★ 同人ゲームの作り方★ |
◆ ゲーム開発ツールの選択 ◆ |
◆ 同人ゲーム界隈の実態 ◆ |
◆ゲーム制作の難関度合◆ |
◆ 開発のノウハウ伝授 ◆ |
◆ 各役割の説明 ◆ |
●プロデューサー・ディレクター
プロデューサーとはゲームの制作において全体の方針やスケジュールなどプロジェクト全体を管理する人。有償の場合には予算管理も行う。宣伝や広報もこの担当となる。ディレクターはプロデューサーの決めた事に基づいて実際に指揮を行う人で、チームを纏めるなどの仕事がある。
同人ゲームの場合には、プロデューサーとディレクターが別の人になる事は考えにくく、1つの仕事として纏める。要するに、スケジュール管理をしながら、各スタッフに指示を出し、予算管理や宣伝広報を行うといった人材となる。
他のスタッフを有償で集める場合でも、各スタッフを纏め上げたり、最後まで仕事をしてもらう能力が必要となる。
●プランナー
ゲームを企画する人。ゲームの基本的な内容を設計し、この人でゲームの面白さが決まる。自分の好きなようにゲームを設計できる夢のような仕事と思われやすい。しかし、プランナーの仕事単体でゲーム作りに参加できる事はあり得ず、他の仕事を持つのが通常。兼業する仕事は、シナリオライター、プロッター、プロデューサー、ディレクターなど。もちろん、プログラマーやグラフィッカーなど、自分の得意分野の仕事を兼務できれば万端。
この作業をやってくれる人を雇う必要はない。なぜなら、ゲームを作りたいと考えるどんな人間にも、なんらかの企画はあるから。また、この仕事は最も面白いので、他の人に明け渡す理由が考えにくい。こんな状況なので、同人ゲーム界では未熟な企画のまま完成するゲームが後を立たず、魅力の無いゲームが乱発する事となる。
この仕事だけができたとしても、実際にはゲーム作りに参加できない。リーダーとなる必要性が高く、実際にはプロデューサー・ディレクターと兼任になる。また、無償で他のスタッフを集める事は無謀。
そこで注意して欲しいのだが、「こんな企画があるので参加してください」という募集では決して人材は集まらない事を知って欲しい。ましてや「無償で無駄な時間を過ごしてもいい人募集」のような場合、なだめられたり馬鹿にされるだけで終わるので、このような人材募集は避けるべき。ある程度ゲームを完成させた実績のある人でも同様で、このような募集をすると恥を掻く事になる。プロットも含めた全体が構築された詳細企画ならばともかく、多くの場合「こんなの作ってみたいけど、乗ってくれる人いませんか?」のような状態の企画がほとんどで、スタッフを纏め上げられる器量も感じられないし、完成の見込みなんて無いので誰も乗らないのだ。案の定、僅か1ヶ月程度で取り下げた人を確認している。ゲームの企画以前に募集の企画自体が破綻したわけだ。
プランナーという担当は自分がゲーム開発ツールで実現するのでないならば、コミュニケーション能力(意思疎通能力)やプレゼンテーション能力(情報を伝達し、理解・納得を得る能力)も含めてプランナーなので、ゲームの企画だけを考える仕事だと勘違いしないようにしよう。ペンで紙に絵を描けた所で、パソコンが使えないならば、ゲームグラフィッカーとして通用しないのを想定して欲しい。色つきのCGを描けて、初めてグラフィッカーなのだ。
●グラフィッカー
ゲームのグラフィックを制作する人。
3DCGグラフィッカー、2DCGグラフィッカー(ドッター、絵描き)などにジャンル分けされる。ドッターとはマップチップやキャラクターチップを作る人で、絵描きはモンスター、立ち絵、シーン絵、背景を描く人。タイトルやパーツ(コマンド枠、メッセージ枠など)のデザインもあるだろう。それぞれセンスは異なる。
この仕事ができるならば、ゲーム作りに参加する事は充分に可能。ただし、リーダーになるためには、面白い企画を用意し、できればスクリプトを組める必要(開発ツールを使いこなす必要)がある。
実力はほとんど一瞬で判別され、採用されるかどうかはこれまでの作品の実力で決まる。ただ、あまりに仕事歴が充実していると敬遠される。実力があっても、値段を吊り上げたり高いイメージがあると、やはり仕事は出ない。
ポイント:イラストを描きたいならば、必ずしもゲームとして発表する必要は無い。一方ではある程度うまくなれば、ゲームで必要としてくれる人は数多い。
●プログラマー
ゲームの基盤となるプログラムを組む人。
RPGやAVGの開発ツールは無料でも充実しているので、多くの場合、この人材の募集は不要。また、ゲーム開発ツールを使ってプログラムに近い所まで組む事ができるので、1からゲームを作る必要性は低い。なお、シューティングゲーム、パズルゲームなどには専門ツールがないので、プログラムは自分がするか、担当者を雇う必要がある。まあ、RPGの開発ツール・ウディタでは、シューティングやパズルゲームを作る人がいる。自作プログラムの場合、マップを作成する画面、キャラクターがマップを歩く処理、音楽を鳴らしてループさせる処理なども1から作らねばならないが、ウディタなどには元からマップ関連やサウンド機能があるので、プログラムを作る能力があっても、ウディタを採用するケースがある。
