まで出ている。裏切り者の幹部が野上社長の退任を要求し、挙手で決定する。とても、頼み事ができる雰囲気ではない。
 ゴルフの打ちっぱなしで、プロの勝田が練習している。初登場ではなく、初めてルーレット場が出たシーンで、姿だけ登場済み。試合があると伝える。祈子の相手は勝田だった。祈子は自室で野沢の条件を回想している。借金チャラか徹が自分で死ぬかの2つだ。冴子は徹を助けてと祈子に頼む。信也に黙って抜け出そうとすると、亜矢子と鏡子が現れる。逃げ出すつもりなのか問い詰められるも、友平の墓参りだとごまかす。指導員の黒木に休暇願いを出す祈子。黒木は友平からアドバイスによって、何度も落ちていたプロテストに合格している。重い荷物で歩いてゆこうとする祈子を信也は外で待っていた。お見通しなのだ。信也は止めるのではなく、キャディを務めるのは自分しかないという。弟・徹の命が掛かっていし、祈子の気持ちに反対なんてしないのだ。信也の車で勝負のゴルフ場へ向かう。


◆第17話 命賭けた闇ゴルフ
 徹は自分で首をくくろうとするが、また剣二に殴られて自殺を止められる。剣二の方が背は明らかに低いのだが、徹をなすがままにする剣二は凄い。
 野上家では、敬太郎と静子が話す。試合はなんとしてもやめさせねばと発言。信也の車はゴルフ場に到着。ピンクのゴルフウェアに着替える祈子。更衣シーンは無かった。鑑別所ではスッポンポンの女性もいたのに。
 野沢剣二と冬子、そして対戦相手も現れる。勝田プロだと紹介される。全日本で優勝経験もあるが、ゴルフ界を追放されたので、元プロとなる。野沢の配下に捕まっている徹を確認する祈子。変装した丸元や、冴子もいる。祈子が負けたら、冴子は飛び出して徹を救うつもり。
 負けた時の条件の確認をする野沢。いつの間にか負けた時の剣二の要望が「徹の命 もしくは 信也と縁を切って、養成所を出る」という条件になったのが呆れる。その条件を飲むしか無かったと信也に言い訳。野沢は、賭けの掟破りには死の制裁だという。野沢にとっても、その制裁は同じのようだ。ルールの説明が野沢からある。9ホールで勝ち負けを1ホールずつ決める方式。よって、あるホールでOBばかり出して負けたとしても負けが1つになるだけで、オーバーした打数は以降のホールに持ち越さない。もちろん、イーグルとか出しても、そのホールで勝ち点が1つ増えるだけ。どちらかが5点の勝点を取ったら決着。男女の差もありハンデも無しなので信也は野沢に食ってかかるも、野沢はスクラッチ(ハンデ無し)を宣言。祈子は元より、ハンデなんてあると思っていなかったのか了承。
 1番ホールでは向かい風。力のある男性の方が距離で有利。祈子の3打と勝田の2打が似たような位置、「勝田1:祈子0」。2番ホール「勝田2:祈子0」。勝てそうにないと弱音を吐く祈子。戦って敗れるならいいが、戦わずに逃げるのは恥だという信也の言葉に励まされる祈子。3番、4番ホールは引き分け「勝田2:祈子0」。勝田は酒とギャンブルで身を崩した男、必ずミスショットが出ると信也は祈子に言う。5番ホール追い風で、不利さが緩まる祈子。風の計算で左右されるホール。勝田は大きく打ち過ぎ、OBを予想。キャディの冬子は残っているはずと楽観的。しかし、実際にはハミ出ていた。冬子だけ先に行き、ボールを内側に戻すも、見ていた冴子は改めてOBの位置にセット。パットでは、もう少しの所でカップに入らないが、勝田はO.K.をくれて打たなくても入ったことにしてくれた。大人の余裕、元プロの余裕って奴かな。「勝田2:祈子1」。6番ホールではもミスショットした祈子だが、チップイン・バーディー(パットではなく、アイアンで遠くから打ったら、そのままカップに入った)で「勝田2:祈子2」。7番、8番ホールは引き分けで「勝田2:祈子2」。
 区切りとなる9番ホール、勝者が決まれば最終ホールとなる。敬太郎が札束が入っている大きなバッグで決戦のゴルフ場に到着した。野沢に怒鳴られる勝田。勝田はこのホールで勝負をつけるという。負けたら勝田もただでは済まない。敬太郎が現れ、野沢に金を差し出すが、受け取れないと突っぱねる。信也は父を見直す。徹と敬太郎も顔を合わせ、徹は気まずい顔。
 9番ホールで決着をつけねばと、力んだ祈子は林に打ち込んでしまう。勝田は難なくフェアウェイの真ん中に。木が邪魔して、落ちた場所は高低差もあり、まともに打てない祈子。なんとかフェアウェイに戻した祈子。勝田は冬子が差し出したクラブを受け入れず、クラブは自分で決めた。バンカーに落ちる勝田のボール。祈子はグリーンに乗せたがカップはまだ遠い。勝田はバンカーからリカバリーし、グリーンに乗せる。同じく3オン。
 勝田の方が遠いので先に打つ。勝田はグリーンのパットでカップに入れられず、後ちょっとで入る位置に止まった後に、祈子は「O.K.」と言って、次に打たなくても後一打で入ったことにする発言をしたシーンには呆れ笑える。徹の命が懸かってるのに、その発言は馬鹿げているので。祈子はロングパットをカップに沈める。祈子は「勝った」と勝利宣言。勝田とかぶっているのは偶然?
 ヤクザな野沢だが、徹は即座に開放された。冴子は変装した丸元にナイフを突きつけて、皆の前に連れ出す。野沢を使って、父の真相を知ろうとするのを妨げる人間だと祈子は確信。覆面は取らなくても、丸元だとも見抜いている祈子。無実を証明すると丸元に言葉を突きつける祈子に、丸本は無言。
 祈子達が去った後、覆面を取った丸本はクラブを持って剣二を2発殴る。この前のようなビンタでは済まなかったようだ。叱りつけた後、4連発でまた殴り出す。出血した野沢は賢三を睨む。餓死寸前の兄妹を高校まで出してやった恩を改めて着せると、剣二はしおらしくなる。父親同然の人間だと賢三に言う。賢三は祈子を許すわけにはいかない。鏡子も含め、失敗は許さんとも付け加える。
 敬太郎は徹の父親だと認める。徹は父を友平だという。二人切りで話す祈子と徹。徹は祈子と生きたい、信也と別れてくれというも、徹は冴子に怒られる。徹を殺して私の死ぬという冴子。冴子は信也と祈子に抑えられ、泣き崩れる冴子。祈子から冴子の愛を突きつけられる徹。去る徹だが、祈子は冴子に徹を頼む。冴子は養成所を出ることにするが、プロテストは受けて欲しいと頼む祈子。
 自宅に戻った敬太郎は静子と話す。命がけで徹を救おうとする祈子を見て、敬太郎は祈子への認識を改めていた。信也が祈子について話していたことは正しかったと静子に言うも、静子は認めない。祈子も自宅に戻って、徹の無事を語り合う。花子は鏡子が養成所にいることが心配。ゴルフで鏡子と勝負することになっていると言う祈子だが、花子は鏡子の恐ろしさを知っているので祈子の意見にも同意しない。祈子は打ち解けて話し合えば友達になれると楽観的。花子もそれが祈子の魅力だと認識し、鏡子がヤバイことを知りながらも、それ以上は祈子に言わない。花子は保子の店を辞め、歌手になりたいと言って保子の静止を振り切る。
 養成所の祈子の部屋には鏡子が待っていた。大方の事情は聞いているのか、今夜は休ませてくれるという。卑怯なマネはしないでおこうと提案する鏡子だが、知ったこっちゃない模様。亜矢子の部屋には夜にもかかわらず両親が訪れ、亜矢子を退所させようとする。娘をビンタして廊下へ引っ張り出す賢三。祈子や鏡子なども騒ぎを聞き廊下へ。賢三によると鏡子は義理の母を殺しているという。亜矢子は消えて、冴子もいないし鏡子と二人切りになる。鏡子は継母をベランダから突き落とした女だと自称。回想シーンでは、おとなしい服だった。
 翌日、野沢や花子は養成所に到着して祈子達の練習を見ている。


◆第18話 友よ安らかに眠れ
 信也との待ち合わせで抱きしめ合う祈子。プロテストまで3ヶ月。ゴルフに集中しろ、鏡子の挑発には乗るなと言い聞かせる信也。鏡子と野沢が会っていてた。野沢は鏡子を焚き付けるが、鏡子は自分のタイミングでやる。ゴルフの殺し技があるという。花子と鏡子が話す。祈子の父親が殺したというのは思い違いだと言う花子だが、鏡子は考えを曲げない。
 自宅の亜矢子は養成所に戻ろうとするも、冬子にぶたれ、賢三の意思で祈子や鏡子の生きる道がないと示唆。亜矢子はどうして、父がそんな態度なのか不信感と不安感。
 臨時コーチとして、養成所に高倉がやってくる。練習生の中で優秀者3名が高倉と一緒にプレイできる。祈子と鏡子がメンバーに入っていた。他の女子達も近くでプレイを見る課題となる。マッチプレイが始まり、信也は楽天的だが花子は心配している。祈子はラフ(伸びた芝や草の部分)にボールを落とす。高倉は祈子のミスにアドバイスをしてくれる。信也は多くの人間が見ているので、何かが起こるはずがないと決めつけている。祈子はラフから打ってまたミスするも、その方が高倉のアドバイスが貰えるという状況。次はバッチリとグリーンへ。アドバイスを活かし、次のホールはナイスショット。今度は鏡子が林へ打ち込むが、わざとっぽい。林から鏡子が打ったボールが木に当たって軌道が変わり、祈子の腹部を直撃。倒れ込む祈子。高倉、信也、花子が介抱する。野沢が称賛の言葉を鏡子に言うも、うるさい、消え失せろと、鏡子も野沢が嫌いな模様。祈子は目覚め、鏡子を責めることはせず自分の責任だという。花子は鏡子に苦言。信也に祈子を病院へ促す高倉だが、プレイは続けたい、高倉に教わりたいと言う祈子。その後もマッチは続くも、やはり祈子は倒れてしまう。信也に担がれ病院へ向かう。高倉は鏡子を責め、祈子を狙うのは筋違いだとも指摘。恨みを晴らさねば父が報われないと返す鏡子。祈子に罪がなかろうと、友平の償いをさせると考えは変わらない。神島友平が犯人で間違いないか確認してくる鏡子に、高倉は暫く答えられず、間違いないと返す。
 祈子の容態は2、3日の安静で回復だという。鏡子は改めて高倉に、さっきの言葉を信じていいのか確認するも、高倉は無言で去る。母・保子が店で働いている時に目まいで倒れそうに。布団で休むことに。徹は冴子の部屋でつまらなそうにしている。徹に大学へ行くよう勧めつつ、冴子は働くという。恐らく、徹の大学の費用を稼ぐという意味だ。いやー、女に惚れ込まれるっていいねー。徹は出てゆくも、冴子は追いかける。徹としては、命を狙われる祈子を守りたいのだ。冴子も祈子のために体を張る決意。
 丸元家では掃除する冬子を後ろから物で殴り、亜矢子は家を出る。祈子は目を覚まし、信也と会話。祈子は鏡子が狙い撃ちしたことは把握していた。花子がおらず、鏡子の所へ行ったと判断した祈子は、信也に探すよう願う。
 物置に鏡子を呼び出した花子。改めて花子は鏡子に頼むも暴力が飛んでくる。信也が駆けつけ、今度は信也が痛振られる。腕を折られる信也。鏡子は逃亡。腕のことは祈子には黙っていてくれと花子に頼む。信也といつもの木で待ち合わせる祈子だが、信也は来ない。花子は部屋で休む信也の所に来て、隠れるよう促すも、体調は最悪。祈子も部屋に現れる。信也は練習しろというも、花子は祈子に連れ出され、鏡子の仕業だと確認。祈子は信也のことで、もう我慢できない。亜矢子が養成所に戻ってきており、信也の容態を伝える。練習する鏡子に祈子が近づき、決闘の場所と時間を伝える。花子も朝6時の決闘については聞いていた。朝、先に到着していた鏡子の前に現れたのはナイフを持った花子。花子は鏡子を殺し、後で自分も死ぬという。乱闘中に祈子が駆けつける。野沢、徹、信也と亜矢子も決闘現場へ向かう。足を滑らせ転落した花子は、自分のナイフが腹に刺さり瀕死。死ぬ前に、祈子は私が信じた人。祈子と友達になってと願う。鏡子は祈子と話し合うと約束。花子は死んでしまう。ようやく、鏡子は祈子に対して心を開きかけようとしていた。
 

◆第19話 継母の陰謀
 花子の遺体を運ぶ祈子や鏡子達。花子の祈りは、頑なな鏡子の心を押し広げて光を差し込んだ。新聞では「富士樹海で少女事故死! 背後に複雑な関係 3年前のゴルフ場殺人事件に疑惑?! 父の無実を訴える犯人の娘!!」 と見出しが出る。丸元律子は新聞を見て怒る。しかも、丸元の家には事情を聞こうと週刊誌の記者が押し寄せる。賢三はニューヨークにいち早く出張していた。律子は私が動くしかないと奮起。賢三に黙って推し進めるつもり。冬子に祈子を始末しろと命令。世に出られなくしろと言った後、死んでしまえばいいと殺人を教唆。高倉も記者に囲まれる。当時の高倉も友平が犯人だと証言しており、今になって追求される。
 花子の葬式が執り行われる。冬子が様子を見ていて、兄の剣二が止めようとするくらい。祈子を甘く見るなと妹に忠告するも、冬子は作戦に自信たっぷり。花子を悼むみんなの言葉、高倉も葬儀に訪れる。祈子は高倉に真実を迫るも、高倉は葬式での形式的な言葉だけで去る。
 葬儀は終わり、集まったみんなに信也が語る。花子によって、祈子と鏡子の意見がようやく一致。鏡子はまだ父を殺したのは友平だと信じているが、話し合うことは決意。まずは鏡子が話をする。亜矢子には耳が痛い話もあるという。
 鏡子と亜矢子はいとこ同士、祖父が丸元物産を興した。補佐をしてきた人が2代目の社長で、利一郎を副社長に据え、社長としての利一郎の成長を待っていた2代目。長尾賢三(丸元に養子に入る前の名)は専務だった。鏡子の母は亡くなっており、家族は利一郎と2人きりだった。鏡子には優しい父親。プロゴルファーになれとも言う。利一郎はプロゴルファーになるのが夢で、娘は夢を叶えてくれる夢の少女。中1の頃の鏡子は純粋だったが、中2ですっかり変わった。長尾賢三が今井ミキという女を連れてきた。ミキは利一郎の再婚相手に。新しい母ミキは利一郎のいる前では優しいが、利一郎が出社すると冷たい。母の遺品も漁るミキ。鏡子の母を主張し、女主人はミキだという。産みの母の遺品を触らないでと訴えた鏡子に腹を立てたミキは、鏡子に顔に口紅を塗りたくる。鏡子はミキにやられたと父に泣きつくも、ミキはとぼけ、しかも利一郎はミキの方を信じ、鏡子にビンタまで食らわせる。ミキはしたたかで、まさか裏の顔があるとは鏡子以外の皆は知らない。非はすべて鏡子にある、誰もがそう思っていた。亜矢子もそうだった。
 鏡子は長尾賢三とミキの正体を見てしまった。学校をサボる癖がついていた鏡子。2、3時間外をブラブラして家に戻ると、賢三とミキはベッドで男女の関係を始めようとしていた。しかも、利一郎の仕事振りまでも馬鹿にしている。数日後に利一郎の誕生パーティー。時田というプロゴルファーが曲打ちを披露する。跳弾がグラスの中に入ったり、同時に3つのクラブで3つのボールを打ち、3つ共にグラスに入れるとか。そして、次の球は木に跳ね返り、利一郎の頭を狙っていた。鏡子は警戒していたので、利一郎を狙うボールを胸で受け止めた。手元が狂ったということにして、時田に罪を着せるための賢三とミキの陰謀だった。鏡子は一命を取り留めた。祈子のような格好をして継母をベランダから突き落とす。鏡子の心は壊れる。夢や希望は粉々に砕け散る。亜矢子は嘘だと主張するも、鏡子は後で父親に確かめてと返される。
 ここで疑問、ベランダの時はまだ祈子は暴走族の姿ではないはずなのに、中2の鏡子は祈子と同じ格好だった。しかも、前回の回想シーンでは、おとなしい服装だったのに。現代の鏡子の思考回路にも疑問。丸元賢三に依頼された時田が利一郎を殺そうとしていた事実を知りながら、神島友平が殺したと聞かされた時に、あくまで実行犯が神島で、依頼した真犯人は賢三だと思わなかったのだろうか? 言い換えると、友平が死んだ以上、矛先は賢三でいいはずだ。
 少年刑務所で父の死を知らされた鏡子。犯人は神島友平だと。今度は祈子が話し出す。時田真介を鏡子が知っているので時田から聞いた話をする。時田が3年前の真相を知っていた。時田は友平が無実だと言ったことを話す。鏡子の父も友平も、悪巧みの犠牲になったと信じている祈子。祈子を信じると言った鏡子、事件をもう一度洗い直してみて、真犯人を見つけ出すという。
 徹は父と母は友平と保子だといい、祈子の盾になるともいう。祈子は養成所に戻って、今まで通りプロを目指すと鏡子に言う。しかし、鏡子は人を殺した瞬間に砕けたという。夢は祈子に託す鏡子。和解が成立したのだ。
 信也と御殿場の養成所に戻った祈子。野沢も先回りしていた。祈子が部屋に戻ると、花子の写真をかざる。ゴルフバッグからアイアンを取り出し、クローゼットを開けるも覆面の冬子が潜んでいた。冬子の作戦ってこれなのか? いや、ナイフで脅して外に連れ出し、倉庫へ。気絶させられ、灯油をまかれる。撮影的には祈子が掛けられたのは水だと思うが、水が顔に当たって反応する祈子が笑える。気絶してるんじゃないの? いや、その時に目覚めたのかも。マッチで火をつけた瞬間に祈子は目を開け、火柱が上がるので逃げ出す祈子。冬子は祈子に蹴りを連発するも、冬子は祈子に足を取られ、火の方に倒れ込む。火だるまになり悲鳴を上げる冬子。祈子は冬子の体の火を消すも気絶する冬子。野沢剣二が現れ、倉庫の鍵を締めてしまう。冬子諸共、始末する気なのだ。祈子によってドアは破れるも、冬子は火傷でダメージを負っている。祈子は逃げ出し、剣二は冬子をはげましつつ一緒に現場から逃げようとするも、冬子は火の中に飛び込んでいった。入り口が焼け崩れ、剣二でも助けられない。冬子はこれでいいと焼け死ぬ。剣二は祈子を絶対に許さん、お前のカタキは取ると誓い、現場を去る。
 防災ベルが鳴り、火事が事務所にも伝わる。祈子と信也は抱き止め合う。もう養成所にいることはできない。次から次へと刺客を送り込んでくると判断。鬼怒川(栃木県)に大学のゴルフ部の友達がいるという信也。即日で鬼怒川へ車で向かおうとすると、野沢が血相を変えて止めようとする。そこに高倉が車から現れ、行かせてくれる。高倉は真実は隠そうとすれば明るみになると語る。丸元が帰国してから指示を仰げと、剣二に言って去る高倉。
 野沢は律子に冬子が焼け死んだことを電話。祈子がやったと伝える。賢三にニューヨークからすぐに戻るよう促すので、待てと野沢に指令する律子。祈子を恐ろしい女だと、ますます認識する律子。祈子は母に電話で鬼怒川にいることを伝える。鬼怒川にいる祈子は冬子のことで泣く。信也の友人が経営するホテルに到着。高木は信也の親友だった。ホテルの和風の部屋に入る祈子。