この作業を無償でやってもらう事は難しい。なぜなら、プログラムでゲームを作れる能力があるならば、企画も作れるからだ。つまり、他の人の企画に参加する理由が無いのだ。
●スクリプター
ゲームのスクリプトを組む人。RPGやAVGの制作ツール上で、色々な命令(音楽、画像、条件分岐、変数、データベース)を組み合わせてゲームとして実現する仕事。
専門的なプログラムの知識を持たなくても、比較的容易にかつ安全にゲーム内容を実装する事ができる。RPGではパラメーターを設定したり、マップを作成したり、イベントを配置する作業もこの範疇といえる。アルゴリズム(実現のための効率的手順を表現)のセンスがないと分岐無しのサウンドノベル程度しか組めないが、ITの知識があるとデータベースや条件分岐などを駆使して、SLGなど色々なゲームを作れる事となる。
分岐のあるサウンドノベル、RPGなどでは、スクリプトの作り方が甘いとバグなどが発生するので、対処できるだけの能力が必要となってくる。
スクリプターは地味な作業なので、自分のゲームを作れるという状況でもない限り、モチベーションは発生しにくい。よって有償で雇う必要がある。無償で他人のゲームを作るのを手伝いたいという人は考えにくく、特別に人気のあるサークルならばともかく、通常そのようなサークルには元よりスクリプターは存在するはず。
この作業ができるならばゲームを作成できるので、他の企画のメンバーとして加わる必要性が低い。絵が欲しい場合には、自分がリーダーとなって絵描きを探すのが通常。
この作業を無償でやってくれる人がいるとすれば、こちらはグラフィックを出さないと相手にされないので注意。
ポイント:自分のゲームを作る場合でも挫折するのがスクリプター。他人のゲームを無償で作るというのは拷問に等しい。
当サイトの作者でゲームではシステムを担当する管理人は、RPGの開発ツールでSLGでも最も人工知能が必要な戦術SLGを作った。公開しているセドールというゲームとなる。
●プロッター
プロットとは物語の粗筋。シナリオ全体の流れや構成などを概要的に書き出す人。登場キャラクターの設定、性格付けも、この範疇に入る。
プロットといっても、出だしだけではなく、ちゃんと途中経過やエンディングまで作ってプロットの完成となる。必須ではないが絵コンテまで作れると良い。絵はラフで構わず、絵心もほとんど必要ない。
これだけで成立する人はあり得ず、基本的にはプランナーやシナリオライターと一本化される。ただ、自分がリーダーとなり有償で他のスタッフを雇うならば、企画やプロットだけを用意してライターに頼む事は容易。
物語を考えるのが好きな場合、むしろプランナーよりもやりがいがあるが、大きな実績でもない限り、他人からは必要とされる事はない。まあ、あんまり大きな実績のある人に対し、お願いする事は逆に考えにくいけど。
●シナリオライター
キャラクターのセリフやシーンなどを書く人。特にAVGの場合、面白くなるかどうかはほぼこの人にかかっている。ストーリーモノのRPGでも重要なスタッフとなる。
安易に自分が壮大なシナリオを書けると勘違いする人が多く、実際には途中で挫折する事が通常。プロットであっても完成させる事は簡単ではないし、プロットを展開してメッセージを作成するわけで、プロットよりも根気が要るのがシナリオだ。シナリオ重視の作品の場合、練り直しや実装なども含め、ゲーム制作の担当で最も膨大な時間を割く事になる。
企画だけの人よりはマシだが、自分がリーダーとなる場合には、「シナリオだけ書きます」では相手にされにくい。せめて、「シナリオだけは書きました」のように、既に用意してあるならば、相手にされるかも知れない。しかし、そのシナリオを好きになってくれる人を無償で呼び込んだり探すとなると、シナリオ以外の能力が必要となる。プレゼンテーション能力のようなプランナーの要素が必要だ。
シナリオだけは完成させられる自信があるならば、グラフィッカーやスクリプターを雇えばゲームにできる。ただ、シナリオだけの提供ではスクリプターを雇う事は難しい。というのは、スクリプターが自分で好きな物語を書けば、そのままゲームを実現できるので、無償で他人の物語をゲームにする物好きはいないと考えられるからだ。なお、有償でスクリプターを雇うといっても、お金を回収する事は難しくなる。つまり、採算を考えつつシナリオを書きたいならば、スクリプトも担当する必要がある。