◆第20話 夢か?峡谷の特訓
 丸元の家に海外から賢三が帰国。いきなり妻の律子に暴力。メイドの冬子が焼け死んだことで、「警察も馬鹿じゃない。死者の身元を突き止めて、必ず丸元家に乗り込んでくる」と動揺と怒り。亜矢子は鏡子から聞いた話を父の賢三に確認しようとする。亜矢子には最初は優しく接するも、だいぶ前から利一郎を追い落とそうとしていた話だと知ると怒り出す。律子もその話は否定する。亜矢子は祈子の父が無実かどうか、その事実を知られたくないために、何度も祈子を殺そうとしたことが事実なのかを確認。葬式後の話では、祈子の命の話までは出ていなかった気がするが、シーン外であったのだろう。賢三はやましい所が無いと弁明。しかしながら、律子にはそれが一部は嘘だと分かっているはずだが。
 鬼怒川の和風ホテルでは、信也と支配人の高木が入浴シーン。男の入浴シーンかよ。少年鑑別所では、女性たちの尻まで見えたが、高木達の尻は見えないようだ。丸元物産を辞めたことは少しも後悔は無いと信也は友の質問に答える。理由は恋だけではないと信也。祈子は冬子が焼け死ぬ所を思い出し、トラウマ状態。父の写真で心を保つ。
 敬太郎が時間外の保子の店を訪れる。元親衛隊の3人娘は、店での仕事が終わり帰ってゆく。丸元の陰謀で社長の座を追われたが、今の私はスッキリしているという敬太郎。信也の気持ちが分かりかけてきた。馬鹿な男ではなく、命を光らせて生きることが素晴らしいのだと語る。元親衛隊の3人娘は野沢達に追いかけられる。公園で乱闘開始、武闘派のヤクザにはかなわず、本格的に痛めつけられる前に、祈子の行き先を聞いてきた華粋会。拒否する娘達だが、そうと知ると野沢は乱暴になってゆく。野沢も必死だった。鏡子の手足の女が運転するのバンが現れ、野沢の部下を跳ね飛ばしながら、元親衛隊は救出される。野沢は、祈子のおふくろをさらって行き先を吐かせる作戦に。
 鏡子の隠れ家に案内される娘3人。鏡子はピアノを弾いて待っていた。冬子の事件を知り、鏡子は暗殺者が失敗したと判断していた模様。頭が回るんだから、友平犯人説も疑って欲しかった。
 祈子の母の店は、鏡子の手足が差し当たり保子には知らせず警備する。しかし、すぐに野沢達が乗り込んできて、保子に緊急事態を伝え、店の戸を開けさせる。裏口に車があるので身を隠して欲しいとだけ保子に説明するも、野沢の部下達も店内に乗り込んできた。乱闘となるが、保子は敬太郎の車で脱出できた。保子を野上でかくまうつもりの敬太郎。暴力団でも、野上の家を襲うことはしないと判断する敬太郎。徹の時は、とっくに入り込まれていたが、暴力沙汰ではなかったので敬太郎の案はいいとしよう。警察にも知らせ、パトロールを強化させるつもり。
 高倉の自宅、冬子の事件を新聞で読んでいた。そこに冴子が訪れ、会って欲しい人がいるという。徹を一緒に連れてきていたのだった。高倉の部屋の写真には女性が写っている。冴子は奥さんかと尋ね、高倉は肯定するも5年前に病死したという。徹の話は、野沢が祈子を殺そうと探し回っていて、鏡子からの話では母の保子までさらおうとしたという。3年前の事件の真相を話して欲しいという。真犯人が捕まれば、祈子の命は助かるのだ。徹や冴子が頼むも、高倉は自分はそれ程立派な男ではないという。3年前の事件で偽証となると罪に問われプロ刺客は失うと語る高倉。全米オープンで優勝の野心もある。それが高倉の答え。つまり、真相がちゃんとあるも、真相を話すつもりはないという。徹は激怒し、暴力で解決しようとするも、冴子に止められ飛び出す。アパートの通路で、鬼怒川に直行して祈子を守ると徹は言う。高倉は鬼怒川という場所を聞いていた。
 鬼怒川のゴルフ場で実践の練習をする祈子。高倉も離れて見ている。祈子はいい球を打って高木から見たらナイスショットだったが、祈子は高木の言葉を否定し、もっと飛距離が欲しいという。祈子が接する男は信也や徹が多かったが、好きでもない高木には、結構きつい言葉を吐くんだな。高木と信也も実践で祈子とホールを回る。徹と冴子も駆けつけていた。祈子は2打目を打ち、グリーンには乗せるがカップは遠い。祈子はピンの1メートル以内に寄せたかった模様。高木は祈子の今日の成績を見て、プロテストの合格は堅いという。しかし、祈子の目標はプロテストで優勝だった。殺人者の汚名を着ている男の娘なので、優勝でプロテストに合格せねばならないと考えている祈子。確かに、キャディの堂島は何度プロテストを受けても不合格だった。1位ならば、ごまかしも利くまい。
 18ホールは終了したので、徹が祈子の前に飛び出し、野沢の動向を伝える。命を狙われてもゴルフの練習がしたい祈子。高倉を見かけて駆け寄る。ゴルフを教えて欲しいと頼む。朝、龍王峡へ来たまえと、練習をつけてもらえる模様。龍王峡近くの山荘に5人は到着、徹は祈子を守るために泊まるというも、祈子は1人にして欲しいという。限界を試したいという。信也は高木に空いている社員寮を要求した。親友とは言え、結構、偉っそうな物言い。父母や保子、亜矢子とかには丁寧な言葉なのに、実はそういう奴なのかな。信也は人に物を頼むような態度ではない気がする。
 10日経ったら迎えに来ると信也は言い、4人は下山し、祈子は山荘に1人こもる。丸元賢三はパソコン(PC)を触っていた。野沢では悩むだろうと、丸元自らが当たりをつける。まずは神島祈子とその家族というファイルを開いていた。他には北斗七星会の個人情報や野上信也のゴルフ部の個人情報も入っていた。賢三は信也の友達がいる鬼怒川だと予想した。
 龍王峡には雪が積もっている。高倉は先に到着していた。ドライバーの指導をしてもらう。大自然に向けて、ゴルフボールをポンポン打ってゆく、昭和なら許されたのかな。祈子は夜には山荘で練習。次の高倉の指導。曲打ちの指導。木を利用してボールの角度を変えて遠くへ飛ばす。リカバリーに役立ちそう。片足打ち、片手打ち、木にぶつけたり、次はジョークだろうが、木の間を縫って、横に揺れながら林を越えてゆくシーンも。
 祈子は高倉がゴルフを教えてくれるのが疑問だった。敵だと認識していたからだ。これは真相を話せない、高倉なりの好意・罪滅ぼしだったのだ。高倉は自分から技術を盗めばそれでいいと祈子ヘ。山荘での夜の単独特訓も上手くゆき始める。朝、社員寮らしき所から出てくる徹と冴子、高倉の寝込みを襲って真相を聞き出すという。以前は徹が冷静で冴子が暴走気味だったが、最近は逆になっている。徹は信也に求められるが、我慢できないと寮を飛び出す。高倉の方には野沢が接触していた。奇遇だと言い合う2人。朝風呂なら付き合うという。朝の散歩と言って去ろうとする高倉。高倉や野沢のヌードは見られないようだ。高倉を見かけて徹は掴みかかろうとするが、野沢達が襲ってくる。乱闘しつつ、徹は地下ホールに逃げ込んでいた。宴会やステージショーも行われる場所だ。舞台裏のショーの衣装や小道具の中に隠れて難を逃れる徹。野沢達は外の車で待機。ステージショーが始まっていて、じっと隠れたままだった徹は、ようやく舞台裏から抜け出す。
 祈子は龍王峡で待つも、高倉は現れない。雪もちらついているが、自分で練習を始める。徹は裏口から出てくるも、そこにはナイフの野沢が待ち構えていた。そのまま車の中に捕まってしまう。冴子は車の側をたまたま通りかかり、引きずり込まれる。高木が信也の部屋に飛び込んできて、徹達が捕まったことを知らせてくれる。祈子に知らせようと信也は飛び出そうとするが、これからの山登りは危険だという。凍死のリスクもある。山に連れ込まれていた徹と冴子。徹の隠れ家を話す気はない徹。徹にピンチに冴子が口を割ってしまう。祈子は龍王峡の奥にあるロッジ(山荘)だと。徹に本気で怒られる冴子。消え失せろとまでいわれる。ボロボロの徹は祈子の所へ行こうとするも這ってゆくような域。冴子が私が知らせると名乗り出る。
 冴子は山荘へ向かうも、冬山はきつく、しかも滑落してしまう。信也は高木に内緒で山荘へ到着していた。祈子はいない。まだ渓谷で練習中なのだ。高倉の声が聞こえ、今すぐここを去れ、野沢が狙っていることを声だけで伝える。まだ教わっていないことがあるという祈子だが、教えたことは反復練習して身につけろという高倉。野沢達が祈子の視界に登場。逃げる祈子。高倉が遠くからゴルフボールで野沢達を攻撃してくれる。
 信也と再会でき抱き合った後、逃げてゆく。追ってくるのは、もはや野沢のみ。徹と祈子は、冷たくなりかけていた冴子を発見。徹も現れ、冴子は目を覚ます。意識が朦朧し、徹が側にいることも認識できなかった。冴子の夢は祈子が受け継ぐ。冴子は徹に任せ、逃げる信也と祈子。ついに、野沢と対決。


◆第21話 友情そして勝利
 雪がちらつく岩のトンネルの先には野沢が待ち伏せていた。いきなり信也が攻撃を受ける。祈子はアイアンで野沢と応戦しようとするが、君はやめるんだと、アイアンを信也が受け取り、野沢と戦う。野沢は素手だったので、信也に攻撃を当てるもアイアンで反撃され、倒れ込んでしまう。再び逃げる祈子と信也。ある程度の安全圏に来るも、祈子は枯れ草で足を滑らせ泣き出す。父の真実を確かめたいだけなのに、どうしてこんな目に遭わねばならないのかと嘆く。信也からは、覚悟を決めたはず。泣くのは無実が晴れてからだと諭される。祈子のために徹や冴子のこともある。
 冴子は生きていると信じる祈子。病院で眠る冴子を徹が見ている。医者に呼ばれ、冴子について聞かされる徹。命の心配は無いが両手の凍傷があまりにも酷くて、東京の病院で指を切断することになるという。
 山道を進む信也と祈子。また野沢が待ち伏せしていた。信也はアイアンを武器にしているので、野沢相手にもある程度は応戦できている。しかし、アイアンを野沢に奪われて形勢逆転。祈子が割って入る。祈子には逃げろといい、野沢のアイアン攻撃を耐える信也。とどめをさされそうになる信也に、祈子は短いがある程度の太さのある木で野沢の後ろを攻撃。流石の野沢も武器を持った祈子にはひとたまりもなく、野沢は崖下に大きく転落。信也は出血しながらも、立ち上がる。野沢が滑落した場所を見ると、うつ伏せに倒れ込む野沢を発見。死んではいなだろうが重症と判断。野沢を助けに行くという信也だが、野沢にやられた傷は深い。あんな奴どうなってもいいという祈子だが、信也はこのままでは死んでしまうと助けにゆきたい、祈子は信也の体を揺さぶり、助けることを拒否。信也はそれでも祈子を諭す。祈子はついに自分が行くと言い出す。信也は単独で元の町まで戻り、町の人に助けに来てもらうという。
 祈子が安全な道から河原にまで降りると、気絶する野沢を発見。祈子が近づくと、野沢は目を覚ます。ぶっ殺してやると言い立ち上がるも、左腕が折れており、悲鳴を上げる野沢。それでも祈子を攻撃しようとする。祈子がアイアンを構えると、野沢は倒れ込んで再び気絶。
 すでに夜になっていた。神島保子は野上静子の看病をしていた。祈子や徹について悪垂れ。徹は夜の山を、意識朦朧でふらついていた。体力の限界と寒さで倒れ込む。敬太郎は警視庁に出かけるという。信也と祈子の捜索願と、3年前の事件の再捜査を要求するという。敬太郎も祈子が命を狙われている事は認識し、3年前の事件が絡んでいると読んだ。友平が無実でない限り、ああまで祈子を殺そうとしないはずというわけだ。静子は久しぶりに敬太郎の妻として夫が出かける準備する。
 祈子は夜の河原で火を起こしていた。薬草らしき山草と布、添え木で野沢の腕の怪我に当てる。更には、祈子は自分のジャンパーを野沢の枕の代わりに使う。信也は再び気を取り戻して歩き出す。翌朝、祈子は薬草の準備。野沢は気がついた。水を差し出す。なんで助けたのか疑問な野沢。祈子自身は助けたくなんてなかったが、信也の想いに従ったのだ。祈子は信也に惚れていると野沢は強く認識し、信也のためには命も捨てると判断。人が人を好きになる祈子は良さを語る。野沢を人間扱いしてくれたのは祈子が初めてだという。
 野沢の父は暴力団の下っ端で覚醒剤中毒。母親は飲み屋に勤めながら売春をやっていた。ここで注釈だが、特に下っ端のヤクザは女を捕まえて、時には結婚して、体を売らせて貢がせるのが定番。女を暴力で従わせる。デブスな場合には、消費者金融に借金させることも。野沢の両親は毎日殴る蹴るの連続。回想当時の野沢の体格を考えると、小学5年生くらい。中学2年生にしては小さいし、父親の力には全く及ばないので、10歳ちょっとだと判断。剣二も冬子も痩せこけていた。親の愛も知らず人から情けを受けたこともない。親も憎んでいた。剣二の父親は下っ端のヤクザだったが、剣二自身は組長になっていて器は父親より大きかったようだ。
 そんな幼少期、丸元賢三の車に轢かれて覚醒剤中毒の父親は死亡。母親は慰謝料を受け取ると、兄妹を捨てて姿をくらました。年端もゆかない2人は餓死するのを待つだけだった。この表現だと、剣二が中学生ということは考えにくい。やはり小5くらい(小5なら、なんとかできる場合もあるだろうが)。
 餓死寸前の兄妹の前に現れたのは、白髪交じりで、昭和のオッサン臭い衣装の長尾賢三。賢三は役者年齢の53歳からそう離れた年代を演じているわけではあるまい。一方、剣二はヤクザの親分なので、20代では若過ぎ、30歳代中盤以降だと考えられる。子供の頃のシーンでは、10歳ちょっと。つまり、20年以上前。にもかかわらず、賢三の見た目が現在と殆ど変わらないのはミスの域では? まあ、剣二が実は25歳で、少年は成長が遅くて12歳とかならば、見た目が近い事は緩和されるが、そんな可能性は無いので演出の甘さを疑う。
 賢三は兄妹の生活の面倒を見てくれて、高校まで出してくれた。丸元社長には恩がある。そのために冬子も暗殺を実行した。祈子は剣二が人の恩を受けたことがないなんて嘘だと指摘。丸元は兄妹のことを人間だと思ったことは無い。猟犬を求めているだけだった。主人に忠実で死ぬこともいとわない。助けたことを後悔することになるという野沢。後悔したくなかったら、今ここで殺せという野沢。人間として当然のことをしたと返される野沢。
 冴子の体力が回復するも、指を切るのなんて嫌だと女の子らしい態度。切るくらいなら死んだ方がいいという。徹が一生ついているというと、一部は安心する冴子だが、やはり指を切るのは怖い。ところで、暴走族時代の徹と冴子には肉体関係はあったのだろうか?
 鏡子は祈子と連絡を取りたいが繋がらない。祈子と会う前に、やっておかなくちゃならないこともあるという。夜になり、祈子は野沢の前でうとうと眠ろうとするが、ハッと目を覚ます。信也は町に戻るのは中止し、野沢と祈子の所へ行こうとする。
 打ちっぱなしで練習する高倉。丸元が訪れ、祈子に加担したり特訓をつけていたことを指摘。高倉は「祈子を追い詰めると、警察も動き出す」と丸元に助言。特訓については事件とは関係なく、神島プロから言われていたという。高倉に対し、病気の妻に病院を紹介し、費用を見たのは丸元賢三だった。高倉は恩を感じている。地位を守りたかったら情けは無用と賢三は去る。
 賢三が自宅に戻ると家族は誰もいないが、部屋には鏡子が忍び込んでいた。3年前の事件の証拠を探していたのだ。警察にあるのは、賢三達の嘘の証言だという鏡子。調べ直したら、あやふやな点が多いという。友平が犯人ではないとすると、賢三か高倉だと推理する鏡子。鏡子がパソコンを叩き壊そうとすると、賢三はガードした。チャイムが鳴り、お客さんの模様。客は警視庁・捜査一課の人間。ある殺人未遂事件の重要参考人として華粋会の野沢剣二を追っているという。野沢なんて知らんと突っぱねるも、冬子がお手伝いとして長く勤めているのでおかしいと詰め寄る。ことごとく知らん、無礼な尋問を受けたと刑事を追い返す丸元。鏡子が笑い、財産横領罪で告訴するという。中2の時の鏡子とは違う。
 夜半、キャンプで熟睡する祈子を剣二は火のついた木の棒で攻撃しようとするも実施せず、眠る祈子のジャンパーを掛け直して去る。翌朝、信也と祈子は再会。信也は体力の限界だったはずだが、気絶している時もあったので回復したのだろうか。走ってお互いに駆け寄る。野沢が助かったことも把握する信也。野沢は祈子を殺さなかつた。野沢は本当は悪人ではないと主張する祈子。信也も野沢が心を開いたと判断。
 東京では犬の散歩中の丸元。剣二と公園で接触し、なんのために飼っていると思っていると棒で殴られる。祈子達も東京に戻っていた。信也の話によると、再捜査するには何か1つでも決定的証拠が要るという。2人に鏡子のバンが迎えにくる。
 東京の病院、手の手術を終えた冴子の見舞いに来た敬太郎。事件の真相のために、各分野の友人の力を借りるという。鏡子のアジトに到着する祈子と信也。鏡子は面白いものを見せると言い国大の電子工学科でコンピューターを専攻していた女を紹介する。ハッカーという他人のコンピューターに無断で侵入して情報を盗む行為で大学をクビになっていた。丸元賢三のパソコンに仕掛けるという。
 ハッキングが開始され、祈子や北斗七星会のメンバーの個人情報などが登録されていることを認識。


◆第22話 勝て!少女戦士
 得意げな鏡子は「丸元賢三のパソコンにハッカーをやらかす」と語るが、「ハッキングをやらかす」が妥当だ。ハッカーというのはハッキングを実施する人のことを言う。なお、現代では悪さの場合にはクラッキングと言う。 他にもおかしな事があり、今ではハードディスクやSSDなどが内蔵されているが、当時はフロッピーディスクが入っていないと、打ち込んだデータとかは読み込めない。大事なデータなら、パソコンにフロッピーを入れておくのではなく、フロッピーは抜いて管理しておくべき。まあ、丸元賢三が鬼怒川を見つける時に入れておいたままということでもいいが。見た目では何も入っていないのだ。
 賢三のパソコンは遠隔でスイッチが入り、情報が鏡子の用意したパソコンに表示される。丸元は丁寧に、ゴルフ場殺人事件の犯人は神島友平だと情報を入力している。警察での証言の時に、偽証を間違わないよう入力しておいたのだろうか。すでに鏡子のアジトの外には野沢達が近づいていた。
 丸元のパソコンには、時田真介と親戚のデータも入っていた。しかも、請求金額と年月日も。時田の叔父が川崎の倉庫にいて、兄夫妻が川崎に住んでいる模様。ちなみに、全員が戦前生まれ。プロゴルファーを追放された年に奥さんと離婚。賢三はベッドでうなされていた。トイレにでも行ったのか、書斎にあるパソコンがハッキングされていることに気づく。フロッピーが入っている様子はないが、モニタ画面には祈子達が見ている情報が表示されている。コンセントを引き抜いた賢三。情報が途切れ、鏡子の手の女も気づかれたと判断。鏡子は気づいた。時田は賢三をゆすっていて、1500万円は支払い済みで、次は2000万円という大金だった。祈子は時田は友平のことでゆすっていたと判断。時田は殺されたので、2000万円は未払い。2000万円のゆすりの3日後に時田は殺されている。賢三は支払いを渋り、時田は祈子に300万円で証拠を売りつけようとしたと信也は言う。証拠はあるはずで、無いのに丸元が大金を払うはずがないと推理する信也。
  剣二がアジトに乱入し、鏡子達が引き受け、信也と祈子は逃亡。剣二は倒した鏡子にとどめを刺そうとするも思いとどまる。鏡子は死を覚悟するも、野沢が許してくれて身震いして戸惑う。野沢は部下に追跡を任せ、丸元に報告。時田が決定的証拠が未だあると言ったのは本当だったと判断する丸元。祈子達は時田の交友関係を当たるはず。証拠を見つけられたら破滅な丸元は先に証拠を見つけ出すよう指示。
 川崎にいる時田の兄夫婦を訪れる信也達。チャイムでは反応がないので扉を開けると荒らされている。奥さんが縛られ猿ぐつわ。何も預かっていない。お金をせびってくるので、時田真介とは縁は切っているという。時田の叔父が管理人をしている倉庫。叔父らしき人物が倒れている。叔父も何も預かっていないし、ここ10年、時田と会ってもいないという。倉庫内で野沢達に追い詰められる祈子達。信也はの野沢を説得しようとするも、襲いかかってくるので大乱闘。信也も場馴れしてきており、祈子の方も暴力だけはなく消化器噴射など、相手をなるべく痛めつけない方法で応戦。倉庫の外に逃げるも、追いかけてくる野沢達。信也は野沢の怪我の箇所を攻撃し大ダメージ。信也の怪我の場所はどうなったんだろう? 高倉も駆けつけていて、痛みで苦しむ野沢を祈子は鉄パイプで攻撃しようとする。充分なチャンス、祈子は野沢に向けて死んじまえと言うも、鉄パイプで地面を何度も殴るだけ。人間が人間を殺せないと祈子は言うが、野沢は猟犬で人間ではない、殺さないと後悔すると言う。祈子はそれでも野沢へ、「悲しみをぎっしりためた人間、光の中に飛び出して、人間としての喜びを知って」と言う。野沢は俺を殺さないと後悔すると再度も言うが去る祈子。高倉は見ているだけだったが、祈子の言った「魂に光を」という言葉を噛みしめる。
 祈子の元親衛隊は冴子と同じ病院に担ぎ込まれて保子に見舞われていた。徹は野沢を叩き殺すという、もう弟分だと思っていない。徹が元親衛隊の部屋を訪れると、敬太郎も来ていて、時田が丸元をゆすっていた話を聞く。徹は時田が友平の無実の証拠を握っていることを聞く。
 野上の家には丸元が訪れていた。謝罪と和解を申し出る丸元。取引も再開し、信也も丸元物産に復帰できるよう取り計らうという。丸元の要望を拒絶。敬太郎は信也と祈子の手助けをするという。また、命を狙うマネは中止するよう逆に要望。殺人教唆で告訴するという敬太郎に腹を立てて丸元は退散。丸元の指示で野沢はまた何か行動を起こすつもり。
 港で祈子は行き詰まりを信也に漏らす。信也はひらめき、離婚した奥さんの所を疑う。徹は病院の前で次の一手をあぐねいていると、敬太郎に乗せられて静子が車までやってきていた。敬太郎は車で去り、救急車に扮した野沢の部下が静子を拉致し、徹は命がけで必死に止めようとする。やや、納得のゆかないシーンだが、このシーンが無いと、別の納得ゆかない要素(静子が徹を認める理由が不完全)が残ってしまうので、仕方あるまい。徹の検討も虚しく、救急車から叩き落され、静子は連れ去られてしまうが、徹は誘拐のことを皆に知らせるチャンスができた。
 夜、時田の元妻・谷口マサコのアパートを訪れていた。マサコはすでに再婚。時田はゴルフバッグを送ってきているという。持って帰ってくれとマサコは提案するが、信也達も要らない様子。祈子がクラブのグリップ(持ち手)を調べるとマイクロフィルムを発見。友平の無実の証拠だと強く認識。
 信也達は警察へ行こうとするも、アパートの外で野沢が現れる。邪魔はしないが証拠を警察に持ってゆくと、信也の母が死ぬことになると言う。静子を無事に返して欲しかったら、フィルムを渡せという。祈子は渡そうとするも、まだ本当か分からないと信也が制する。しかし、野沢の車に静子が乗っていて本当だと確認させられる。フィルムを渡してしまえば、無実を証明するチャンスは二度とやってこないかも。高倉が登場して、静子を開放しないと警察で3年前の事件のことを告白するという。高倉が死ねば実現しないとタカをくくる野沢だが、高倉はすでに告白書を書いて銀行の金庫だという。高倉は祈子にゴルフの勝負を持ちかける。フィルムは高倉が預かり、野沢側に立って戦う。勝った方がフィルムを受け取れる。高倉の方から丸元を説得するという。賭けを受けた野沢と祈子。フィルムを高倉に渡した祈子。
 丸元家では、亜矢子がパソコンを操作し、母・律子に見せつつ、父が入力していた情報を調査していた。賢三が戻ってきて、亜矢子は馬鹿者とビンタされる。実はこのシーンでは、フロッピーディスクが入っていた。やはり、フロッピーもないのにパソコンが動いていのは不自然だと、視聴者から指摘があったのだろう。賢三がフロッピーを抜くことで、亜矢子が見ていた情報は遮断できたのだ。
 亜矢子に養成所へ戻るよう促す賢三だが、亜矢子は冬子が焼け死んだ所に戻る気はない。亜矢子は祈子が真犯人を追い続けているという話をするも、賢三は友平が犯人だと断言。妻の律子は信じていいか問い直すも、亜矢子も含め、疑い始めている。塩沢湖の別荘へ行くという賢三。妻と娘が退室した後は、猟銃を構える賢三。
 救急車から叩き落され頭を打っていた徹は病室で目を覚ます。敬太郎が現れ、証拠フィルムを賭けて祈子はゴルフ勝負をすると教えてくれる。静子は開放されていて、徹に礼をしにやってくる。徹さんと最初は言うも、徹と呼び、義理とは言え息子扱いもした。
 翌日、祈子と高倉の試合会場へ到着する祈子と信也。卑怯なマネをしてきたら、丸元と刺し違えると言う祈子。鏡子は丸元賢三を追っていた。猟犬を2頭引き連れ、鳥のハンティングをしている。丸元の前に鏡子が現れ、自分なら何だってできると凄むと、賢三は猟銃を鏡子に向ける。もはや鏡子は、丸元が父を殺した犯人だと確信。ゴルフで決着が着くと鏡子に言う。丸元は猟犬と1頭に命令し鏡子を襲わせる。鏡子は高所から川へ転落し意識を失う。
 試合形式は18ホールで公式戦と同じ。高倉はハンデを付けると言い、4番ウッド、7番アイアン、パターの3種類で臨むという。4番ウッドはフェアウェイで使う小さなドライバー、大きなドライバー(1打目のティーショットで使う)よりも飛距離が出ない。無論、男と女、プロとアマの差もあり、それで良い勝負ができるという具合。野沢は高倉のハンデが気に食わないが、高倉はプロとしての誇りを前面に出し黙らせる。先生と呼ばれるのは拒否したが、プロテストだと思って戦えと言う高倉。
 1番ホール、祈子が先に打ち、いいショット。しかし、高倉は4番ウッドで、祈子よりも遠くへ飛ばした。祈子はいきなりくじけそうに。信也はアドバイス、キミのゴルフをやればいいと。プレイが続き、4番ホール完了。祈子にひどいミスは無いもののスコアはどんどん離される。試合を丸元もこっそり見始めていた。祈子はますます弱気になっていて、逆転のチャンスと自分を信じろと励ます信也だが、祈子は足が動かないという。久々に信也から祈子へのビンタ。友平の無実だけでなく、プロゴルファーとしての未来も懸かっているのだ。なんとかプレイを続ける気分だけは戻った祈子。
 

◆第23話 傷だらけの栄光
 5番ホールまでのスコアで、3打負けている。祈子はプロ相手に、点数を詰め、更に逆転せねばならないのだ。祈子はバンカーに落としてしまうが高倉がアドバイス。感情をコントロールできていないことを指摘される。敵はキミ自身だとアドバイス。野沢は試合中の無駄口はやめてくれと注意。バンカーからチップインでバーディー(バンカーから打ってそのままカップへ)。高倉はパットを2回打ち、3打差が2打差に。「祈子:0、高倉:-2」……マイナスの方が打った数が少なくて勝っている。祈子の調子が出てきた。高倉がプロテストを受けるために特訓してくれているのではないかと祈子は錯覚。
 河原では鏡子が目を覚ます。塩沢湖の別荘を訪れている律子と亜矢子。鏡子も中にいた。鏡子が呼んだわけではなく、驚く2人。主人が兄さん(利一郎)を殺すわけがないと律子。
 ハーフ9ホールまでで、3打差となっていた。徹や敬太郎も到着。3打差は縮まらず、14番ホール。高倉は祈子の粘り強さに焦り、グリーンをオーバーしバンカーに落とす。祈子はグリーンにしっかり乗せ、バーディーチャンス。バンカーのクラブを高倉は持っておらず、7番アイアンで打つことでショットが乱れた。高倉はボギーで、祈子はバーディー。3打差が一挙に1打差に。そのまま最終の18番ホールに。
 鏡子の話を聞かされ、律子は兄を殺した犯人が夫だと、何度も突きつけられている。証拠があることも信じられない、偽物だと口に出す。亜矢子はもう疑ってしまっているのか何も言えない。
 18番ホール開始時のスコアは、「祈子:-2、高倉:-3」。18番ホールはパー5とロングホールとなる。高倉のティーショットはフェアウェイのいい位置。その時点で野沢は勝利が見えてきたのか、祈子を煽る。こっそり見ている丸元も、「高倉が調子を崩さん限り、1打差を逆転するのは至難の業だ」と勝利を見ている。鏡子は試合の様子を、律子と亜矢子に見せる。セリフは無いが、証拠を賭けて試合していると説明したのだろう。現場には野沢もいるわけだし。
 高倉は妻が膵臓がんに罹ったと言い出す。ツアープロの資格を持っていたが1勝もできず、収入はほぼゼロに近かったという。高倉の誘導はあったが、祈子は金銭の世話をしたのが丸元賢三だと当てる。高倉は自分が祈子のように正義を愛する強い心があったらとつぶやく。互いの2人のティーショットだが、初めて祈子がオーバードライブで高倉の位置を越していた。
 2打目を先にを打つ高倉。グリーンには乗らなかったが、フェアウェイでグリーン前の無難な位置。野沢は高倉が3オン1パットでバーディーは堅いという。高倉が3打目を打ったとして、カップに近い位置に寄せてくるはずだからだ。野沢は祈子にプレッシャーを掛ける。祈子の2打目は木の合間に行ってしまう。野沢はニヤリとし、丸元も安心して笑いまで出る。敬太郎と徹はあっけに取られる。祈子は気を落とし、「高倉のバーディーは堅く、自分が勝つにはイーグルしか無いのに」とぼやく。木の合間から出すだけで精一杯な位置。高倉を見る祈子。祈子は渓谷での高倉の特訓を思い出し一か八か、木の当たる角度を考えて打つ。二度、木に跳ね返り、そのままカップに入る。イーグル(-2)が決まったのだ。野沢は信じられねえと口に出す。丸元もびっくり。
 主題歌の時の祈子のゴルフシーンの1つだが、ショットでバックスピンが掛かってホールに向かってボールが進む。「こんな風にボールが動くわけない」と言う人もいたが、ボールに逆回転があればこの動きはあり得る。最後のイーグルを決めたシーンは、流石にまず無いが、物語なので良しとしよう。作者には笑わせるつもりがあったのかも。
 イーグルを決めた祈子だが、高倉がバーディーを決めればスコアは同点で、次のホールに持ち越されるだけ。高倉は3打目を打つが、まだカップは遠い。高倉は最後のパッドを外し、祈子が勝つ。もしかすると、高倉はグリーンに乗せる時とパットは手を抜き、わざと負けたのではあるまいか。
 実はすでに高倉は写真を現像していて、高倉も知らなかった決定的な事実が写っていた。賢三が利一郎を殴っている瞬間の写真を何枚も見てしまっている高倉。薄々知りながらも現場は見ていなかったので賢三の話に合わせていた。高倉が最後に手を抜いた根拠となる。
 野沢にも勝利を認めさせる。祈子が写真を見ると、丸元が利一郎を殴っている写真ばかり、丸元が猟銃を撃ちながら現れる。信也と祈子は逃げ出す。湖の岸に追い詰められる2人。写真を渡さなければ撃たれてしまう。亜矢子と律子が現れ、猟銃を撃つのは中断。野沢、徹、敬太郎も合流。
 利一郎を殺した犯人をはっきりさせようと丸元に迫る祈子。友平のゴルフクラブが利一郎に当たるも、特に意識を失うこともなく、フラフラするという利一郎。ゴルフクラブを利一郎に向けて振るったのは賢三だった。スキャンダルを探していた時田が、高そうなカメラで写真を撮影していた。写真を見せても、知らんととぼける賢三。なぜか信也の推理で、時田を殺したのも賢三だと主張。これは別に剣二にやらせても良かったはず。いや、そもそも剣二は利一郎を殺した犯人を賢三だと確信していたわけではないのかな。だとしても、単独の賢三よりは暗殺能力があるはずだが。時田は元はスポーツマンなわけで、パワーでは時田に押し負けてしまうわけだし。
 友平の逃亡を奨めたのも賢三だと推理した信也。丸元はそれを認める。賢三が祈子達へ鉄砲を向けたシーンで「証拠写真がなければ無罪」を主張する賢三だが、鉄砲を向けたら一応、犯罪なのだが。現場で見ている人も多いわけだし。賢三は銃を発射するが、剣二が盾になった。剣二の後ろには鏡子もいた。今までは剣二と呼んでいたのに、野沢と呼ぶ丸元賢三。苦しむ野沢は普通に結婚して子供が欲しかったという。しかし賢三は剣二をヤクザの世界にぶち込んだのだ。野沢は祈子と語り絶命。友平を自殺に見せかけて殺したのも丸元だと自白。賢三は妻と娘は関係ないと言い、猟銃で首を撃って自殺する賢三。
 プロテストの合格発表シーンでは祈子がトップ。「丸元亜矢子+6」の名前もあった。そりゃ、負けたら信也さんは祈子のものになる賭けはしたが。祈子に追いつけるよう「人殺しの娘でもプロゴルファーになる」と解釈できよう。まあ、表向きには亜矢子は人殺しの娘にはなっていないのだが。
 あれ程好きだった祈子に対して、一時とはいえ、別れを宣言する信也。祈子に告白して友平の真実を探すことを誓った時には、まだ丸元物産の後継者だったので余裕だった。いつでも祈子を嫁に迎え入れられる。しかし、ふと気がつくと、無職でお金も尽きていた自分に気づき、祈子に釣り合うような男になるために別れるそうだ。プロになった祈子は信也を食わせてゆくつもりさえあったのかも。にもかかわらず、別れを切り出されパニクる祈子。最後に祈子の素晴らしさを褒めて、別れの言葉の後、信也は去ってゆく。新たな旅立ちを決意する祈子。プロとして活躍しているシーンが出て終了。


総評
 矛盾とかも語ったが、ページの内容に深みを持たせるためで、別に嫌っているわけではない。いい作品だとも思っているからこそ、長文で粗筋を書く気になったわけで。


以下、閉鎖サイトからの引用。別の人による粗筋と感想・解説で、より一層の物語把握を。なお、別の人の文章は参考にせずに、ページ筆者は上に記した文章を書いている。


◆第1話「乳房に傷を持つ少女」


ストーリー
「神よ・・・!父の祈りの中、九死に一生を得てこの世に生を受けた祈子。祈る子と書いて祈子。今、祈子は神に何を祈るか・・・」

静かなゴルフコース。会社社長・野上敬太郎(中条静夫)と息子の信也(風見慎吾)、同じく会社社長の丸元賢三(長門裕之)と娘の亜矢子(生田智子)がプレーを楽しんでいる。あるホールで、信也がショットを放つと、突然、謎の少女がコースに飛び出し、手にした5番アイアンでそのボールを叩き落した。そして自らそのボールを、隣のコースでプレーしていた若い男の前に打ち込んだのである。少女はその男に向かって、彼に弄ばれた挙句自殺した或る娘のことを詰問する。「世間はお前たちの味方をするだろうが、私のこの傷が黙っちゃいないんだよ!」と少女は自分の乳房の上に残る大きな傷跡を見せた。5番アイアンを持つその少女は男を滅多打ちにし腕をへし折ってしまう。

胸に傷跡を持つこの少女、信也には見覚えがあった。「祈りっ子!」声をかける信也だが、少女は何も答えず、バイクに乗って現れた仲間たちと共に嵐のように去って行った。「・・・祈ちゃんだ。間違いない!」

――神島祈子、18才。彼女は神奈川県最大の非行グループ・北斗七星会の会長“アイアンお祈”として恐れられていた。だが、生まれついての不良少女がこの世にいるはずがない。話は3年前に遡る。

3年前、神島家は、野上敬太郎の所有する軽井沢の別荘で住み込みの管理人をしていた。その家族は、プロゴルファーとして各地を転戦する父・友平(岡本富士太)、母・保子(音無美紀子)、成績優秀な兄・徹(沢向要士)、そして妹の祈子。その頃の祈子は、プロゴルファーを夢見る明るい少女であり、野上信也を実の兄のように慕っていた。だが、ある日を境に、神島家を不幸のどん底に突き落とす大事件が立て続けに起こってしまう。

別荘でドライバーショットの練習をしていた信也がミスショットをし、祈子の左胸にボールを直撃させてしまった。倒れ込む祈子。それを見た徹は祈子が死んでしまったと短絡し、激昂して信也をゴルフクラブで殴りつけ重傷を負わせてしまう。幸い祈子の命に別状は無かったが、徹は大恩ある野上家の令息であり兄とも慕う信也を傷つけてしまったことで罪の意識に苛まれ、そのまま家を飛び出し行方をくらましてしまう。さらに追い討ちをかけるように、父・友平がゴルフ場でプレー中に殺人を犯したという知らせが入る。そして数日後、友平は塩沢湖で遺書を残して自殺してしまう。残された祈子と母・保子は、野上家から別荘を追い出されてしまった。

その時から、祈子は不良の道へと転落していったのである。

・・・・・・・・・・・・・・・

祈子と母・保子は人殺しの親子と罵られ、各地を転々とした挙句にようやく横浜に小さな家を借り、食堂を開いて生活をしていた。そこへ、3年ぶりに野上信也が訪ねて来た。保子はあの事件以来、野上家と連絡を絶っていたが、信也が探し当てたのである。ちょうど祈子も来ており、信也と祈子は改めて対面するが、祈子は信也と別の世界の人間になってしまっていた。祈子は仲間から、ライバルの暴走族・ブラックエンジェル出現の報を受けて飛び出してゆく。

埠頭に集結し一触即発状態となった祈子ら北斗七星会とブラックエンジェル。祈子は挨拶代わりに、地面に置いたゴルフボールにガソリンを撒いて火を付け、自慢の5番アイアンでフルスイング!命中した相手は火ダルマになって転げ回る。大乱闘が始まり、劣勢となったブラックエンジェルは退散。追おうとする北斗七星会。そこへ信也が駆けつけ、祈子に向かって、馬鹿な事はもうやめろ、と説得するが相手にされず、逆に袋叩きにされてしまう。「・・・祈ちゃん、プロゴルファーになるんだ、お父さんの夢を叶えるんだ!」。地面に突っ伏してしまった信也に構わず、祈子たちは引き上げる。だが、何故か祈子の胸の傷は再びうずくのだった。

その夜、祈子は父が自分に語りかける夢を見た。

「祈りっ子・・・お前は何をしているんだ。お前は私の祈りの中から生まれた女の子なんだぞ。お前にはゴルファーとしての天才的才能が秘められているんだ。祈りっ子、プロゴルファーになるんだ。全日本女子オープンに優勝して、お父さんの夢を叶えてくれ・・・!」

北斗七星会会長・神島祈子の心の奥底には、今もプロゴルファーへの夢が熱く秘められているのである。

ミニガイド(※次回予告。祈子が語ります)
神島祈子は、運命の荒波に身を委ねている少女です。あの優しかった父の殺人事件。それ以来、私は自分の素顔を見せない孤独な少女になりました。でも、そんな私をじっと見守ってくれる温かいまなざしに、私の心は揺れ動くのです。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
ご多分に漏れず?私も最初、「祈子」を「おりこ」と読んでいました(笑)。もちろん正しくは「れいこ」です。

ミニガイドでは、祈子(不良モード)のメーキャップ中の映像も流れます(貴重)。スタッフが「亜衣ちゃん、出番!」と声をかけると、「はーい!」と5番アイアンを手渡されて立ち上がる安永亜衣さん。

冒頭、ゴルフ場で男子学生を痛めつける祈子、蹴りがややお上品。

祈子のセリフに「おためごかしを言うんじゃないよ!」というのがありますが、「おためごかし」とは、「人の為にするように見せて実は自分の利益をはかること」。

祈子は不良になってからも時々は家に帰っていたのである。一方、兄の徹は消息不明のまま。


第2話「ああ 私の敵は兄?!」

ストーリー
何とか祈子(安永亜衣)を不良の道から救い出そうと必死に説得を続ける信也(風見慎吾)は、北斗七星会のメンバーに何度痛めつけられても食い下がる。それは、信也にとって祈子が今やなくてはならない存在であったからだ。そして、神島友平の事件についても、信也は真相は別にあると考えていた。

祈子も、友平の事件を冷静に振り返ってみることにした。友平が残したとされる遺書を改めて見てみると、確かに友平の字ではあるが、あまりに簡潔なのが不自然だ。事件が発覚してから6日間も塩沢湖の山荘に隠れていたのであれば、遺書を書く時間は十分にあったはずである。信也と共に事件の真相を探そうと祈子が思った矢先、信也の婚約者・亜矢子(生田智子)が現れ、自分が友平に殺された丸元利一郎の姪であることを祈子に明かす。そして信也が近々会社命令でニューヨークへ発つことも話した。祈子は「勝手にニューヨークでもどこでも行くがいいさ!」とヤケになって、一人で事件の手がかりを探そうとする。

一方、信也はニューヨーク出向を延期してほしい旨、社長の丸元賢三(長門裕之)に申し出るが、当然の如く反対される。両親にも反対されるが、信也はきっぱりと言った。祈子が自分にとって大切な人であると。

とある居酒屋で祈子は、父の秘密を握っているという元プロゴルファーの時田真介(石橋正次)を捕まえ、秘密を聞き出そうとしていた。時田は300万円の金を要求し、明日の夜、外人墓地で取引をすると祈子に約束する。

祈子は母・保子から自分のための貯金をもらい、時田に会いに行く用意をした。そんな時、北斗七星会の幹部・お花(松居直美)と順子(白島靖代)がブラックエンジェルに捕らえられたという知らせが入る。北斗には明日朝6時に晴海埠頭へ来いという挑戦状が送られていた。仲間を救うべく某所にて集結した北斗七星会。だが誰が垂れ込んだのか、そこには警察が張り込んでいた。凶器準備集合罪として北斗七星会は一斉検挙されてしまうが、祈子は親衛隊と共に辛うじて警察の手を逃れた。

そして朝。祈子はブラックエンジェルの前にたった一人で現れた。祈子はブラックエンジェルの会長とサシでの勝負を申し入れる。祈子の前に現れたブラックエンジェル会長、それは何と3年前に行方をくらました祈子の兄・徹(沢向要士)であった。徹は祈子を張り飛ばし、そして叫んだ。

「馬鹿野郎!どうして不良になんてなったんだ!祈子、お前には、お前にだけはこんな世界に来てほしくなかった!」

祈子は兄とは戦えない。一方、徹も祈子に対して気勢が上がらないのを見て、レディースブラックの会長・大崎冴子(大沢逸美)が代わって祈子と勝負することになった。背中の5番アイアンを引き抜いて冴子と戦う祈子。冴子が体勢を崩し距離が空いたその隙に、祈子は足元にあったコンクリートブロック片をクラブで打ち、冴子の太腿に命中させた。冴子は立ち上がれない。祈子は人質の二人を助け出し、徹のことが気になるも、その場から走り去るしかなかった。

その夜、外人墓地。時田と祈子の待ち合わせ場所である。だが、時田は祈子が到着する前に、何者かにナイフで刺されてしまう。時田は息を引き取る間際、やって来た祈子に「あんたの親父は無実だ」と言い残した。祈子は、死んだ時田のそばにいるところをパトロール中の警官に発見され、追われる身となってしまう。この時を境に、父の真実を求める祈子の過酷な旅が始まった。

ミニガイド
神島祈子は今、殺人事件の容疑者として追われています。でも、私は何もやっちゃいない。これはきっと罠に違いない。私の行く先々に、サツの旦那の懲りない面々が冷たい目を光らせている。その目の中に、私に敵意を持っている不気味が目が。あの男は一体誰なの?次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
前回ちょっと端折られていた、祈子が不良になる経過について、今回もう少し描かれる。保子と祈子がようやく横浜に落ち着き、食堂を始めたその頃、すでに祈子の心は荒んでいたのである。皿を拭いていた祈子が、突然その皿を床に叩きつけた。「こんなことをして何になるんだ!世間の目を恐れてこそこそ生きるなんてもう真っ平だ!・・・母さん、私は不良になってやる!不良になって、世間の奴らに思い知らせてやるんだ!」。そのまま祈子は家を飛び出してしまう。このシーンは毎回オープニングにも登場します。

なぜ「祈子(れいこ)」という名前になったかというエピソードが信也から語られる。祈子は難産で、母子共に危険な状態となり、父・友平は天に祈るより無かった。祈りが通じて無事に生まれたその子の名前を、友平は「礼子」と出生届に書いたつもりだったが、気がつくとそこには「祈子」と書かれていた。だが、友平はそれを訂正する気は無かった。そして、文字通り父の祈りの中から生まれた女の子として、友平は祈子に自分の夢を託したのであった。

父の秘密を知っているという時田に100万円をポンと差出し、「このくらいの金を右から左へ動かせるようでなければ北斗七星会の会長は務まらないからね」と見得を切った祈子だが、時田から「あと200万」と要求されると言葉を失ってしまう(笑)。彼女には100万円が限度だったようだ。幸い、母・保子が祈子のために貯めていてくれた貯金があったのだが、時田が死んでしまったので浪費せずに済みました。

祈子と信也がブラックエンジェルの闇討ちを逃れて海に落ちるシーン。波に揉まれながら信也が「君が僕にとってなくてはならない人だと分かった」というのを聞いた祈子、前回に引き続き「おためごかしを言うんじゃないよ!」と吐き捨てるように言うが、どうも意味合いが違うような気が?・・・。

徹の兄貴分で、暴力団華粋会の幹部・野沢剣二(萩原流行)。切れ味鋭い悪役っぷりがカッコイイ。だが、なぜ華粋会は祈子を目の仇にするのか。それは徹にも知らされない。

今回のミニガイドは、ゴルフコースをこちらへ向かって駈けて来る祈子と、次回の映像とのカットバックになっています。


第3話「さようなら!貴男」

ストーリー
殺人事件の容疑者として追われる身となってしまった祈子(安永亜衣)。飛び出していって自分は殺人などやってないと叫びたいところだが、祈子は既に凶器準備集合罪でも手配されており、不用意には動けない。

成田空港、ニューヨークへ出発する信也(風見慎吾)を見送りに来ている野上・丸元の両家族。信也はテレビのニュースで、祈子が殺人事件の容疑者として手配されていることを知る。信也は丸元物産社長の賢三(長門裕之)にニューヨーク行きの延期を申し出て、空港を飛び出してしまった。信也の婚約者・亜矢子(生田智子)の信也への強い思いから、賢三は1週間だけ彼に猶予を認めた。信也は北斗七星会のお花と順子がいるアジトを突き止め、彼らと一緒に祈子の行方と、殺人事件の目撃者を求めて奔走する。

その頃、祈子は変装して、図書館で3年前の事件に関する新聞記事を調べていた。そして、当時の事情を知る丸元賢三から直接真相を聞き出そうと、祈子は意を決してその夜、丸元邸に侵入。祈子は賢三をナイフで脅し、口を割らせようとする。だが、賢三はあくまで神島友平が犯人だという主張を曲げない。そこへ亜矢子が現れる。祈子は亜矢子から、信也はニューヨークへは行かず、祈子を探して横浜に向かったと聞かされる。

丸元邸から脱出し、夜の街に身を潜めている祈子。高架下を歩いていると、突然、スカーフで顔を隠しサングラスをした謎の男(萩原流行)が祈子に襲い掛かった。祈子は背中の5番アイアンで男を辛うじて退けてその場を逃れた。

誰かが私の命を狙っている・・・父・友平も自分のように、殺人者の汚名を着せられ、自殺と見せかけて殺されたのではないか・・・?祈子は渾然として悟るものがあった。

ミニガイド
(※今回は次回予告ではなく、ロックシンガー・沢向要士さんのアルバム「BURST OUT」のプロモ映像でした。)

MEMO今回のサブタイトルですが、同じ大映ドラマの『乳姉妹』でも「さよなら貴男」という回がありました(11話)。脚本はどちらも江連卓氏。

図書館で調べ物をしている祈子は普通の顔になっている。丸眼鏡が可愛い。だが、丸元邸に侵入する際にはビシッと“アイアンお祈”のメイクで決めています。

ブラックエンジェルのアジト。大きな瓶で牛乳を飲んでいる徹。徹は3年前、列車に飛び込もうとしていたところを、華粋会の野沢剣二に拾われたというエピソードが紹介されます。


第4話「破られた婚約」

ストーリー
父・友平が遺体で発見された塩沢湖にやって来た祈子(安永亜衣)。父は殺人の汚名を着せられて殺されたに違いない、父を殺した真犯人をきっと突き止めてみせる・・・祈子はそう決意した。友平が事件後しばらく身を潜めていた、あるいは閉じ込められていたのかも知れない山荘の中を調べていた祈子は、壁に架けられていた絵画の裏から、友平のスコアカードを発見。そこには友平の最後の言葉が記されていた。

 祈子 何があっても負けるな
 プロゴルファーになって
 お父さんの夢を叶えてくれ
 保子、徹と祈子を頼むぞ  友平 

これが友平の本当の遺書だったのだ。そんな父の無念も知らず、父を恨んで不良の道に堕ちていった自分を、祈子は恥じた。そのとき、複数の男たちが入ってきて祈子を襲撃する。5番アイアンで応戦する祈子。そこへ兄・徹(沢向要士)が駆けつけ、命からがら祈子を山荘から逃がした。だが祈子の前には野沢剣二(萩原流行)が立ちふさがる。追い詰められた祈子は崖から川に飛び込み、どうにかその場を逃れる。

時田殺しについては、目撃者が現れて祈子の疑いは晴れた。しかし、凶器準備集合罪と丸元邸への不法侵入、丸元賢三(長門裕之)への脅迫容疑は残っており、祈子が指名手配されていることは変わりない。

祈子は次にどこへ現れるか。亜矢子(生田智子)の推測を元に、信也(風見慎吾)は3年前の事件があった北関東ゴルフクラブへ向かった。祈子はそこで、当時友平とプレーをしていたプロゴルファー・高倉道夫(国広富之)のキャディーに成りすましていたのである。

8番ホール、高倉の第一打は大きく逸れて林に入った。林の中で祈子は、高倉にナイフを突きつけ、事件の真相を聞き出そうとするが、祈子には彼の答えが信用できない。しかし問答が長引くとギャラリーに怪しまれる。祈子はその場は諦め、キャディの服を脱ぎ捨てて逃走。その夜、祈子は再度高倉を捕まえ話を聞こうとするが、彼はあくまで証言を撤回しようとしなかった。

その後、軽井沢にある野上家の別荘に身を隠していた祈子。そこへ信也が現れ、彼女に自首を勧めた。祈子は友平のスコアカードを信也に見せる。父の無実を確信した今、自首などしている暇はないと言う祈子を、信也が説得する。いつまでも逃げ回っていてお父さんの無実を晴らせるのか、自首して罪を償えば、誰に気兼ねすることなく堂々と動ける。信也は会社を辞めてまで祈子と行動を共にする覚悟をしていた。私のためにそこまで・・・信也の心に打たれ、祈子は自首を決意する。

ミニガイド
なし

MEMO
指名手配を受けながら各地を転々とする祈子。一体どうやって寝泊りしているのだろうか。あと、逃げ回るのにあの衣装は目立ち過ぎではないか・・・。

信也は会社に辞表を出し、亜矢子には婚約解消を申し入れる。祈子のことで自分の心は一杯だと、正直に話す信也。だがプライドの高い亜矢子は諦めない。「・・・神島祈子、私はあなたなんかに負けない、どんなことをしても、信也さんの心からあなたを追い出して見せるわ!」


第5話「さらば不良少女」

ストーリー
父は殺人の汚名を着せられて殺された・・・祈子(安永亜衣)はそう信じるに至った。父の真実を掴むため、祈子は自首して、綺麗な体になって戻ってくることを誓う。ひとり警察に出頭する祈子を、母・保子(音無美紀子)や信也(風見慎吾)、そして北斗七星会の仲間たちが見送った。

祈子は少年鑑別所へ送致される。ここで、釈放されて保護観察処分になるか、あるいは少年院へ送られるかが決まる。もし少年院に送られたら2~3年はかかってしまう。祈子は自首したことを少し後悔していた。

鑑別所で共同生活が始まる。先に凶器準備集合罪で捕まっていた北斗七星会の幹部も入っていた。祈子は、ここを出たら北斗七星会を解散すると宣言。彼女にはもう不良をやっている時間はないのだ。解散に反対する者がいるとしても、祈子は会長を引退することを決めていた。会長が引退すれば、掟により解散となる。かつての抗争相手も入所していたが、祈子は、挑発を受けても軽はずみな真似をしないよう仲間に周知する。

とあるプールバー。華粋会の野沢剣二(萩原流行)は、レディースブラックの会長・大崎冴子(大沢逸美)を鑑別所に送り込むことを企てる。冴子は祈子の兄・徹(沢向要士)に思いを寄せていたが、徹の華粋会への昇進を餌にして彼女を利用したのだ。

北斗七星会の仲間たちが釈放されたのと入れ替わりに、冴子が鑑別所に入ってきた。その日から執拗に祈子を挑発する冴子だが、祈子は信也との約束を守って必死に耐えていた。

祈子に面会を求める者があった。信也だと思い喜び勇んで面会室へやって来た祈子を待っていたのは、信也の母・静子(久我美子)であった。「信也のことを思う気持ちがあるなら身を引いて、信也の人生を返しなさい」と言う。にわかに納得できない祈子だが、信也のことを思えば、諦めるべきなのだ。祈子はとうとう「私は二度と信也さんには会いません」と約束してしまう。祈子の胸は鋭く切り裂かれ、絶望に打ちのめされる。

ミニガイド
神島祈子は今、耐え忍んでいます。規律正しい毎日の生活の中に、時折り忍び込む黒い隙間風。そっと後ろを振り返ると、私を暗黒の世界へ引きずり込もうとする悪魔の手先がほくそえんでいる。その連中の仕掛ける挑戦に、私はじっと耐えるしかないのだろうか・・・。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
オープニングナレーションが新バージョンになりました(セリフ自体は同じ)。前回までより若干テンションが高い?。また、オープニング映像の効果音(ボールがカップに入る音など)が少し大げさになったような気がします。

食堂「あすか」のメニューには、名古屋名物・みそ煮込みうどんもある。お餅も入って700円。

全員で「いい日旅立ち」を合唱して友を送り出すのは『不良少女とよばれて』の影響か?。警察に出頭する日、大粒の雨が降っているのに、傘も差さずに出かける祈子。

鑑別所の男子房。祈子が鑑別に入って来たのを知った北斗七星会の新巻鉄男(斉藤隆治)と秋葉清(織田裕二)は、グラウンドでランニングしている祈子を見て「あれは本当に会長なのか?」と一瞬戸惑う。清は「会長のスッピンなんて初めてだから、オレ面食らっちゃうよ。あんな顔してたんだ・・・」と正直な感想を漏らす。無理もないと思います(笑)。

鑑別には、かつて祈子たちと抗争を繰り広げた“川崎グループ”の頭・沼田テルヨも入っていた。彼女の額には、当時祈子によって付けられた大きな傷跡が残っている。祈子は彼女の仕返しに黙って耐え、ひたすら許しを乞う。ここでは、過去の怨恨をぶつけられてじっと耐える祈子の姿に視聴者は同情すべきなのかも知れない。しかし、回想シーンを見ると・・・

北斗七星会と川崎グループの面々が木刀とか鉄パイプを持って(いわば正攻法で)大乱闘をしているさ中、祈子はしばらく高みの見物をしていたが、ふと気が向いたように地面に降り立つ。そして、足元に転がっていたコンクリート片を5番アイアンでフルスイングし、他の相手と闘っていたテルヨの額に命中させたのである。これを見る限り、どう考えても祈子の方が圧倒的に卑怯かつ悪質だ。「許してね」で済む話ではない・・・。

鑑別所での座禅の時間。正座をしている祈子の足の裏、本当に画鋲刺さってますけど・・・。吹き替えなのか本人の足なのか・・・?


第6話「少年院が待ってるぜ」

ストーリー
鑑別所の祈子(安永亜衣)は、面会に現れた信也の母・静子(久我美子)に言いくるめられ、「信也にはもう会わない」と約束をする。その後、祈子の母・保子(音無美紀子)と信也(風見慎吾)が面会にやって来たが、祈子は保子とだけ会い、「私のために信也さんの人生を台無しにすることはできない。今までは信也さんに甘えていた。だからもう会わないって決めた」と話す。保子からそれを聞いた信也だが、祈子への思いは変わらない。「祈ちゃん、僕を信じろ。もっともっと僕を信じろ・・・!」

鑑別所で部屋換えがあった。レディースブラックの大崎冴子(大沢逸美)が入所して以来、所内の空気は一変し、彼女の息のかかった者たちから祈子は執拗な嫌がらせを受ける。祈子を挑発して所内で間違いを起こさせ、彼女を少年院送りにしようという狙いからだ。

信也は再び面会に訪れるが、やはり祈子は応じない。信也は鑑別所の森戸所長(下川辰平)の部屋に呼ばれ、そこで祈子のことを全て話す。ちょうど所長は、部屋に祈子を呼んでいた。思いがけず信也は祈子と顔を合わせることになるが、祈子はそこで信也に暴言を吐いて見せる。少年院送りになるかもしれないが、祈子はこれで信也が自分を諦めてくれれば良いと考えたのである。

鑑別所での調理実習の時間。祈子は冴子から、北斗のメンバーや信也が華粋会の野沢剣二(萩原流行)に痛めつけられていることを聞く。さらに、祈子が作っていた料理の中に大量の唐辛子や胡椒を入れられて、遂に堪りかねた祈子は冴子にタイマン勝負を申し出る。時間は午前3時、礼拝堂。信也との約束を破ってしまうことに、祈子の心は痛んだ。

約束の時間、祈子は礼拝堂に現れたが、冴子と勝負する気はなかった。何も抵抗せず、良いように冴子に殴られる祈子。やがてその現場に、森戸所長や看守が現れる。この勝負は冴子の負けであった。

傷の手当てを受け、森戸所長に呼ばれた祈子。森戸は祈子が入所以来、その更生の意志を見極めようと務めていた。信也との約束を信じ、目的に向かって真っ直ぐ進む自分を信じ切った祈子を、森戸もまた信じてくれた。祈子は、初めて大人が自分を信じてくれたことに心を動かされる。

鑑別所での様子では祈子が保護観察処分で釈放になる可能性が高いという情報を得た剣二は、祈子の兄・徹(沢向要士)を唆し、祈子の少年院送りが決定したと嘘を吹き込む。徹は鑑別所から祈子を奪い返すことを決意、仲間を集めて鑑別所へ乗り込もうとしていた・・・。

ミニガイド
神島祈子は今、人を信じ、人を愛することの大切さを知りました。そんな人の為にも、高い塀から逃亡する誘惑に、私は負けるわけにはいかないのです。そして、私の前に立ちふさがる大崎冴子。将来、父の無実を求めてさまよう私の旅路の行く先々で、彼女はどんな役割を果たすのだろうか。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
祈子はお風呂で自分の衣服を隠されたり、自分の布団を勝手に使われたりと、様々な嫌がらせを受ける。お風呂のシーンは「時間ですよ」状態。


第7話「涙の引退式」

ストーリー
徹(沢向要士)は祈子(安永亜衣)を奪回すべく、ブラックエンジェルの仲間を率いて鑑別所へ乗り込む。所内に潜入した徹は冴子(大沢逸美)を独房から出し、続いて祈子を連れ出そうとするが、祈子は抜け出すつもりはないと答える。徹が祈子の意志に従うとみるや、冴子は祈子にナイフを突きつけ、騒ぎを起こそうと図る。祈子をめぐり屋外で大乱闘になるが、やがて看守に発見され、徹たちは冴子と共に脱出する。祈子は塀を乗り越えたい衝動に耐えて留まったのだ。

やがて、家庭裁判所の審判の日がやって来た。祈子は保護観察処分となり釈放される。娑婆に戻った祈子は、北斗七星会のメンバーに、自分は会長を引退すると宣言。鑑別所に入ったときから祈子の心はそう決まっていた。そして、父の無実を証明し、プロゴルファーになって父の夢を叶えるのだ。その日、埠頭にて祈子と親衛隊の引退式が執り行われた。そして夕暮れ、一人の普通の少女に戻った祈子は、信也(風見慎吾)と二人で静かな海辺を歩く。「祈ちゃん、綺麗だよ」・・・信也の言葉に、祈子は胸をときめかせる。

その日は全てを忘れて二人の時間を楽しむ信也と祈子。そして明日からは、事件の真相を求めて、当時のキャディーをしていた瀬戸久仁子と堂島兼子を探すのである。二人の試練の旅が始まろうとしていた。

ミニガイド
神島祈子は今、試練の場に立たされています。キャディーの堂島兼子さんからゴルフの勝負を挑まれたのです。父の事件の真相を知るためにも、負けることはできません。眠っていた私のゴルフへの情熱が、ふつふつとたぎって来ます。

「父の夢 乗せてボールは フェアウェイ 今日は祈子の ゴルフ記念日」

次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
今回の最大のポイントはやはりミニガイドでしょう。いきなり短歌を詠む祈子、それもサラダ記念日!(笑)。そう言えば「サラダ記念日」の出版はちょうど「祈子」がオンエアされた1987年でした。祈子が第一打のスイングをするシーンが映りますが、ボールはあさっての方向へ。「ぷっ」と思わず自分で吹き出してしまう安永亜衣さん。明らかにNGシーンですね。例の短歌といい、今回のミニガイドは真面目なのかギャグなのかよく分かりません。

徹は冴子をブラックエンジェルから永久追放する。徹のバイクにしがみつき、引きずられる冴子が全く無傷なのは何故・・・。

祈子が鑑別所を出る日、またしても「いい日旅立ち」で見送る仲間たち。

北斗七星会のメンバーと信也は、祈子の実家である食堂「あすか」で祈子の出所祝いを開く。神奈川県最大の不良グループであった彼らも、すっかりこの大衆食堂が馴染んでいるな・・・。そんな所へ鑑別所を脱走した冴子が現れ、祈子に勝負を挑んだ。祈子は唐突に、ゴルフをやってみないかと冴子に勧める。冴子が高校のソフトボール部でピッチャーだったことを祈子は何故か知っていて、ソフトボールの選手から一流のプロゴルファーになった人もいるという話を紹介するのだが・・・。

冴子は祈子の兄・徹を愛している。だが冴子は、徹が実は祈子を愛していることを本能的に察知していた。兄と妹以上の感情があると睨んでいるのだ。それは徹自身も気付いていた。祈子と信也が親しくなって、自分はなぜ胸が痛むのか。妹に好きな男が出来たら、兄として祝福してやるのが当然ではないのか、と・・・。


第8話「バンカー蟻地獄」

ストーリー
3年前の事件当日のキャディーは瀬戸久仁子と堂島兼子。しかし、二人とも事件の後、北関東ゴルフクラブを辞めており行方が分からなくなっていた。

祈子(安永亜衣)と信也(風見慎吾)は、まず瀬戸久仁子の息子を訪ねるが、息子である彼も母親の行方を知らないという。不審に思った二人は、彼が妻子と共に下田に出かけるのを尾行し、下田で瀬戸久仁子と会うのを突き止めが。だが二人が瀬戸久仁子に事件のことを尋ねても、彼女は頑なに口を割らない。だが、彼女の孫が海に落ちたのを祈子と信也が助け出したことから、重い口を開いた。瀬戸久仁子は、直接は事件を見ていないが、堂島兼子から大体のことを聞いたという。だが事情があって、その内容は話せないらしい。そこで二人は、堂島兼子が勤めているゴルフ場を聞き出し、そこへ向かった。

兼子がいる伊豆オーシャンゴルフクラブを訪れ、彼女に話を聞く祈子と信也。だが彼女の話にも、祈子にとっては腑に落ちない点があった。疑問をぶつける祈子に、兼子はゴルフの勝負を持ちかける。祈子が勝てば、兼子は自分が知っていることを一つ教えるというのだ。その代わり、祈子が負ければ賭け金として30万円を払うという条件である。祈子は受けて立った。

勝負はワンホールマッチ。2番ホール、パー3、143ヤード。兼子は5番アイアンで無難にグリーン周りのバンカー手前に落とした。引き分けでは意味がない。祈子はウッドの5番を使いグリーンに直接乗せようとするが、ボールはグリーンを転がってバンカーへ吸い込まれてしまった。第2打、兼子は確実にピン横へ寄せる。一方、祈子はバンカーからバーディを狙った。自分がこんな人に負けるはずがない、その慢心から、祈子のショットは再びバンカーに飲み込まれる。

兼子のパーパット、彼女は難無くカップに沈めた。同じくパーを狙う祈子だが、バンカーから直接カップインはならず、祈子の負けが確定。無残な敗北を喫し、祈子はうなだれた。祈子の心には、自分の天分への驕りがあったのではないか。信也に指摘され、祈子はもう一度一からゴルフの練習を始めることを決意する。

そんな頃・・・鑑別所を脱走していたレディースブラックの大崎冴子(大沢逸美)は、逡巡の末、祈子とゴルフで決着をつけることを期して更生を誓い、鑑別所に戻った。将来、彼女は祈子の好敵手として再び現れるのだろうか。

ミニガイド
神島祈子は今、敗れ去りし者のほろ苦さを味わっています。しかし、信也さんの無言の励ましが、痛く、優しく包んでくれる伊豆の浜辺。もう一度戦いたい、堂島兼子さんと。それがプロゴルファーへの第一歩を刻む道しるべとなることを、私はいま感じるのです。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
事件当時のキャディー・瀬戸久仁子は昭和14年6月15日生まれ、堂島兼子は昭和12年8月20日生まれ。瀬戸久仁子の当時の証言は「フェアウェイでカートを押していたので事件には全く気付かなかった」、堂島兼子の当時の証言は「林の中でボールを捜すのに夢中で事件には気づかなかった」。

堂島兼子との勝負に30万円の賭け金を要求される祈子。北斗七星会会長の頃ならばその程度の金は右から左へ動かせた祈子だったが(第2話)、今では「そんな大きなお金・・・」と尻込みしてしまう。しかし幸い、信也が用意してくれることになる。


第9話「婚約者の復讐」

ストーリー
3年前の真実(と、30万円)を賭けて堂島兼子(富永ユキ)に挑んだワンホールマッチで、祈子(安永亜衣)は自らの驕りから無残な敗北を喫した。その日から祈子は、信也(風見慎吾)と共に雪辱を誓い特訓を始める。

その頃、信也のことを諦め切れない亜矢子(生田智子)は自宅のお手伝いから情報を得て、祈子と信也が練習をしている伊豆オーシャンゴルフクラブに乗り込んだ。彼女は、経営者の強みで二人に圧力をかけ、ゴルフ場から締め出してしまう。「・・・負けない、私が祈子さんに負けてたまるもんですか!」

祈子と信也は仕方なく、海岸でバンカーショットの練習をすることになった。激しい練習で、祈子の手のひらには血が滲んでいた。信也は思わずその手に口づけをしてしまう。崖の上からその様子を険しい形相で見つめる亜矢子。やがて二人の前に降りてきた亜矢子から、母が心労で倒れたことを聞かされる信也。だが今の信也には、祈子と行動を共にすることしか頭に無い。ただひたすら亜矢子に土下座して詫びる信也。祈子への恨み冷めやらぬ亜矢子は、彼女に「宣戦布告」をする。

厳しい練習を重ね、堂島兼子に再勝負を申し込みに行く祈子と信也。中々承諾してもらえなかったが、雨の中ずっと待ち続ける二人に根負けして、彼女も遂にリターンマッチを受け入れた。その頃、祈子の兄・徹(沢向要士)に、華粋会の野沢剣二(萩原流行)から「伊豆にいる祈子のところへ行け」と命令が下る。それを察知した祈子の仲間・元北斗七星会のメンバーも伊豆へやって来た。

堂島兼子と祈子の再勝負の日。4番ホール、グリーンまで186ヤード、パー3の谷越えコースである。祈子の第一打はまたしてもバンカーへ。一方、兼子はグリーン横のラフへ落とす。祈子はバンカーから直接カップインを狙うが果たせず、結局、勝負は共にパーで引き分けに終わる。だが、祈子のひたむきさが遂に兼子の心を動かし、彼女は3年前の真相を語り始めた。

兼子の話によると・・・。事件のあったホールで、祈子の父・神島友平(岡本富士太)のショットはフェアウェイに落ちたという。それまでの証言では、友平のボールは大きくスライスしてブッシュに入ったとされていたが、そうではなかったのだ。そして、殺された丸元利一郎(佐原健二)のショットは証言どおりブッシュへ入ったという。そして、ブッシュの中で利一郎がボールを動かすのを友平が目撃、二人は激しい口論になり、もみ合いの中、偶然のはずみで友平のクラブが利一郎の頭を強打してしまったというのだ。そして、キャディーの兼子が救急車を呼びに行った時点では、利一郎はまだ生きていたという。

兼子がそこまで話した時、林の中に潜んでいた徹とブラックエンジェルの配下が祈子たちの前に姿を現し、祈子と信也を捕らえようとする。二人の運命は・・・。

ミニガイド
なし

MEMO
サブタイトルから想像して、亜矢子さんが繰り広げる祈子への愛憎劇で一本押し切ってしまうのかと思ったら、話のメインは祈子と堂島兼子さんのリターンマッチでした。

亜矢子さんの愛車は、品川53、24-06、白のソアラ。

堂島兼子さんはアパート「潮路荘」で一人暮らしをしている。祈子に根負けして、再挑戦を受けることになるが、今回もしっかり賭け金は要求している(50万円)。もし祈子が負けていたら、またしても信也さんの貯金から払われるところでした。しかし、祈子も第2話で母から少なくとも200万円の預金通帳を受け取っているはず・・・。


第10話「血鎖の秘密」

ストーリー
ブラックエンジェルから逃れて、林の斜面を転がり落ちて行く中、祈子(安永亜衣)と信也(風見慎吾)ははぐれてしまった。やがて、祈子の前に兄・徹(沢向要士)が姿を現した。徹は祈子に、自分も父の無実を信じており、祈子を狙う華粋会の目的を探るために、あえて剣二の命令に従っているように装っているのだと話す。徹は、信也を探しに行こうとする祈子に、信也なら無事だ、と言って当て身で気絶させ、山中の川原に隠しておいた自分の車へ運びこんだ。

夜が明けた。朝日が水面に映える渓流で、ようやく単なる兄と妹として対面した徹と祈子は、幼少時代に帰ったように無邪気に川遊びに興じた。だが徹はこの時、祈子と二人っきりになったのが実は初めてであるかのような奇妙な感覚を抱いており、祈子の信也に対する気持ちに反発する自分にも気付いていた。

徹は祈子を連れて、自分が用意しておいた隠れ家に向かう。だが、二人の車は華粋会の野沢剣二(萩原流行)に尾行されていた。徹は華粋会に捕らわれてしまうが、祈子はバイクで駆けつけた北斗七星会の鉄男(斉藤隆治)に助けられ、その場を脱出する。

祈子からの連絡で、祈子の母・保子(音無美紀子)は、徹が華粋会に捕まっていることを知る。保子は野上敬太郎(中条静夫)に力を貸してほしいと頼み込むが、敬太郎は、もはや徹のことは自分とは関係がない、と断った。続いて保子はバー「サムシング」を訪ね、ママの大木優子(中村晃子)に頼みに行くがやはり断られてしまう。保子は意を決して自ら華粋会に出向き、徹を返してほしいと剣二に懇願するが、徹はいないと白を切られて追い出されてしまう。そんな様子を、物陰から優子が見ていた。

その頃、敬太郎は丸元賢三(長門裕之)を訪ねていた。賢三のツテを使って華粋会に囚われている或る青年を救ってほしいと依頼する敬太郎だが、賢三はこれを撥ねつけた。また一方、信也には北斗の鉄男から連絡があり、祈子は一人で華粋会に乗り込むつもりだと聞かされる。

その夜、華粋会の事務所。徹は拷問を受け、地下室に囚われていた。事務所に忍び込む人影、それは優子であった。その頃、祈子も5番アイアンを手に華粋会に向かっていた。地下室に辿り着いた優子は徹を助けようとするが、そこへ剣二が姿を見せる。馴染みの店のママに過ぎない優子が、なぜ徹のためにここまでするのか。剣二に詰問され、優子は遂に真相を語り始めた。徹は優子が産んだ子だったのである。

ちょうど地下室にやって来た祈子も、廊下でその話を聞いてしまった。動揺した祈子は5番アイアンを床に落とし、剣二に気づかれてしまう。剣二は逃げる祈子を追って部屋を飛び出した。祈子は階段を上がった廊下でボールをセットし、剣二を待ち受ける。祈子の打ったボールは鋭くホップして剣二の左胸に命中、剣二は倒れた。「馬鹿野郎!!」祈子は叫ぶと、そのまま外へ飛び出した。実の兄と信じて疑わなかった徹の出生の秘密に触れて、胸の中に波打つ怒りとも悲しみとも分からぬ激情に追われるかのように、祈子は闇雲に走り続けていた。

ミニガイド
なし

MEMO
今まで劇中で断片的に描かれていた神島保子・徹・野上敬太郎・大木優子の複雑な関係が、ようやく一本の糸に繋がります。優子の回想シーンで、徹が神島友平・保子に貰われていく様子が描かれますが、これを見ると神島夫婦も随分冷酷だと思う・・・。

川遊びに興じる祈子と徹。黒のジャケットを着たままズボンの裾をまくって川に入っている徹・・・ブラックエンジェルの時とのギャップが微笑ましい。

徹が囚われている華粋会の事務所。部屋で雑談している組員たちの前に剣二がやって来て、唐突に言う。「・・・祈子が来るぞ!」。「まさか・・・?」と戸惑う組員たちだが、剣二は構わず続ける。「・・・俺には祈子の心の動きがよく見えるんだ。祈子という女、兄貴が殺されそうになってるのを黙って見過ごすなんて出来ねえ性分さ。・・・まあ夜中過ぎだろう。お前たち、今のうちにメシ食って来い」。

言われる通り食事に出る組員たち。「兄貴は?」「・・・俺はここで見張ってる」。祈子のことなら何でも知っている、そして実に子分思いな剣二アニキでした。

ビルの谷間、ショットしたボールをビリヤードのようにコンコンと壁にぶつけて器用に見張り二人を同時にやっつける祈子。接近戦だと大の男には苦戦する祈子だが、相手との間に十分な距離があり、かつボールを持っている場合ならばまさに敵無しです。


第11話「敵?謎の美少女」

ストーリー
徹(沢向要士)の無事を祈っている保子(音無美紀子)のもとへ、祈子(安永亜衣)が生気のない顔で帰って来た。祈子は徹の無事を伝え、そして、徹が本当の兄でないというのは本当かと尋ねる。保子は、徹はあくまで自分たちの子だと主張するが、やがて優子(中村晃子)が産んだ子であることを認めた。だが、その父親については口を閉ざした。信じて疑わなかった家族の絆が偽りであったことに揺れ動く祈子は、ゴルフの練習に打ち込むことでそれを振り払おうとする。

徹は優子の部屋に寝かされていた。そこへ保子が訪れ、徹を連れて帰ろうとするが、徹の産みの親である優子は拒絶する。確かに優子は保子との約束を破って親子の名乗りをしてしまったが、そうしなければ徹は殺されていたかも知れない。優子は徹が健やかに育っていると信じて20年間耐えてきたのに、優子の前に姿を現した時の徹は不良の道に落ちていた。そのことで保子をなじる優子。二人がそんな話をしている所へ徹が姿を見せ、自分の父親は誰なのかと問い詰めた。だが、二人ともそれには答えられない。徹は自分で父親を突き止めようと飛び出して行った。

祈子が練習していたゴルフ場に、丸元亜矢子(生田智子)と、プロゴルファーの高倉道夫(国広富之)が現れた。亜矢子は、祈子に負けたくない一心で、高倉のコーチを受けることにしたのである。祈子は二人の会話から、その夜、高倉と丸元賢三(長門裕之)が赤坂の料亭で会う約束をしていることを知る。

芸者に成りすまし、高倉と丸元が会談している座敷に潜入した祈子は、丸元利一郎殺しの事件当時のキャディーから聞いた事件の真相を二人に付き付けるが、彼らは自分の証言を曲げようとしない。祈子は二人が嘘を言っていると確信するが、ここで騒ぎを起こせば警察に通報されてしまう。祈子は高倉に言われるままに大人しくそこから逃げ出すしかなかった。

その夜、野上敬太郎(中条静夫)、静子(久我美子)、信也(風見慎吾)が買い物から帰宅すると、部屋の中には徹が待っていた。徹は、優子がかつて勤めていた料亭を当たって、当時を知る元置屋の女将を脅迫して真相を聞き出していた。徹の父親は敬太郎だと言うのである。彼が明かした真実に、静子や信也、そして、ちょうど野上家を訪ねて来ていた祈子と保子は、大きな衝撃を受ける。部屋で荒れ狂う徹は、敬太郎に積年の恨み言をぶちまけ飛び出していった。

夜の公園を歩いている信也と祈子。信也は、ショックを受けている母・静子にしばらく付き添い、そして改めて父を交えて徹のことを話し合うつもりだと言う。友平の無実を証明する旅から自分は少し離れてしまうが、その間はゴルフの練習だけに専念し、決して無茶な事はしないようにと祈子に約束させて、信也は家に戻った。

その後、お花(松居直美)に呼ばれて一緒に帰ろうとした祈子の前に華粋会の男たちが現れ、祈子を捕らえようと襲い掛かってきた。丸腰だった祈子はピンチに陥るが、その時突然、何処からか放たれたゴルフボールが、祈子を襲う男たちに命中する。祈子が見た先には、5番アイアンを手にした謎の少女が立っていた。彼女は二個のボールを同時にショットして男二人に命中させて倒すと、手にした5番アイアンを振るって、たちまち残りの男たちを蹴散らしてしまう。礼を言って彼女の名前を尋ねる祈子に向かって、少女は口を開いた。

「・・・私の名は司鏡子。祈子、私はお前を助けたんじゃないよ。私はお前を滅ぼすために、鏡の国からやって来たのさ!」

少女は不敵な笑みを浮かべて5番アイアンを背に戻すと、何処ともなく去って行った。やがて祈子のライバルとなるこの少女には、祈子を恨む恐るべき秘密が隠されていたのである。

ミニガイド
鏡の国から来たという司鏡子。・・・私と同じようなゴルフボール大の傷跡を持つ少女。彼女もまた、謎の世界を秘めたさすらいの少女なのでしょうか・・・。

MEMO
新キャラクター・司鏡子(土家里織)の鮮烈な登場シーン、一瞬「アイアンお祈のニセモノか!?」と思ってしまいましたが・・・(笑)。「私はお前を滅ぼすために、鏡の国からやって来たのさ!」という突拍子もない大仰な名乗りを挙げると、手にした5番アイアンをクルッと回して背中に装着し、不敵な笑みを残して去って行く。今回は徹の出生を巡るドラマが時間的には多くを占めますが、サブタイトルが示すように、最後に一番イイ所をさらって行ったのは司鏡子でした。

鏡子の衣装はアイアンお祈と非常によく似ているが、目に付く相違点としては、黒いベストの下に、祈子は開襟タイプのシャツ、鏡子はタートルネックを着ている点が挙げられます。撮影が冬場に入り、アイアンお祈の登場時(10月~11月)より寒くなって来たためでしょうか(本話の放映日は1988年1月6日)。

キャディーに化けたり芸者に化けたり・・・。丸元賢三の言う通り、祈子の行動力には恐れ入ります。

ミニガイドで紹介されるシーン、鏡子と対峙した祈子が「お前のような奴はね、私のこの傷が許さないんだ!」と啖呵を切って胸の傷跡を見せる。だが、鏡子が自ら開いて見せた右胸にも同じような傷跡があった。二人の間にはどんな因縁があるのか?そして、祈子の仲間・お花は、鏡子のことを知っているらしい・・・。次回が楽しみです。


第12話「鏡の国から来た娘」

ストーリー
祈子(安永亜衣)の実家である食堂「あすか」の厨房。祈子が室田花子(松居直美)に、鏡子(土家里織)のことを尋ねていた時、突然、窓ガラスを割ってゴルフボールが店内に打ち込まれる。祈子は、鏡子からの宣戦布告だと直感した。

夜の街に出没した鏡子は、ふらりと一軒のライブハウスへ入って行った。ひそかに鏡子の後を追って来ていた花子は、祈子には手を出さないでほしいと鏡子に頼み込むが聞き入れられない。鏡子は逆に、祈子の兄・徹(沢向要士)の居所を探し、信也(風見慎吾)もそこへ連れて来いと花子に命じた。店を出た花子は、始終を陰で見ていた仲間たちから、鏡子との関係を問い詰められる。花子は、自分は鏡子から大変な恩義を受けていて鏡子の言うことには逆らえない、と打ち明け鏡子に言われるまま街に消えて行った。

その頃、野上家では、徹の件を巡って信也と両親の話し合いが行なわれていた。徹を家族として認めるのか、あるいは敬太郎(中条静夫)が徹を自分の子と認めて徹に詫びるか。だが敬太郎はあくまで徹は自分の子ではないと主張し、話し合いは決裂。そんな所へ、窓の外から花子が信也に呼びかけた。徹の居所が分かったと聞いた信也は花子と出かける。

花子に案内された埠頭で徹を見つけた信也は声をかけるが、徹は兄である信也と打ち解ける様子はなかった。徹は信也に「俺は祈子が好きだ」と宣言し、二人は殴り合いになってしまう。その時、花子の背後から現れた鏡子がショットしたゴルフボールが徹と信也に命中し、気を失った二人は鏡子の部下たちによって何処かヘ連れ去られてしまった。そして鏡子は花子に、徹の居所を餌に祈子をおびき出すよう命じた。

翌朝、祈子は花子から徹の居所が分かったと連絡を受け、現場へ向かう。だが、祈子が辿り着いたその古い建物には鏡子が待ち構えており、傷付いた徹と信也が柱に縛られていた。鏡子は、徹と信也を人質に、祈子と一対一の決闘を挑む。二人の戦いのさ中、花子は隙を見て徹と信也を救出し、彼らは祈子と鏡子の争いに割って入る。鏡子は「こう邪魔が入っちゃスカッと勝負という具合には行かないね。祈子、お前の命はしばらく預けておくよ」と引き上げたが、花子は鏡子の部下に捕らわれてしまった。

残された祈子、そして徹と信也。徹は、今や妹ではないと判明した祈子に、愛の告白をした。思いがけない言葉を聞いて祈子は戸惑いを隠せない。徹は「俺は信也からお前を奪ってみせる」と言い残して走り去った。

そんな頃、鏡子の出現に恐れおののいている者たちが他にもいた。丸元賢三(長門裕之)とその妻・律子(岩本多代)である。彼らにとって鏡子は祈子に続く災いの種であった。そこへ娘の亜矢子(生田智子)が、御殿場のプロゴルファー養成所に入るためすぐに発つと言い出した。このまま何もしないで信也を待っていることには耐えられない、そして祈子とはゴルフで決着を付けたいと言って、亜矢子は家出同然に飛び出してしまう。

賢三は怒り心頭、野上家に乗り込んで敬太郎に絶縁状を叩きつけ、会社間の取引も今後一切中止すると通告して帰った。そこへちょうど祈子と一緒に信也が帰って来た。敬太郎と妻・静子(久我美子)は、祈子こそ全ての元凶であると、あからさまに彼女を非難した。

いたたまれずその場から飛び出した祈子は、玄関先で泣き崩れてしまう。なぜ皆バラバラになってしまうのか・・・徹も、花子も、野上家の人たちも。この世に真実の光を求めることが、なぜ人を傷つけ、憎しみだけを募らせることになるのであろうか。真実を求めることは罪なのか。自問自答を繰り返す祈子の胸に、悲しみだけが溢れていた。

ミニガイド
神島祈子は今、真実を求めて生きています。でも、その答えはいつも辛く悲しいことばかりです。人には知られたくない過去の秘密。私の友達の花子に、司鏡子と昔からの繋がりがあろうとは。そして舞い込んだ果たし状。祈子はまた傷付き喘ぎながらも真実の坂を踏み締めて行きます。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
5番アイアンを背に悠々と夜の街を闊歩している鏡子に、「肩に挿した5番アイアンは何の真似だ!俺たちの元の会長をからかう気かよ!」と因縁を付ける現・北斗七星会の男たち。北斗七星会は、会長の祈子をはじめ主要メンバーこそ引退したが、会自体が解散したわけではなかったのである。だが彼らは鏡子の前にコテンパンに叩きのめされてしまいます。

徹の居場所へと向かう祈子が着ている青いジャケット、どう見てもサイズ大き過ぎ(袖も折っている)。男物か?似合ってないです。

「ライブハウス・リバプール」で、5番アイアンを背にしたまま優雅にピアノを弾いている鏡子。この“有り得なさ”と言うか、“とんでもなさ”が実に大映ドラマ的で楽しい。曲は「エリーゼのために」。

今回、思いがけず鏡子と対決することになった祈子。当然5番アイアンは持って来ていないため、武器として鉄パイプを与えられる。「お前のような奴はね、私のこの傷が許さないんだ!」と自分の左胸の傷痕を鏡子に見せる祈子。すると鏡子はひるむどころか、自らの右胸を開いて見せる。そこには祈子と同じようなゴルフボール大の傷痕があった。「私はお前の鏡だよ。お前の左胸に傷があれば、私の右胸に傷があるのが当たり前じゃないか!」。・・・ところで、鏡子は誰にボールをぶつけられたのだろうか?


第13話「決闘!富士の裾野」

ストーリー
徹(沢向要士)からの突然の愛の告白と、崩壊する信也(風見慎吾)の家族を目の当たりにして、祈子(安永亜衣)は悲しみに暮れていた。そんな時、祈子と信也の前に現れた丸元亜矢子(生田智子)は、信也を賭け自分もプロゴルファーになって祈子に挑戦すると宣言した。動揺する祈子に向って信也は、今はゴルフにだけ専念し、司鏡子(土家里織)とは決して争ってはならないと厳しく忠告する。

その日、食堂「あすか」に、鏡子の手から解放された室田花子(松居直美)が傷だらけの姿で戻って来た。二階に寝かされ落ち着きを取り戻した花子は、祈子たちに、鏡子と自分の関係について重い口を開いた。花子は中学時代に両親の強要でやっていた当たり屋の常習で逮捕されて少年院に送られ、そこで鏡子と出会ったのだという。

・・・少年院での生活で酷いいじめの標的となってしまった花子は、ある時、授業中に無理やり歌を歌わされ、教官の怒りを買ってしまう。だが、そのとき花子を庇い、いじめグループに食事も取り上げられて衰弱していた花子に代わって自ら教官の制裁を受けて出たのが鏡子だった。

それから数日後の夜、花子は、鏡子に制裁を加えた教官といじめグループが一緒になって酒盛りをしている現場を目撃。憤激した花子は彼らと乱闘になるが、その時、何処からかナイフが投げつけられ壁に突き刺さる。そこへ現れたのは鏡子だった。彼女は、堕落腐敗した教官やグルになっていた者たちを鋭く見据えて非難し、花子の味方に付く。教官は鏡子を容赦なく殴打するが、鏡子は無抵抗を貫いた。

見かねた花子が、壁に刺さったナイフで教官を刺そうとした時、鏡子がそれを制止した。過去に殺人を犯したことのある鏡子は、人を殺した者の魂がどれほど無残に砕けてしまうかを花子に言って聞かせ、彼女からナイフを奪うと、自らの手で教官を刺してしまう。花子を自分のような魂の抜け殻にさせないために、鏡子はいわば花子の身代わりとなったのである。刺された教官は命を取り留めたが、鏡子は少年刑務所へ送られることになった。・・・これが花子が鏡子から受けた恩義の真相だった。

だが、その鏡子が祈子を憎む理由はまだ分からない。かつて暴力を憎んだはずの鏡子が、なぜ今、祈子に非道な暴力を向けるのか。ふと祈子は、花子が何かを隠しているのに気付く。花子はその懐に鏡子からの果たし状を持っていたのだ。祈子は、鏡子とは争わないという信也との約束を守って、その場は自重する。しかし、鏡子の憎しみの理由は父の事件と関係があるのではないかと思い当たった祈子は、翌朝、母や信也の制止を振り切って鏡子との決闘の場所へ向かった。

富士の裾野にやって来た祈子。待ち構えていた鏡子に祈子は、私が勝ったらなぜ私を憎むのかその理由を聞かせて欲しいと条件を出した。「・・・その心配なら無用のことだよ。お前の死に際にたっぷりと話をしてやるつもりだからな!」そう鏡子が言って、戦いの火蓋が切られた。激しく交錯し火花を散らす二人の5番アイアン。勝負は次第に祈子が優勢となった。鏡子の5番アイアンのヘッドを叩き折った祈子は、彼女を追い詰める。拮抗する中、祈子が鏡子に問うた。憎しみの理由は、父の事件に関係があるのではないかと。鏡子が遂に口を開いた。

「私の本名は丸元鏡子!・・・私はお前の父親に殺された丸元利一郎の娘さ!」

吐き捨てるように言って祈子に迫る鏡子だが、再び祈子の前に劣勢となってしまう。しかし、真相が判明した今、祈子はそれ以上鏡子と戦う気は無かった。「鏡子、私のお父さんのことで話があるんだ。お願い、私の話を聞いて!」祈子が叫んだその時、二人の対決を監視していた野沢剣二(萩原流行)の車が二人の間に割って入り、倒れていた鏡子を車内に押し込んで走り去った。

一人残された祈子のもとへ、信也が現れた。祈子は誓いを破ったことを信也に詫び、そして、鏡子が丸元利一郎の娘であることを彼に伝えた。つまり、父の無実を明らかに出来れば、鏡子の誤解は解けるはずだ。これからの祈子の戦いはゴルフの戦いになる。祈子は信也の勧めに従い、プロゴルファー養成所に入ることを決意した。祈子の胸の中には、ゴルフに対する情熱が甦り、炎となって燃えていたのである。

ミニガイド
神島祈子は今、女子プロゴルファー養成所でプロへの道を目指し、過酷な日々を送っています。科学的なデータに則ったカリキュラム、そして強靭な肉体を造り出すための特訓。その辛さに耐え、ただ一つの頂点を目指すライバル。元レディースブラックの頭だった大崎冴子、そして丸元亜矢子さん。でも私は負けない!次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
冒頭、傷心の祈子が海を眺めて呟く。「海・・・。嫌いだよ、お前なんて・・・!」。何か唐突な感じです。

花子が隠し持っていた鏡子からの果たし状。表書きに「果たし状」と大きく書かれているのに、それを手に取ってから「これは・・・果たし状じゃないか!」と改めて驚いてみせる祈子(笑)。

鏡子の果たし状を受け取った日の夜、ベッドの中の祈子は鏡子の夢にうなされる。棒術使いのように5番アイアンをブンブン振り回して祈子を挑発する鏡子のイメージ映像が強烈!

鏡子の挑戦を受けることを決意した祈子は、ベッドの下にしまってあった5番アイアンを取り出し、ササッと着替えてこっそり出発しようとする。今回の衣装、白いジャンパーの背中に黒い生地が張り付けてあり、そこには「Rei」の文字と共に5番アイアンを装着する金具が固定されている。何だか急ごしらえという感じ。玄関先で母に見つかり、二階から降りてきた信也にも止められるが、祈子は信也の腹にパンチをお見舞いして強引に出発します。信也は「あすか」で寝泊りしていたのか??

祈子との決闘に割って入った剣二の車の中で、鏡子は「余計な真似するんじゃないよ!」と息巻いているが、剣二は例のクールな口調で鏡子に言う。「鏡子、お前には祈子は倒せんぞ・・・お前ほどの悪じゃ祈子の光は消せんということだ」。このシーンを含め、今回は随所で「乳姉妹」のBGM?が流れました(音楽担当は同じ菊池俊輔氏)。


第14話「女4人 地獄の戦場」

ストーリー
祈子(安永亜衣)は信也(風見慎吾)に付き添われて、御殿場にある星雲女子プロゴルファー養成所に入った。信也はゴルフ場で仕事を紹介してもらい、住み込みで働くことになった。だが、祈子を執念深く付け狙う野沢剣二(萩原流行)が、養成所にまで姿を見せる。祈子と信也の前には早くも暗雲が立ち込めていた。

祈子のルームメイトは、元レディースブラックの大崎冴子(大沢逸美)であった。冴子は一週間前に鑑別所を出て、高倉道夫(国広富之)の紹介でここに入ったのだと言う。冴子にとってはプロゴルファーになることが目的ではなく、祈子をゴルフで打ち負かすことだけが目的だった。冴子は祈子に、負けた方はゴルフを捨てるという条件の勝負を挑む。そこへ亜矢子(生田智子)も現れ、彼女は、負けた方が信也をあきらめるという条件で祈子に勝負を挑む。二人に詰め寄られ、祈子はプロテストの日に決着をつけるということで、それぞれの勝負を受けることになってしまった。

しばらく経ったある日、野上家。静子(久我美子)はすっかり酒に溺れていた。信也が祈子と養成所に行ってしまったことに大きなショックを受けていたのだ。野上家の崩壊を危惧する敬太郎(中条静夫)は養成所の祈子を訪れ、信也を諦めてくれと頭を下げる。信也が亜矢子と結婚すれば野上家は救われる、自分の望みを聞いてくれれば、徹を家族の一員として迎えてもよいと言う敬太郎だが、祈子は受け入れることはできなかった。敬太郎は次に信也を訪ね、直接彼にも頭を下げた。静子の荒んだ状況を聞いて心を痛める信也。そんな信也と敬太郎のやり取りを見て、祈子も居たたまれなかった。

これ以上、愛する信也を苦しめたくないという思いから、祈子は養成所を出る覚悟を固めた。夜中、自室を抜け出し一人で最後の練習をしていた祈子の前に、亜矢子と冴子がやって来た。明朝ここを出ると二人に告げる祈子。亜矢子と冴子は反発するが、彼女らを振り切って祈子がその場を後にしようとした時、ドアが開いた。そして姿を現したのは、丸元鏡子(土家里織)であった。

「祈子、逃げ出そうったってそうは行かないよ。私は地の果てまでもお前を追って行くからね!」

祈子を鋭く見据えて言い放つと、鏡子は続いて亜矢子を睨み付けた。

「亜矢子、久しぶりだね。私はお前にも容赦しないよ。お前がお嬢さんぶって澄ましていられるのも、お前の両親が私の財産を乗っ取ったからだ!」

亜矢子の髪を引っ掴んで振り回す鏡子。祈子たちの間に戦慄が走る。一旦は信也の幸せを願って養成所から姿を消そうと決意した祈子であったが、鏡子の突然の出現がその航路を変えてしまった。ゴルフに対するひたむきな思いを胸に船出した祈子は、たちまちにして嵐の海に投げ出されていたのである。

ミニガイド
なし

MEMO
祈子が養成所に出発する日、見送りに出ている母・保子(音無美紀子)と元北斗七星会の親衛隊たち。なぜか順子(白島靖代)だけいない・・・。

丸元物産から取引を停止され、窮地に立たされている野上敬太郎。その日、社用車でなく自分で歩いて帰る途中、大学受験予備校(代ゼミ)を見上げている徹の姿が目に入る。徹はとあるバーへ入って行った。敬太郎もそこへ入り、徹に、本当は勉強がしたいのではないか、と話し掛けるが、徹は敬太郎の言うことには耳を貸さない。実はそこはぼったくりバーで、徹は水割り一杯に一万八千円を吹っかけられる。「何?ボる気かバカヤロー!人を見ろ!」と妙にリアルな口調で吐き捨てると、店内で大立ち回り。その後、なぜか無事に帰宅できる敬太郎。ただで済んだとは思えないが・・・。

養成所での一コマ、竹ぼうきでスイングの練習をしている祈子たち。そう言えば祈子は鑑別所に入っていた時にも同じことをやっていました。

養成所に乗り込んできた鏡子は亜矢子の髪を引っ掴んで振り回すが、隣にいた冴子は見てるだけで助けようとしない。もっとも、冴子は鏡子とは初対面なので、「誰だコイツ?」と思うのも無理ないですが・・・。一方、祈子も鏡子にガンを飛ばしているだけで、亜矢子を助けません(あるいは一歩も動けなかったのか)。

鏡子をプロゴルファー養成所に送り込んだのは野沢剣二の策略であった。祈子たちの間で展開されているであろう修羅場を思い描いてか、養成所の外でほくそ笑んでいる剣二。「祈子、お前に格好の毒を投げ込んでやったぜ。・・・まあプロテストまで辿り着くかどうか、頑張ってみるんだな」。ところで、鏡子の入校手続なんかは剣二がやってあげたんでしょうか?


第15話「恋捨て記念日」

ストーリー
鏡子(土家里織)の出現から一夜明けた。亜矢子(生田智子)は祈子(安永亜衣)に、自分たちとの勝負は別として、ここを出るなら早い方がいいと忠告する。丸元家では、鏡子は悪魔の子と呼ばれていたという。亜矢子がそんな話をしているところへ鏡子が現れ、自分のことで余計な事を喋ろうとしている亜矢子を手酷く痛めつけた。一旦は養成所を出ようとしていた祈子だったが、鏡子の脅しに屈することはできず、養成所に留まることを決意する。

養成所での練習の合間、祈子は鏡子に、父・神島友平は丸元利一郎殺しの犯人ではないと訴えるが、鏡子は信じようとしない。鏡子は自分の辿って来た道を祈子に話し始めた。鏡子が父・利一郎の死を知ったのは、彼女が少年刑務所にいる時だった。自分を愛してくれた唯一の肉親である父を殺した犯人・神島友平に、鏡子はそれこそ少刑を脱獄して復讐するつもりでいたが、友平は自殺。憎しみをぶつける相手がいなくなり、鏡子は生ける屍同然になってしまった。それからしばらく経って、神島友平の娘が神奈川県最大の非行グループの会長になって暴れ回っていると聞いて、鏡子の血は燃えた。その娘に復讐することだけを考えて鏡子は模範囚となり、古武道を知る教官から、血の滲むような特訓も受けたのである。そんな道を歩んできた鏡子に、祈子の言葉は届かなかった。

その頃、野上家。敬太郎(中条静夫)の会社は丸元賢三(長門裕之)からの圧力で八方塞がりの状況にあった。亜矢子と結婚して、自分たちを助けて欲しいと信也を説得する敬太郎だが、信也は、一生ずっと丸元社長の顔色を伺ってまで社長に留まりたいのかと敬太郎に反発する。だが、学閥も閨閥も無い身から社長に登りつめた敬太郎には、社長の椅子は失うことの出来ない夢であった。ちょうどそこへ帰って来た静子は、友人である丸元律子(岩本多代)からの助言もあり、もう一度自分で信也を説得することを考えていた。もちろんそれは敬太郎のためではなく、信也のためにである。

翌日、静子は信也に、富士山を見に御殿場へ行きたいと言い出した。本音は養成所の祈子と亜矢子をもう一度見てみたいということだったが、信也は母の望み通り一緒に車で出かけた。その頃、野沢剣二(萩原流行)から「祈子を信也から奪って来い」と焚き付けられていた徹(沢向要士)も、バイクで御殿場に向っていた。

その日、養成所の訓練生たちは、20kmのマラソンに出ていた。マラソンの列が通りかかった所で、信也は車を停める。静子は、祈子と自分のどちらが大事なのかと信也に問うが、信也には答えられない。信也が祈子に声をかけようと車から離れた隙に、静子は霧深い樹海へと姿を消してしまった。走っていた祈子も異変に気付き、信也と一緒に静子を探しに向かう。亜矢子、冴子、鏡子も彼らを追った。そんな頃、付近へ来ていた徹は冴子から状況を聞き、祈子を追って樹海の奥へ入って行った。

やがて祈子は、倒れている静子を発見した。信也を引き止めることが出来ず絶望している静子の姿を見て、祈子の口から突然、思いがけない言葉が飛び出した。子離れできない親なんて最低だ、こんなエゴイストな姑がいたら信也さんと結婚しても不幸になるのが目に見えている、などと祈子は暴言を吐く。信也もそこへやって来たが、祈子は構わず続けた。「安心するといいわ。信也さんなんてこっちから振ってやるから!」・・・もちろんそれが祈子の本意でないことは信也にも分かっていたが、祈子はこうでも言って自分が信也と離れることを静子に伝えなければ、信也も静子も救えないと考えたのだ。

二人の許から走り去った祈子は、木陰で堰を切ったように泣き崩れた。祈子には信也への変わらぬ思いが溢れていた。そんな様子を目の当たりにしてしまった徹は、祈子の前に姿を現すことはできなかった。

「私は祈子を許さない。許さない・・・!」静子は何度もそう繰り返しながら、信也に付き添われて車に戻った。走り去る信也の車を見つめて、祈子は心の中で言った。「信也さん、静子おばさまを安心させてあげて。私は一人で生きていけます。一人で・・・」。祈子はこれ以上信也が苦しむ姿を見たくなかった。信也との別れを決意することは胸を引き裂かれるほど苦しかったが、静子に辛く当たってみせたことに後悔は無かった。祈子はたった一人で荒海に漕ぎ出す覚悟をしていたのである。

ミニガイド
神島祈子は今、ギャンブルにのめり込んでしまった徹兄さんの切ない気持ちを思っています。しかし、悪魔の使いが、私たち兄妹を破滅の道へと導こうとしているのです。徹兄さんの命と引き換えに、ゴルフマッチの挑戦を受けなければならない祈子。プロゴルファーへの道のりに、また新たな障害が立ち塞がろうとしています。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
ドライバーショットの練習中、鏡子は祈子に「150ヤードの標識を見ててごらん」と言って、ボールをショットし、標識に命中させてみせる。「あれがお前の胸の傷跡さ。私の打球がいつもお前を狙っていることを肝に銘じておくんだね」。それに対抗して、祈子もボールを置いてショット。祈子が放った弾丸ライナーが命中して標識は爆発四散、吹き飛んでしまう。そんな無茶な・・・。 

丸元家のお手伝いさん・冬子(松井紀美江)は、野沢剣二の妹であった。彼らは丸元賢三から大きな恩義を受けていたのである。ちなみに、徹が信也から祈子を奪ってくれれば、彼らにとって都合が良いらしい。なお剣二は、鏡子が養成所に入ったことについては、亜矢子が入校していることもあり、賢三にしばらく伏せておくことにする。

20kmマラソンの途中、鏡子が祈子に、「泥棒猫(←注・亜矢子のこと)の婚約者を奪おうなんて、お前も泥棒猫だよ」と悪態をつく。祈子は相手にしない。「・・・図星を付かれて返事も出来ないようだね。信也ってそんなにいい男かい!」と祈子を煽る鏡子。「信也ってそんなにいい男かい」・・・私も祈子と亜矢子さんに小一時間問い詰めたい。

マラソンのシーンでは、祈子・鏡子・亜矢子・冴子の身長差が良く分かります。ちなみに背の高さは、大沢逸美さん(168cm)>生田智子さん(165cm)>安永亜衣さん(160cm)>土家里織さん(156cm)となります(データは「日本タレント名鑑」より)。初登場の時はそれほど気になりませんでしたが、最近の鏡子はとても小柄で可愛い。祈子にガンを飛ばしていても、実は見上げていたりします。

樹海で静子の探索中、かなり派手に斜面を転がり落ちていった祈子。そこへ岩を落とそうとしていた鏡子だったが、背後で声がしたので振り向いたら、次の瞬間に祈子の姿はなく、鏡子は舌打ちする。鏡子は亜矢子に狙いを変え、彼女を樹海の奥へ引っ張って行った。亜矢子を一人置き去りにするつもりである。そこへ、かすり傷一つ無い祈子が現れ、鏡子を追い払う。亜矢子は祈子に「もう嫌、おうちへ帰りたい・・・!」と弱音を吐く。祈子は「ここで挫けたら、丸元亜矢子のプライドはどうなるの!私は鏡子の脅しになんて負けないわ!」と亜矢子を励まします。


第16話「明日なき闘い」

ストーリー
信也(風見慎吾)の幸せを願い、祈子(安永亜衣)は心を鬼にして信也の母・静子(久我美子)を罵倒してみせたが、信也には祈子の本当の気持ちがよく分かっていた。祈子を人生の同志と考えている信也にとって、彼女のために苦しむことは不幸ではなかった。信也は再び養成所の祈子を訪ね、もっと僕を信じろ、僕一人の幸せを願うなと祈子に言い聞かせる。

養成所に、亜矢子(生田智子)の両親である丸元賢三(長門裕之)と律子(岩本多代)が訪ねて来た。亜矢子に届け物をして帰ろうとした時、養成所内に鏡子(土家里織)がいるのを知って、丸元夫婦は驚愕する。鏡子は、自分を悪し様に罵る丸元夫婦に、父・丸元利一郎を巡るいきさつをぶちまけた。利一郎の家や株券は税金対策として丸元物産の名義になっていたが、利一郎が神島友平に殺された当時、鏡子がまだ小娘だったのをいいことに、賢三がその財産を乗っ取ったというのだ。そして、賢三は丸元物産の社長の椅子を狙って、利一郎を失脚させようとしていたことも鏡子の口から明かされる。居合わせた祈子と信也もその新事実を知るところとなった。鏡子は賢三たちに言った。「祈子に恨みを晴らしたら、次はお前たちだ。お前たちの家に乗り込んで、財産は全て返してもらうからな。首を洗って待ってな!」

その日、華粋会の野沢剣二(萩原流行)は、鏡子の養成所入りを報告しなかったことを賢三に厳しく叱責される。憤激する賢三は剣二に、一刻も早く祈子と鏡子を始末しろと命令。剣二は、祈子の兄・徹(沢向要士)を利用して祈子から片付けようと企んだ。その頃、徹はルーレット賭博にのめり込んで自堕落な毎日を送っていたが、その借金が膨れ上がり、一億二千万円にも達していた。剣二は借金の精算を迫り、無理なら死を選ぶ他ないと徹を脅迫。そして、唯一彼が助かる手立ては、祈子が華粋会の選んだプロとの賭けゴルフに勝つことだと言う。祈子に迷惑が及ぶことを恐れる徹は、自分の父が扶桑工業社長の野上敬太郎(中条静夫)であると明かし、敬太郎に金を出させると剣二に申し出る。徹と剣二たちは野上家へ乗り込むが、敬太郎は彼らの要求を拒んだ。

翌日、養成所の祈子の前に剣二が現れ、徹の命が華粋会の手に預けられていることを伝えた。徹の命を賭けたゴルフマッチに祈子が勝てば借金は帳消しにできるが、負ければ徹は自ら死を選ぶことになるという。祈子のプロゴルファーへの道に、またも暗雲が立ち込めた。彼らの話を、徹に想いを寄せる冴子(大沢逸美)も聞いており、彼女は徹を助けて欲しいと祈子に懇願する。ゴルフマッチのスタートは明朝8時。徹を見殺しにはできない祈子は、父の墓参りという表向きの理由でその日の休暇願を出した。

祈子が養成所を出ると、そこには信也が待っていた。「・・・君のキャディーを務めるのは僕しかいないよ。さあ、行こうか」。徹の命は今や風前の灯火である。徹の無事を祈る保子、優子、敬太郎らの願いと共に、祈子と信也は勝負の場所へと向かった。

ミニガイド
神島祈子は今、フェアウェイの彼方に徹兄さんの命を見つめています。元プロゴルファー・勝田キョウスケとのゴルフマッチ。9ホールに渡るこの勝負に、兄さんと私の魂を、祈子は神に捧げて戦います。絶望から希望へ、悲しみから喜びへ、闇から光へ。神よ、祈子を導いてください。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
冒頭、パットの練習をしている養成所の面々。祈子のパットしたボールに横からコツンとボールをぶつけて邪魔をする鏡子がお茶目である。

華粋会とのゴルフマッチに赴くため、コーチ主任・黒木(綿引勝彦)の所へ休暇願を出しに行った祈子。表向きの休暇理由として「父の墓参り」と書いていたが、それを見た黒木が、神島友平の思い出を祈子に語った。黒木はプロテストに16回も失敗し続けていたが、17回目に友平から的確なアドバイスをもらって、38歳にしてようやく合格することが出来た。そして友平には今も感謝しているという。「友平さんはどんな苦境に立っても、心乱すことなく果敢なゴルフをする人でした」という黒木の言葉を励みにして、祈子は華粋会との勝負へと向かいます。


第17話「命賭けた闇ゴルフ」

ストーリー
徹(沢向要士)の命を賭けた、祈子(安永亜衣)と華粋会とのゴルフマッチ。その場所には、徹を想う冴子(大沢逸美)も密かに来ていた。祈子の相手は、勝田キョウスケ(穂高稔)。10年前に全日本オープンで優勝した元プロゴルファーである。無類のギャンブル好きが祟ってゴルフ界を追放された男だが、その腕は当時のままだ。勝負はハーフ、9ホール。各ホールでスコアが上回った方に勝ち点1を与えるというルールである。

第1、第2ホールと勝田が勝ち点を挙げ、実力差を目の当たりにして弱気になる祈子だったが、ギャンブルで身を持ち崩した勝田はいつかミスをする、という信也(風見慎吾)のアドバイスで、バーディチャンスが来るまで確実にパーをキープする作戦を取る。第3、第4ホールは両者ドロー。第5ホールで勝田がOBを出し、祈子に初の勝ち点が付いた。第6ホール、幸運なチップインバーディで祈子に勝ち点。2対2で迎えた第7、第8ホールは両者ドロー。勝負は第9ホールに持ち越された。その時、徹の父親である野上敬太郎(中条静夫)が徹のために金を作って祈子たちの前に現れ、勝負を中止するよう求めたが、既に賽は投げられた、と野沢剣二(萩原流行)はその金を突っぱねた。

第9ホール、勝利への焦りからか、祈子のティーショットは、林の中に入ってしまった。運悪くボールは木の根元に落ちており、満足にバックスイングもできない。フェアウェイに戻すどころか、ボールを動かすだけで精一杯の位置だ。諦めかけた祈子に、昨夜、養成所を出る時に聞いた黒木(綿引勝彦)の言葉が甦った。「友平さんは、どんな苦境に立っても心乱すことなく、果敢なゴルフをする人でした」。祈子はクラブを思い切って短く持ってスイングしボールをフェアウェイに戻すことに成功。祈子と勝田はそれぞれ3オンでグリーンの端へ乗せた。勝負はこのパットで決まる。勝田は2パットだったが、祈子は見事に1パットでカップに沈め、祈子の勝利となった。

徹は解放された。そのとき、冴子が、一部始終を陰でずっと見ていた不審な覆面の男にナイフを突きつけて祈子たちの前に突き出した。祈子にはその男の正体が分かっていた。祈子が事件の真相を知ろうとするのを妨げているその男は、丸元賢三(長門裕之)であった。祈子は、必ず父の無実を証明してみせると賢三に宣言して、その場を引き上げた。

ゴルフ場を後にする際、徹に父として詫びる敬太郎。自分の保身のために徹を神島家に預けたことを認め、父親としての責任をこれから果たさせて欲しいという敬太郎だが、徹もにわかには承知できない。祈子は徹と二人だけで話をすることにした。お兄ちゃんは自分の不幸に甘えている、と祈子に指摘される徹。彼自身もそのことは良く分かっていた。だが、徹は祈子への想いを抑えることができず、自分のために信也と別れてくれと祈子に求める。そんな様子を見かねた冴子が、徹の甘えを厳しく非難した。冴子は、もし祈子が負けていたら、徹を助けるために覆面の男を殺して自分も死ぬ覚悟をしていたと言う。「お兄ちゃんを本当に愛しているのは、本当に必要としているのは冴子さんよ。分かってあげて」という祈子の言葉に、徹は涙を浮かべてその場を後にする。お兄ちゃんについててあげて、という祈子の願いに冴子は、養成所には戻らない決心で徹の後を追った。

その夜、養成所に帰った祈子が自分の部屋の明かりをつけると、そこで待っていたのは鏡子(土家里織)だった。「今夜はゆっくり休ませてあげる。だけど明日からは容赦しないからね」と言う鏡子。そんな折、賢三と律子(岩本多代)が娘の亜矢子(生田智子)を連れ戻しに養成所に乗り込んできた。嫌がる亜矢子を見て、祈子も止めに入る。殺人者の娘と、義理の母を殺した女、そんな恐ろしい女が二人もいるところに大事な娘を置いておけるか、と賢三が口走ったことから、祈子は鏡子の過去を初めて知ることとなった。その場にいた鏡子が、自らの口から真相を明かした。鏡子は中学2年の時、継母をベランダから突き落として殺したというのだ。

鏡子の秘密の一端を知った祈子は、鏡子の背負っている運命の過酷さを思って慄然とするものがあった。賢三の悪しき意図に嵌って、祈子は胸の内で震えながらも、生死を賭した鏡子との戦いを予感していたのである。

ミニガイド
神島祈子は今、束の間の安らぎも無いままに、再び司鏡子の鋭い挑戦を受けようとしています。いまだベールに隠された鏡子の必殺技、それはいつどんな時に繰り出されるのか。不安な日々の中で、ショットに乱れが生じる祈子。そして、運命の時。鏡子の刃は遂に花子の頭上に襲い掛かってきたのです。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
冒頭、徹は華粋会の物置部屋らしき所に軟禁されていた。自分の借金のために祈子が賭けゴルフの挑戦を受けねばならなくなったことを知り、徹は逡巡する。これ以上祈子に迷惑をかけられない、俺さえ死ねば・・・。ちょうど天井からロープが首吊り用としか思えない形にぶら下がっており、踏み台に持ってこいの荷箱が足元にある(笑)。首を吊ろうとする徹の姿は、こう言っては何ですが、コントみたいに見えました。もちろん、剣二に発見されて止められ、徹は手酷く殴られます。

祈子と勝田の勝負で、ホールごとに勝敗のアナウンスをする剣二。勝田が勝った時は嬉々としているが、両者ドローだったりすると露骨に不機嫌そうな顔(と口調)。実に表情豊かで分かりやすいです。

野沢剣二・野沢冬子(松井紀美江)の兄妹は、親に死なれて餓死寸前の所を丸元賢三に助けられ、高校まで出してもらった恩があるというエピソードが紹介されます。

祈子の実家「あすか」で働いていた室田花子(松居直美)は、祈子の母・保子(音無美紀子)に、店を辞めたいと申し出る。歌手になる夢を叶えたいから、と花子は言うが、彼女の足は祈子のいる養成所に向かっていた。鏡子との因縁なのだろうか?


第18話「友よ安らかに眠れ」

ストーリー
養成所ではその日、プロゴルファーの高倉道夫(国広富之)が臨時コーチとして招かれた。高倉と一緒にラウンドする生徒として、祈子(安永亜衣)と鏡子(土家里織)も選ばれる。そのゴルフコースには、鏡子が祈子に何か仕掛けるのではないかと恐れる花子(松居直美)も来ており、信也(風見慎吾)と共にその行動を見守っていた。

第7ホール、ティーショットでフェアウェイに乗せた祈子に続いて、鏡子がショットしたボールは大きく右へ逸れて林の中に入った。二打目、鏡子が放った鋭いボールは木に跳ね返って、フェアウェイに立っていた祈子の腹部を直撃、祈子は倒れ込んだ。だが、まもなく意識を取り戻した祈子は咄嗟に、自分がぼんやりしていたのがいけなかった、と鏡子の意図的な曲打ちであることには触れず、痛みを押してプレー続行を申し出た。祈子はその時、鏡子への怒りよりも、一流プロゴルファーである高倉のコーチを受けたい一心だったのである。

最後のホールを終えた時、祈子は再び腹部の激痛に倒れ、信也と花子によって病院へ運ばれた。ホールに残された高倉と鏡子。高倉は鏡子が丸元利一郎の娘であることを知っており、祈子を恨むのでは筋違いだと言い聞かせるが、鏡子は考えを曲げない。鏡子は、利一郎殺しの犯人は神島友平で間違いないか、と高倉に念押ししたが、高倉はその問いには「間違いない」と答えた。

祈子が入院している病室。目を覚ました祈子は信也に、鏡子は宣言どおり自分を狙い打ちにしたのだと打ち明ける。しかし、ゴルフのコーチを受けることを第一に考え、鏡子の挑発に乗らなかった祈子を、信也は褒めた。その頃、一緒に見舞いに来ていた花子の帰りが遅いため、鏡子の所へ行ったのではないかと直感した信也は、彼女の後を追う。

花子は、養成所内の倉庫に鏡子を呼び出していた。自分の必死の願いも届かず、ついに祈子に刃を向けた鏡子に、花子は自分が身代わりになると土下座して懇願するが、鏡子はあくまでも祈子への復讐を止めようとはせず、花子の頼みを聞き入れない。そこへ信也が現れ、友平が犯人ではないと鏡子に訴えるが、鏡子は聞く耳を持たず、逆上して信也の腕をゴルフクラブで組み伏せ、その腕をへし折ってしまう。

三日後、退院した祈子が信也の宿舎を訪れると、そこには腕を折られた信也の痛ましい姿があった。信也は、仕事中に崖から落ちてケガをした、と平静を装うが、祈子は一緒にいた花子を問い詰め、鏡子の仕業であることを知る。祈子は、鏡子の挑発には決して乗らないと信也に約束していたが、自分のことなら何とか耐えられても、信也を傷つけられたとあっては、もはや鏡子を許すことは出来なかった。

その日の夕暮れ、ティーショットの練習をしている鏡子の前に、祈子が姿を見せた。「・・・あんたとは、どうしても体で決着を付けなければならないようだね」。祈子は鏡子に宣戦布告した。明朝6時、場所は例の樹海。鏡子も受けて立った。

翌朝、決戦の場所で祈子を待ち構えていた鏡子の前に最初に現れたのは、花子だった。花子はナイフを握り締め、鏡子に突きつけて言った。「あれほど祈子と争わないでって言ったのに・・・こうなったら、あんたを殺るしかないじゃないか・・・!」。鏡子に切り掛かる花子。そこへやって来た祈子は鏡子と花子の争いを止めようとするが、二人がもみ合う中、花子は崖から転落してしまう。地面に倒れた花子の胸にはナイフが突き刺さっていた。

瀕死の花子に寄り添う祈子と鏡子。花子は鏡子に、最後の頼みとして「祈子と友達になって・・・」と声を振り絞って言った。「わかった・・・祈子と争わないで、話し合ってみるよ・・・。友達になる・・・」鏡子は涙を浮かべ花子に誓った。花子は続いて祈子に、必ず父の汚名を晴らしプロゴルファーになって、と言い残し息を引き取った。花子の名を呼ぶ祈子と鏡子の悲痛な叫びが樹海に響き渡った。

ミニガイド
神島祈子は今、友人・花子の優しい心を思っています。自分の命をかけて、私と鏡子との間に刻まれた深い溝を、温かい心で埋め尽くしてくれた花子。彼女へのレクイエムを胸に、祈子は再び真実の道を歩みます。しかし、その行く手に立ち塞がる目に見えない敵は、新たな刺客を送り込んでくるのです。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
樹海の中をずんずん歩いているジャージ姿の鏡子。野沢剣二(萩原流行)に呼び出されたのだ。いつ祈子を攻めるのかと問う剣二に鏡子は、自分にはゴルフを利用した殺し技がある、そのチャンスを狙っているのだと答える。剣二は、祈子は憎むべき神島友平の娘だ、と鏡子を煽るだけ煽って去って行った。その後、花子がその場に姿を見せる。祈子のお父さんは犯人じゃない、祈子はその証拠を必死になって探してるんだ、と訴える花子だが、鏡子は信じようとしない。

鏡子「祈子のおためごかしを、お花は信じてるのかい!」

花子「おためごかしじゃない!祈子と話し合ってよ、きっと友達になれる!」

・・・このドラマ、「おためごかし」という言葉が良く登場しますね。

両親によって養成所から家に連れ戻されていた亜矢子(生田智子)は、隙を見て養成所に戻ろうしていたが、お手伝いさんの冬子(松井紀美江)に発見され止められる。祈子と鏡子はいずれ殺し合いをする、その巻き添えにならないよう、旦那様と奥様はお嬢様を連れ戻したのです、と亜矢子に言い聞かせる冬子。どう転んでも祈子と鏡子に生きる道はない、それが亜矢子の父・賢三(長門裕之)の意志だというのだ。その真相を掴むべく、亜矢子はお掃除中の冬子の後頭部を殴りつけ(!)、自宅を脱出し養成所へ向かいます。

病院を退院した祈子は、鏡子と初めて対決した時と同じ、特大サイズの青いジャケットを羽織っている。これ似合ってないです(笑)。また、鏡子との対決の場所に向かう時は、富士の裾野での決戦でも着ていた白いジャンパー姿で、背中には5番アイアンを装着する例の黒い金具が付いている。養成所にも持って来ていたのか・・・。


第19話「継母の陰謀」

ストーリー
富士樹海での室田花子(松居直美)の事故死は、新聞でも大きく報じられた。記事の中で、3年前のゴルフ場での丸元利一郎撲殺事件との関連や、神島友平の無実を訴える祈子(安永亜衣)の姿が紹介されていたことから、丸元律子(岩本多代)は苛立ちを募らせる。祈子の動きを黙って見過ごせない律子は、失敗続きの野沢剣二(萩原流行)に見切りを付け、外国出張中の賢三(長門裕之)にも無断で、剣二の妹・冬子(松井紀美江)に祈子を始末するよう命じた。

花子の葬儀。鏡子(土家里織)は、花子の遺影に手を合わせた後、彼女との約束どおり、心を開いて自らの過去を祈子たちに語り始めた。・・・丸元物産の社長であった丸元利一郎(佐原健二)の一人娘として生まれた鏡子は、父のすすめで始めたゴルフに非凡な才能を見せ、将来はプロゴルファーになることを夢見ていた。その頃の鏡子は父が大好きで、また人を疑うことなど知らない純粋な少女だった。彼女が中学2年の時、当時の丸元物産専務で永尾姓を名乗っていた丸元賢三が、彼の秘書をしている今井ミキ(沢井孝子)という女を連れて自宅に現れた。その女が利一郎の再婚相手であった。

ミキは利一郎の前では大人しい妻を演じていたが、鏡子には厳しく当たるエキセントリックな女だった。鏡子にとって許せなかったのは、彼女の亡き母の形見である衣服や宝石などをミキがさも当然のように自分の物にしていることだった。ある日、鏡子は学校をさぼって家に戻ってきたところ、部屋で賢三とミキが密談しているのを目撃。彼らが利一郎を丸元物産社長の座から引き摺り下ろそうと画策していたことを知る。

それからしばらく経ったある日、ゴルフ場を使って利一郎の誕生パーティーが催された。そこではアトラクションとして、ミキの知人でもあるプロゴルファーの時田真介(石橋正次)がゴルフの曲打ちを披露することになっていた。時田がボールを打つ直前、鏡子は父の危機を本能的に察知。咄嗟に父の前に飛び出した鏡子の胸を時田のボールが直撃し、鏡子は倒れる。かつて鏡子が祈子の前で見せた胸の傷跡はその時のものだったのだ。

鏡子は奇跡的に命を取り留めたが、時田のボールが明らかに父の命を狙っていたと知った彼女は、ミキを許すことが出来なかった。退院後、不良少女に姿を変えた鏡子は、熟慮の上、罪を全て背負う覚悟で、ミキを殺そうと決意する。だが、現実にミキをベランダから突き落としてしまった瞬間、鏡子は人を殺す恐怖におののき絶叫した。鏡子がそれまで温めてきた夢や希望は粉々に砕け散り、彼女は全く別の人間になってしまった。その後の鏡子は、かつて花子が話したように、少年院へ送られ、やがて少年刑務所で服役することになる。・・・

続いて、今度は祈子が自分の掴んだ事実を鏡子に話した。時田真介が3年前の事件の真相を知っていたこと、そして彼が何者かに刺されて息絶える間際、神島友平は無実だと確かに言い残したこと。鏡子も祈子の話を信じて、事件のことをもう一度洗い直す意志を固める。葬儀の後、初七日が済むまでは花子の傍にいるつもり、という鏡子は、プロゴルファーになる夢を祈子に託して彼女を養成所に送り出した。

養成所に戻り、自室に入った祈子。一息ついてクローゼットを開けると、その中に潜んでいた謎の女が飛び出し、祈子にナイフを突きつけた。女の正体は、丸元律子の命を受けた野沢冬子であった。冬子は祈子をグラウンドの倉庫へ放り込んで気絶させ、ガソリンを撒く。冬子が火の付いたマッチを祈子に放った時、意識を取り戻した祈子は間一髪これをかわしたが、二人のもみ合いの中、周りは炎に包まれる。祈子が必死に冬子を振り払った時、炎が冬子の体に燃え移り、祈子は咄嗟にマットを被せて彼女の火を消し止めた。重傷を負った冬子を担いで祈子が脱出しようとすると、ドアの外に野沢剣二の姿が!剣二は冬子の姿を見て一瞬躊躇するも、祈子を阻止すべくドアに鍵をかけて二人を中に閉じ込めてしまう。

祈子は必死に体当たりしてドアを破り、冬子を抱えて脱出、剣二の手を逃れて走り去った。瀕死の冬子に呼びかける剣二だが、死期を悟った冬子は、自ら炎の中に飛び込んで行った。燃え落ちる倉庫を見つめて、剣二は祈子への激しい怒りに体を震わせた。

突然の火災発生に養成所は大騒動となり、もはや祈子たちが養成所に留まることは許されなくなった。直ちに信也は祈子を車に乗せ、立ち塞がる剣二を振り切って養成所を出発する。

信也と祈子は、信也のゴルフ部時代の親友・高木を頼って、彼が勤務する鬼怒川のホテルに向かった。焼け死んだ冬子も、実際には丸元家の犠牲になったのだと思うと祈子は辛かったが、いま目の前に広がる美しい自然は、彼女に新鮮な感動を与えた。束の間の安らぎではあったが、人の好意が嬉しく、なにより信也と共にあることが至上の喜びであったのだ。

ミニガイド
神島祈子は今、数々の忌わしい思い出との訣別のため、日本の秘境・鬼怒川峡谷に身を寄せています。厳しい自然の中、高倉プロの指導を受けて、ひたすらスイングの矯正に打ち込む祈子。仄かに揺れる蝋燭の炎のように、私の未来はか細いものなのでしょうか。その不吉な予感が、大崎冴子の運命を狂わそうとしているのです。次回「プロゴルファー祈子」、お楽しみに!

MEMO
冒頭で律子は、外国出張中の賢三に無断で冬子に祈子抹殺の指令を下すが、冬子が失敗し焼死したという知らせが剣二から入ると、今度は血気にはやる剣二に対して、賢三が戻るまで待って指示を仰げと言う。「祈子は恐ろしい女!」が口癖の律子だが、ずいぶん自分勝手。

鏡子の継母・今井ミキを演じた沢井孝子さんは、東宝女優・沢井桂子さんの実妹です。沢井孝子さんは高校3年時、1967年12月17日に京都祇園会館で開催された、着物姿の美を競う「1968年度第1回『ミス美しい装い』コンテスト」で見事“ミス美しい装い”の栄冠に輝きました。当時のインタビューの中で、かつて東宝ニューフェイスに応募したことがあり、将来は東宝に入社してお姉さんのように女優になりたい、と抱負を述べています。ちなみに、身長162cm、B80・W60・H82とのこと(雑誌『美しい装い』1968年春・夏特集号、1968年3月28日発行)。

#17「命賭けた闇ゴルフ」で紹介された鏡子の回想シーンでは、継母・ミキをベランダから突き落とす鏡子は普段着姿だったが、今回描かれる同じシーンでは例のアイアンお祈もどき不良ルックになっている。しかしこの当時、祈子の方はまだ不良になっていない(祈子が不良化する原因となった父・友平の事件はこれより後)。ということは、5番アイアンを背負ったあの奇抜なファッションの元祖は祈子ではなく鏡子ということになりますが・・・。


第20話「夢か?峽谷の特訓」

ストーリー
野沢剣二(萩原流行)の追跡を逃れて鬼怒川峡谷に身を寄せ、ゴルフの練習に打ち込んでいる祈子(安永亜衣)。信也(風見慎吾)と友人の高木(堀光昭)と一緒にホールを回っている。プロテストにトップで合格することを目指す祈子は、現状のスコアでは満足できず、実力が伸び悩んでいることに焦りを隠せなかった。

そんな祈子たちの所へ、徹(沢向要士)と冴子(大沢逸美)が駆けつけた。いつ剣二の手がここまで回るかも知れない、早く立ち去る用意をした方がいい、と徹は忠告する。その時、彼らの前にプロゴルファーの高倉道夫(国広富之)が姿を現した。高倉は、自分を訪ねて来た徹と冴子の会話から、祈子たちが鬼怒川にいることを知ったのだった。祈子は思わず高倉のもとに駆け寄った。「高倉さん、なぜあなたがここにいるのか、そんなことは今の私にはどうでもいいことです。私にゴルフを教えてください!」そう言って頭を下げる祈子に高倉は、「明日の朝6時、龍王峡へ来たまえ」と言い残して去って行った。 

祈子たちは、剣二の追跡を逃れるべく、冬寒の原生林に包まれた秘境、龍王峡のロッジに向かった。信也や徹は祈子と一緒に泊まるつもりだったが、祈子は、せめて10日間だけ一人にして欲しいと申し出る。どこまで孤独に耐えられるか、どこまでゴルフを極められるか、自分を限界まで追い詰めて、自分を試してみたいというのである。信也たちはそれを聞き入れ、祈子を残し一旦ホテルに戻ることにする。

翌日から、高倉による特訓が始まった。その日は雪深い谷川のほとりでドライバーショットの練習。高倉は祈子のフォームを見て的確に問題点を指摘する。祈子の場合、全体の力を10とすると、ダウンスイングからインパクトまでに7の力を使ってしまっており、インパクトからフォロースルーに3の力しか使っていない。これでは飛距離が出なくて当然で、これを逆にダウンスイングからインパクトまでを3、インパクトからフォロースルーまでを7としてヘッドスピードを上げること、これが飛距離を伸ばす鉄則であると。その夜、練習を終えてロッジに戻った祈子は、床に置いた蝋燭の炎の真上をスイングして、フォームの矯正に専念する。

翌日は、林の中で曲打ちの特訓。木の跳ね返りを利用したリカバリーショット、片足打ち、片手打ちなど、高倉はその持てる技術を惜しげもなく祈子に伝授する。なぜ敵である私にゴルフの高等技術を教えてくれるのかと尋ねる祈子に、高倉が答えた。「おかしなことを訊くね。君は、私がなぜ鬼怒川にいるか、そんなことはどうでもいいと言った。それで良いじゃないか。君がプロテストを優勝で飾りたいのは知っている。だったら私から技術を盗めばいい」。

数日後の朝。鬼怒川ホテルを嗅ぎ付けた剣二と華粋会は、徹と冴子を拉致し、極寒の山中で徹を痛めつけ祈子の隠れ家を吐かせようとする。徹が殺されると恐れた冴子は、やむなく祈子の居場所を話してしまった。剣二たちは龍王峡へ急行。徹は自分の忠告を無視して祈子の居場所を話した冴子を罵倒し、自ら祈子を助けに行こうとするが、傷だらけの体で満足に動けない。冴子は、徹への罪滅ぼしのために、自ら祈子のもとへ向かうが、途中の雪道で崖から滑落してしまう。

高木から、徹と冴子がさらわれたという知らせを聞いた信也はロッジへ急行。だがそこに祈子の姿は無かった。祈子は高倉との練習場所に来ていたが、その日、高倉はまだ姿を見せなかった。どこからか、高倉の声が響いた。「祈子くん、すぐここを去りたまえ!追っ手が来ているぞ!」。祈子の前に剣二と華粋会の男たちが姿を現すが、その時、高倉の打ったゴルフボールが華粋会の男たちに次々に命中、祈子を助けた。

剣二の追跡を逃れた祈子はやがて信也と合流するが、途中、雪の中に倒れて氷のように冷たくなっている冴子を発見。冴子は薄れ行く意識の中で、祈子にプロゴルファーになる夢を託した。その時、徹が彼らのもとにたどり着いた。徹は冴子を病院へ運ぶことを引き受け、祈子と信也に自分たちに構わず逃げるよう促す。だが、祈子と信也が長い洞穴を抜けたとき、二人の前に剣二が立ち塞がった。

ミニガイド
なし

MEMO
野沢冬子(松井紀美江)の焼死事件を伝える新聞には「女子プロゴルファー養成所に怪事件」「身許不明の女性 物置で焼身自殺」といった見出しが踊っている。本文中には「二十五-六歳の女性の死体・・・」とあるが、ちょっと無理があるような?(ちなみに松井紀美江さんは当時32歳)

凍傷を負って倒れている冴子を発見した祈子と信也のもとへ現れた徹。木の枝を杖にしてヨロヨロと歩いてくる姿はちょっとユーモラスに見えてしまう・・・。

丸元賢三(長門裕之)が愛用しているパソコンはNECのN5200というシリーズの機種らしいです。

龍王峡、祈子の前に姿を現す剣二と華粋会の男たち。すると突如、どこからか放たれたゴルフボールが鋭く木に跳ね返って、華粋会の男たち数人を一気になぎ倒して行く。現実には有り得ないこんなシーンも無理なく見せてしまうテンポの良い演出が光ります。祈子の危機を救った高倉が遠くにすっくと立っている姿、カッコイイ!。だが、高倉は先頭を歩いていた剣二がボールを避けることは計算済みだったのか?


↑の『明星』1988年2月号の記事より一部紹介します。

(安永亜衣インタビュー)
「幼稚園の頃から文章を書くのが好きで、雑誌記者になりたかったんです。その後、新聞記者→脚本家→ん~、お芝居か・・・→書くより、演ったほうが楽しそう→女優さんになろう!!となりまして、一度決めたらあとは目標に向かってまっしぐらの性格なもので・・・へへ」

「小学生までは整理整とん魔人で、部屋はいつも、きちーっとしてたんです。でも中学頃から、A型の血が薄らぎまして、今じゃ、あき巣が入ったみたいな部屋で生活してますっ、あはは」

「私、運動はぜ~んぜんダメなんで・・・もぉ、バスケをやれば味方のゴールにシュートしちゃう、ハードルとべば全部なぎ倒して走っちゃう・・・最低なんです」

(※注・本人はゴルフは当然初めてのため、撮影に入る前に女子プロから2週間の猛特訓を受けた)「球筋が素直でいいって言っていただけました」

「中学、高校と女子高ですから、男の人ってダメなんです。特に顔のイイ人なんて、もう~、全身硬直おこしちゃいまして。だから恋人役の慎吾さんと、目をあわすシーンなんて汗ダラダラ。目が見れないんで耳たぶとか、おでこのシワを見つめてるんです。・・・それに“ぶっ殺すぞ”とかドスきかせながら、内股で走り去っちゃったり・・・どっか女子高ぽいんですよ、私」

・・・その他、「信也(風見慎吾)は本作出演が決まってゴルフを特訓したが、いざ始まったら自分がゴルフをするシーンが一回もなくて愕然とした」「祈子愛用のゴルフクラブは“HONMA”ブランドでワンセット150万円」「剣二アニキ(萩原流行)は、撮影の合間はいつもゴルフ三昧」といったエピソードも。


第21話「友情そして勝利」

ストーリー
剣二(萩原流行)の追跡を逃れて必死に走る祈子(安永亜衣)と信也(風見慎吾)。林の中で、再び剣二が二人の前に立ち塞がった。5番アイアンを奪い取り、信也を痛めつける剣二だが、祈子が隙を見て丸太で剣二に一撃を浴びせ、剣二は足を滑らせて崖から転落していった。

危機を脱し、出発しようとする祈子に信也は、剣二を助けに行くと言い出した。今なら命は助かる、と。祈子には理解できなかった。なぜ自分たちを何度も殺そうとした人間を助けるのか。だが信也は言う。どんなに自分が辛い時でも、他人の命を思いやる心を失ってはいけないと。それを聞いた祈子は、傷を負った信也に代わって自ら剣二を助けに谷底に下りていった。信也は一人でふもとの町まで戻ることにする。

剣二は気を失っており、左腕を骨折していたが、祈子が応急手当を施していた。やがて意識を取り戻した剣二は「なぜ俺を助けた!」と祈子を問い詰める。信也さんが助けろと言ったから、と素っ気なく答える祈子だが、知らず知らずのうちに自分がどんなに信也に惚れ込んでいるかを剣二に話していた。人の優しさを純粋に信じている祈子に、剣二も自分の少年時代を祈子に語り始めた。彼の父親はヤクザの下っ端で麻薬中毒、母親は飲み屋で働いていたが、殴り合いの夫婦喧嘩が絶えず、幼い剣二・冬子の兄妹は満足に食事も与えられない毎日だった。ある日、父親が車にはねられて死んだが、その車を運転していたのが丸元賢三(長門裕之)だった。慰謝料を受け取った母親は二人を置いて姿をくらましてしまった。残された剣二たちが餓死寸前になっていた所に、再び賢三が現れ、二人の生活の面倒を見て、高校まで出してくれたというのである。

剣二も他人の好意を受けて生きてきたことを知る祈子だが、剣二は否定する。賢三は決して人間として情けをかけたのではなく、忠実な猟犬に仕立て上げたのだと。そして祈子に警告した。「祈子、俺を助けたことを後悔するぞ。元の体に戻ったら、俺はまたお前を追って走り続ける。後悔したくなかったら今ここで俺を殺せ!」。だが祈子は首を振る。後悔などしない、人間として当然のことをしたのだからと。

夜になり、眠ってしまった祈子。剣二は祈子に焚き火の火を放とうと手を伸ばしたが、実行に移すことは出来なかった。剣二は祈子が毛布代わりにしているジャンパーをかけ直してやると、その場を立ち去った。翌朝、祈子は、引き返して来た信也と合流する。剣二が、眠っている自分を殺そうとはせず去ったこと、剣二の話を聞いて、彼が本当の悪人ではないと感じたことを信也に話す祈子。信也は祈子に言った。「野沢は君の中の光を見ることが出来たのかも知れない。だからきっと・・・」。

横浜へ戻って来た信也と祈子は、警察が3年前の事件の再捜査のために動き始めていることを知るが、そのためには何か決定的な証拠が必要であった。二人は迎えに来た順子(白島靖代)たちと一緒に、鏡子(土家里織)のアジトへ向かった。祈子と信也を迎えた鏡子は、これから面白いものを見せてあげる、と奥へ案内する。鏡子は昨夜、事件の手がかりを探すために丸元賢三の書斎に侵入して家捜ししていたが、その時、賢三が妙にパソコンを隠そうとしていた。あのパソコンには事件に関する重要なデータが入っていると鏡子は睨んだのである。そこで鏡子は大胆不敵にも、賢三のパソコンにハッカーを試みようとしていたのだ。果たしてそこには、事件の真相を解く鍵が隠されていたのである。

ミニガイド
神島祈子は今、暗闇の中に一条の光を見出しています。追い詰められたターゲットが、その全貌を現そうとしている。多くの人々を犠牲にして肥え太った人物の最後の悪あがき。でも、それを皆さんにお見せできるのは、4月13日の水曜日。来週再来週は特別番組のため「プロゴルファー祈子」はお休みです。皆さん、また4月13日にお会いしましょう。

MEMO
ドラマも終盤に近付き、ミニガイドでの祈子の語りにも緊迫感があふれていますが、後半で突然特別番組のお知らせに。「皆さん、また4月13日にお会いしましょう」には意表を付かれました。

高倉道夫(国広富之)の妻は数年前に病死しているが、その治療費や入院費を用立てたのが丸元賢三であった。高倉が賢三の支配下にあるのはその恩があるためである。だが、丸元にとって邪魔な存在である祈子に対してゴルフを教えるなど、高倉の心は変化しつつあった。

賢三の屋敷に忍び込み、3年前の事件の証拠を捜していた鏡子。書斎で賢三に発見された鏡子が、机に置かれているパソコンに目を留め、「このパソコン、おじさんのオモチャかい?叩き壊してやろうか!」と5番アイアンを振り上げた時、賢三は思わず身を挺してパソコンを庇ってしまう。鏡子はこのパソコンに、事件に関する秘密が隠されていることを察知。当時(1988年)はまだインターネットも一般化していないはずだが、外部からハッキングされるということは、丸元のマシンは当時にしては珍しく常時接続されていたのだろうか?

鬼怒川渓谷の山中で両手に凍傷を負い、病院に入院している冴子(大沢逸美)。医師から、両手指を切断しなければならないと宣告されて、祈子と約束したゴルフの勝負が出来なくなってしまう、と冴子は手術を拒む。しかし、徹(沢向要士)は冴子を根気よく説得し、この先ずっと彼女の力になることを約束します。

鏡子は仲間のミチという娘に指示して、賢三のパソコンへのハッキングを試みる。ミチは「国大(こくだい)の電子工学科でコンピュータを専攻していた」と鏡子に紹介されますが、本作の舞台は横浜なので、国大というのは横浜国立大学のことでしょう。


第22話「勝て!少女戦士」

ストーリー
アジトに用意したパソコンを使って、丸元賢三(長門裕之)のパソコンへのハッキングを図る鏡子(土家里織)。やがて画面上に、様々なデータが流れてきた。3年前の事件の状況、祈子(安永亜衣)の交友関係などの他、殺された元プロゴルファー・時田真介(石橋正次)に関することも記録されていた。時田は賢三に百万単位の金を要求していたらしく、3回目の要求をした3日後に彼は殺されていた。時田はおそらく事件の決定的な証拠を握っており、それを餌に賢三を強請っていたに違いない・・・祈子たちがそんな推測を抱いた時、画面が途切れた。賢三がハッキングに気付いて電源を落としたのだ。その直後、アジトを張っていた剣二(萩原流行)と華粋会の男たちが踏み込み、祈子を捕らえようとするが、鏡子たちの助けで、祈子は間一髪、信也(風見慎吾)と共に脱出する。

時田は殺される前、事件の証拠を誰かに託したのではないか・・・翌日から祈子と信也は、時田の親類の家を訪ね歩いた。そこには既に剣二たちの手が回っていたが、まだ証拠が発見された様子はなかった。祈子と信也が、時田の伯父が勤めている倉庫を訪ねた時、待ち構えていた剣二たちの襲撃を受ける。消火器で目くらましをし、その場を逃れる二人だが、埠頭に出た所で剣二と対峙。格闘の中、手負いの剣二に信也が痛烈な一撃を加え、剣二はその場に膝を落とした。祈子は剣二の頭上に鉄パイプを振り上げる。「お前なんか死んじまえ!」・・・だが祈子が振り下ろした鉄パイプは、剣二ではなく、彼の目前のアスファルトを打っていた。「お前なんか、お前なんか・・・!」祈子は涙を浮かべ、何度も何度もアスファルトを打ち続ける。祈子に人は殺せなかった。「あんたは猟犬なんかじゃない、悲しみを一杯ためた人間なんだ・・・!」祈子は剣二に、魂に光を当てて人間としての喜びを知って欲しい、と言い残し、信也と共にその場を後にした。

証拠探しが暗礁に乗り上げた時、ふと信也は、時田のような周到な男が、他人に容易に推測されるような親族の所に証拠を残すだろうかと思い至る。信也と祈子は、時田の別れた妻の家を訪ねた。彼女の所には、時田からゴルフバッグが送られて来ていたという。中身を調べてみると、あるクラブのグリップが妙に浮いており、グリップを引き抜くと、中にはマイクロフィルムの入ったケースが隠されていた。これが証拠品だったのだ。祈子と信也がフィルムを持って警察に向かおうとした時、剣二が立ち塞がった。警察にフィルムを渡せば信也の母・静子(久我美子)の命は無い、と剣二は脅迫する。華粋会の車に捕らわれている静子の姿を見て、祈子はやむなくフィルムを剣二に差し出そうとした。

「待ちたまえ!」と言う声が響いた。そこに姿を見せたのは高倉(国広富之)だった。フィルムを剣二に渡しても静子が戻るかどうか信用は出来ない、と祈子に忠告する高倉。今や高倉は事件に関して全てを告白する覚悟をしていた。そしてその内容を書いた手紙を銀行の貸し金庫に預けてあるという。高倉は剣二と祈子に、ある提案を持ち出した。フィルムは高倉が預かり、高倉は剣二の側に立って、フィルムを賭けて祈子とゴルフで決着を付けるというのだ。フィルムが公になれば、事件に深く関わった高倉のプロ生命も絶たれる。だから高倉も必死で戦わざるを得ない。丸元社長に無断で勝手な真似をするな、と言う剣二に高倉は、丸元社長は自分が説得する、と断言。高倉の勝負を祈子は受けて立った。

明朝、試合の舞台に集結した一行。今回のルールは公式戦と同じ、但し1ラウンド18ホールである。高倉は祈子に、自らハンデを負うこと申し出た。彼はこの試合を、4番ウッド、7番アイアン、パターの3本だけで戦うというのだ。アマチュア女性の祈子が相手である以上、高倉にもプロとしての誇りがあった。祈子のオナーで試合が始まる。しかし、高倉と祈子の実力差は明らかで、4ホールを終えた時点で祈子は3打差を付けられてしまった。この勝負には、事件の証拠だけではなく、祈子のプロゴルファーとしての未来もかかっている。だが今、高倉の圧倒的な力を前にして、祈子は絶望感に捕らわれ、萎縮する心をどうすることも出来なかった。

ミニガイド
神島祈子は今、万感の思いを胸に、鳴り渡る拍手の中、立ち尽くしています。隠された真実を暴き、父の無実を明るみにすることによって、人の心に傷跡を残してしまう。祈子は知りました。人を憎むことよりも、人を愛することの大切さを。そして祈子は今、皆さんと一緒に青春した思い出を秘め、旅立って行きます。最終回「プロゴルファー祈子」、ご期待ください!

MEMO
今回、佐原健二さん(=丸元利一郎役)のクレジットがありますが、本編には登場しません。

冴子(大沢逸美)や、鏡子のアジトで華粋会の襲撃を受けて負傷した順子(白島靖代)たちが入院している病院。野上敬太郎(中条静夫)と静子が車でやって来て、敬太郎は静子を下ろし、敬太郎は警察庁へ向かう。その時、救急車に潜んでいた華粋会の男たちが、静子を車に押し込み連れ去ってしまう。たまたまそれを目撃した徹が救急車に飛び乗り抵抗するが、やがて路上に振り落とされてしまう。画面には、走り去る救急車の横の歩道を平然と歩いている通行人が映っています。

事件の証拠を賭けた、祈子と高倉のゴルフ対決。高倉と対面した祈子は思わず「先生・・・」と呼びかける。鬼怒川でゴルフの特訓を受けた時から、祈子の心の中で高倉は敵味方を超え、純粋にゴルフの先生という存在になったのである。しかし、今回の最終決戦では、あくまで高倉は自分のプロ生命を賭けて祈子の敵として戦う。圧倒的な実力差を祈子は跳ね返せるだろうか・・・。


テイチク 30CH320 1988年発売、3,000円 安永亜衣「亜衣 LOVE YOU」

1.千億のやさしさ
2.セクシーストリート
3.2秒のデジャヴー
4.モノクロームのヒロイン
5.ガラスのラヴァーズ・コンチェルト
6.素敵なTEARS
7.if
8.ごめんね・・・・・
9.神話のPALM TREE
10.硝子のチューリップ

※デビューシングルは「if/モノクロームのヒロイン」(RE-810、1988年2月2日発売)、2ndシングルは「セクシーストリート/風の楽園」(RE-847)。「風の楽園」のみアルバム未収録。


第23話「傷だらけの栄光」

ストーリー
事件の証拠フィルムを賭けて、高倉(国広富之)との勝負に挑む祈子(安永亜衣)だが、その実力差は大きく、すでに3打差を付けられていた。第5ホール、第1打をバンカーへ落としてしまった祈子に、高倉が声をかけた。「君は、私が相手では最初から勝ち目はないと心を萎縮させている。君の敵は私じゃない。君自身だ。自分のゴルフを、思い切り良くやることだ」。その言葉を心で繰り返しつつ祈子が放ったバンカーショットは、グリーン上で逆スピンがかかりチップイン。このホール、祈子はバーディ、高倉はパーで、2打差となった。高倉の一言で立ち直った祈子は、熾烈な戦いの中で、高倉はプロテストを受ける自分のために特訓をしてくれているのではないかと妙な錯覚に捕らわれることがあった。

その後、祈子はスコアを1つ落とし、前半のハーフを3打差で終えた。後半、第10~13ホールは両者イーブン、第14ホールは祈子がバーディを決めたが、高倉はボギーを叩き、3打差が1打差に。その後は両者譲らず、最終ホール、祈子は第2打を林の中へ落としてしまった。一方、高倉は3オン1パットのバーディが堅い。祈子が勝つにはイーグルしかないが、ボールは林から出すだけで精一杯の位置だ。絶望が頭をよぎった時、ふと祈子は、鬼怒川峡谷での特訓を思い出した。木を利用したあの曲打ちだ。持てる力の全てを集中した祈子のショットは2本の木に跳ね返ると、驚くべきことに直接カップへ吸い込まれた。そして、高倉のバーディパット。これが決まれば再びイーブンとなる。だが、高倉のパットは僅かにカップの脇に逸れて止まり、この瞬間、祈子の勝利が決まった。「私の負けだ。見事だったよ」と祈子を称える高倉。「先生・・・」祈子は高倉を仰ぐように応えた。

高倉は約束どおり、フィルムと写真を祈子に差し出した。そこには、丸元賢三(長門裕之)が義兄の丸元利一郎(佐原健二)をクラブで殴り殺す決定的瞬間が写っていた。その時、銃声が響き、猟銃を手にした賢三が祈子たちの前に姿を見せ、写真とフィルムを渡すよう迫った。彼らの前に、鏡子(土家里織)、亜矢子(生田智子)と律子(岩本多代)もやって来た。渡さなければ撃つ、と賢三は祈子たちに銃口を向け、引き金に指をかける。だが、銃が火を噴いた瞬間、野沢剣二(萩原流行)が祈子たちの盾となって銃弾をその胸に受け、倒れた。剣二の思いがけない行動に賢三は狼狽するが、やがて剣二が息絶えると、賢三は観念して銃を下ろした。

「・・・全ては終わったよ。義兄を殺したのは確かに私だ。その罪を友平になすり付けて、自殺に見せかけて殺したのもこの私だ。私はこの3年間、真相が明らかになることを恐れて、ただただ怯えて生きてきたような気がするよ・・・」。そして賢三は祈子を振り返った。「妻と娘はこの事件には全く関係ない!」。そう言い残すと、賢三は自らの咽喉を撃ち、命を絶った。直後、亜矢子が賢三に駆け寄り、銃を取って自分に銃口を向けた。「・・・死なせて!死んでお詫びをするしかないわ!」取り乱し泣き喚く亜矢子を祈子と鏡子が必死に制止した。賢三の亡骸にすがりつき号泣する亜矢子と律子。やがて律子が顔を上げ、祈子に許しを請うた。「祈子さん、今までのことは・・・」。だが、今や祈子に恨みの感情は無かった。「おばさま、いいんです。これからは亜矢子さんと二人で、決してくじけず・・・」

祈子は写真とフィルムを世間に公表せず焼き捨てることを決意した。父の無実は今、祈子の心の中ではっきりと証明されたのだ。祈子は信也(風見慎吾)に言った。「お母さんも徹兄ちゃんも、分かってくれると思う。・・・丸元賢三が自殺した以上、全ては終わったのよ。私はもうこれ以上、高倉さんや亜矢子さんを苦しめたくはないの。・・・苦しむのは私たち一家だけで沢山だわ。それに私、殺人者の娘の汚名を着たままでも、必ず世界に通用するプロになってみせる。私は負けないわ!」。祈子は写真とフィルムにライターで火を放った。

それから5日後、プロテストの日がやって来た。ちょうどその日、高倉は警視庁に出頭し、虚心坦懐に全てを告白し、そして妻の墓前で潔くプロゴルファーを廃業した。高倉はその夢を祈子に託したのだ。その祈子は今、青春の全てを賭けてプロテストに集中していた。一打ごとに思い出が甦り、祈子は胸を熱くしながら、プレーに情熱を注ぐ。テスト最終日、グリーン上の祈子が呟いた。「高倉さん、祈子は今、最終ホールのグリーンの上に立っています。最後のパット、あなたに捧げます」。祈子は8アンダーという驚異的な数字で全ホールを終えた。

プロテストの合格発表の日。祈子は第1位で合格した。周囲の人々から祝福される祈子は、最後に万感の思いを込めて信也に言った。「あなたが支えてくれたからです。あなたがいなかったら私は・・・」。信也は首を振る。「君のお父さんの祈りが通じたんだよ」。その日、祈子は信也と一緒に、初めて父の墓参りに向かった。信也さんと再会して私は変わった、人を信じることの大切さ、自分が一番みじめなときにこそ他人を思いやる心を持つことを教えられた・・・そして遂にプロテストに合格できたことを、祈子は父に報告した。

墓参りの後、波打ち際を歩く祈子と信也。ふと立ち止まった信也が、口を開いた。「・・・祈ちゃん、これから僕が話すことをよく聞いてくれ」。祈子は笑顔で頷いた。

信也「僕はここで君と別れる」

「信也さん・・・!」思いもよらない言葉に、祈子の顔が曇った。

信也「祈ちゃん、君はお父さんの真実を明らかにするために本当によく戦った。何度も無茶なことをして僕をハラハラさせたけど、君は死線をくぐり抜け、絶望を乗り越える度に心と魂を強くして、輝くような女性となった。でも君には、お父さんの夢があるんだ。全日本女子オープンに優勝するという大きな夢があるんだ。これからは君一人でやって行くんだ。一人で悩み、一人で戦って行くんだ」

祈子「やめてください信也さん。あなたが支えてくれたからこそ、私は今日まで生きて来れたんです。あなた無しでどうやって生きて行けるって言うの?・・・信也さん、私はあなたを愛してるんです。愛してるんです!」

信也「僕も君のことを愛してるよ。祈ちゃん、僕の君に対する愛は一生変わらない。だから別れる決意をしたんだ。君が一人で生きて行く人間になるために、別れる決意をしたんだ」

祈子「嫌・・・嫌です!信也さんと別れるくらいなら、私、プロゴルファーになんてならなくてもいい。信也さん、私を傍に置いてください。あなたは私のために全てを捨ててくれたわ。今度は私がそうする番です」

信也「祈ちゃん、君は今日までの戦いの中で、人間の憎しみ、悲しみ、怒り、喜び、嘲り、裏切り、その全てを知ったはずだ。その中で、どんな人でも光を求め、魂を輝かせて生きることを望んでいることを知ったはずだ。これからの人生で君がやらなければならないことは、君のゴルフで、そんな人たちに勇気を与えることだ。プレー中の君の姿を見ることで、多くの人が活力を取り戻し、明日を生きる勇気を持つことが出来るような、そんなプロゴルファーに、君になって欲しい」

祈子「信也さん・・・」

信也「正直言って、僕も自分の人生を考える時間が欲しい。いつか、いつか君を大きく迎えるために、僕も人間として成長しておきたいからね。・・・僕の仕事は終わった。これからは僕自身が、祈ちゃん、君の高さまで自分を引き上げる番だ。分かってくれるね」

祈子もやがて涙を浮かべながら頷いた。

信也「君は光のような女性だ。自ら輝き、君を見る全ての人を輝かせることの出来る女性だ。いつでも、どんな時でも、魂を光に掲げて生きてくれ!」

祈子「信也さんの心を決して、決して忘れません・・・!」

信也「僕たちの別れに涙はよそうな。僕はいつでも君を見てるぞ。さよなら、祈りっ子・・・!」

祈子「さよなら・・・」

信也は祈子を残して、一人歩き始めた。去り行く信也の姿を見つめながら、祈子は悲しみを堪えながら信也に誓った。

祈子「泣かないわ信也さん。いつか、いつか光の中であなたと逢うまでは、私は泣かない。泣かないわ・・・!」

別れの言葉に信也の大いなる愛を感じた祈子は、溢れる涙の中で、プロゴルファーとしての新たなる出発を決意していた。

――祈子、18歳。青春の旅立ちである。

MEMO
「祈ちゃん、これから僕が話すことをよく聞いてくれ」という信也の言葉を聞いて、てっきり信也からプロポーズされるとでも思ったのか、祈子は笑顔で頷くが、信也の口からは思いがけない告白が飛び出す。信也と祈子は人生の同志として数々の苦難を乗り越え、遂に祈子の父・友平の無実という真実を掴んだ。そして祈子は父の夢の第一歩であるプロテストに合格する。しかし、真実を追い求めた二人の努力の陰では、多くの人々の犠牲がありました。命を落としてしまった者たちはもとより、深い心の傷を負うことになった律子と亜矢子など・・・。終盤で信也が語る言葉は色々な解釈がありそうですが、一連の海岸でのシーンは、何度でも繰り返し味わいたい名場面だと思います。

祈子たちを庇って、自ら賢三の凶弾をその胸に受けてしまう剣二。息を引き取る間際、剣二は、自分の抱いていた夢について語る。高校を卒業したら真っ当な会社に入って、家族を持ちたいと思った、ちっぽけな夢だが、俺には十分すぎる夢だった、と。だが剣二は高校卒業後は賢三によって有無を言わさず暴力団に入れられ、その夢が叶うことはなかった。「野沢、どうして・・・!」と問いかける祈子に剣二は、「俺にも分からねえ・・・祈子、それは多分、お前が俺の魂に、光・・・」そう言いかけて、剣二は息を引き取ります。賢三の忠実な猟犬として生きねばならない宿命を背負った剣二。最後にようやく希望の光に触れたところで、図らずも妹・冬子の後を追うことになってしまいます。

賢三の亡骸にすがりついて泣き崩れる亜矢子と律子に、鏡子が寄り添い声をかける。

「もういいじゃないか。私もあんたたちがおじさんの仲間じゃないことが分かってホッとしたんだ。今まですまなかったね。これからは、残された私たちで丸元の家を再興させ、守っていこうじゃないか・・・」

・・・あまり二人のフォローになっていないような気がしますが・・・。おまけに鏡子は、祈子がプロテストを終えた日、こんなことを言っています。

「祈子おめでとう。私はアメリカに留学して一から勉強をやり直してくるよ。祈子、アメリカで試合する日を楽しみにしてるよ。チャオ、祈子」

「チャオ♪」と鏡子は従姉である亜矢子さんを置いて旅立ってしまいます。


【リンク】
花のあすか組・ひばり様の正体を考察して判明させた