シナリオしか書きたくない(スクリプトを組みたくない)けれど、自分がメインスタッフでいたいという場合には、素直に小説として公開という方法もある。小説ページでも挿絵は入れられるし、アダルトならばゲームなんかよりも手軽なので読者は増える。また、小説の場合には二次創作でも広く受け入れられる。ゲームで二次創作は他のクリエーターから嫌われやすいし、登録を拒否するサーチもある。ちなみに、なぜ嫌われやすいかというと、元作品の知名度によってゲームの質とは比例しないプレイヤー数を確保できるので、オリジナルのゲームクリエーターはなんとも理不尽な気持ちになるからだ。逆に官能小説の場合には、二次創作だからといって、痴漢とか、少女とか、催眠というジャンルに、及ぶわけでもないからだ。(ドラクエのエロだから読まれるわけではなく、ドラクエの凌辱物ならば、凌辱好きに好まれる感じ。)
シナリオライターがどこかの企画に参加する事は特に難しくはない。ただし、あくまで企画者の用意したプロットやキャラクターに沿った物語を作るという意味であり、自分の好きなシナリオが書けるワケではない。別に他人の企画でもいいというならば、取りあえず自分の作品を用意してアプローチしてみよう。
ポイント:シナリオを書きたいならば、ゲームとして発表する必要性は高くない。物語サイトを運営し、物語を完成させられる事を自覚してからでもゲームを想定するのは遅くない。
●サウンドコンポーザー
ゲームで使われる効果音、音楽(BGM、効果音等)を制作する。
この作業のみでゲームに参加する事は難しくないが、実際にはあまり面白くないと考えている。自分の作った音楽は汎用の素材となるので、特定のゲームだけに使われる必要性が薄いからだ。要するに、作った音楽がもったいないのだ。
作曲者を雇う場合、そもそも音楽のスタッフを集める必要性は低い。通常は無料音楽素材で充分だ。特に無償でサウンド屋を集める場合、実力は期待できず、その人の曲よりは無料素材からイメージに合うのを探した方がいいからだ。
また、別のゲームのグラフィックを使い回す事は難しいが、別のゲームの音楽を使い回す事は容易というか、同じ音楽であっても使うのが当たり前だ。
一方、全てオリジナルにしたいというこだわりがある場合にのみ募集をかける事になる。ただし、ゲームが既に完成しているか、完成の見込みが高い音楽以外のメンバーが既に揃っている場合を除き、無償でスタッフを集める事は難しいと考えられる。
そして、もっと難しいのが、自分の想定する曲のイメージをサウンド屋に伝える事。そして、イメージの異なる曲ができた場合に、どこがどう違うのがを伝える事。イメージが異なる事を相手に納得させて、作り直させるコミュニケーション。こんな難しい事をやるくらいなら、無料素材からイメージの合う曲を探した方が、サウンド屋がちゃんと仕事をするかも含めて気に病むよりも確実なのだ。
ポイント:音楽を作りたいならば、特定のゲームに縛られず、自由に汎用の素材を作ってゆけば、自然にゲームへ採用してくれる人が現れる。一つの目安としては50曲以上の無料素材を用意する事。曲の数に応じて加速度的に使用者が増える。
当サイトのゲーム:実は1つの作品で50〜100くらいのミュージックを設定しているので、全ての曲を無償でやってもらうなんて事はできず、有償というのも金銭的・時間的理由で実施できない。なお、一部だけリクエストした曲を採用という事はある。要するに、大半は無料素材を採用している。
●声優
キャラクターのセリフやナレーションの声を出す人。必ずしもゲームに必要ではない。
声のスタッフはいなくても成立する。名作をたくさん生み出したファミコン当時のゲームでも音楽が無いなんて事はまず無かったが、声は無しで成立していた。
練習したいとか実績を作りたいという意味で、無償でも声のスタッフは集まるだろう。ただし、一旦収録したら、もはやシナリオ内のセリフを変える事は難しくなる。追加するとまたお願いとなり追加も困難。よって、元より声は設定しないか、ゲームが完成してから、バージョンアップの際に募集するのが良い。いずれにしても、シナリオの拡張をやりにくくなる制約がついてしまう。
それから、もっと重大と言えるのは、主人公の名前を自分の名前にして楽しみたいプレイヤーは、自分の名前を入れられるゲームを好む。声を入れるという事は、主人公の名前を標準の名前に固定する必要がある。つまり、主人公の名前をプレイヤーが入れられなくなるという制約がつく
のだ。主人公名が呼ばれないように工夫する手法もあるが、実現が難しいし、著しく制約が付く方向に流れる。主人公だけの話ではなく、ヒロインや友達、生まれた子供にも名前を付けられないのだ。
募集する場合には、むしろゲームの他のスタッフよりも人数が多くなりがち。登場人物10人だとして、同じ人が別人の声を出すのも面白くないだろう。
以上がなんらかのスキルやセンスが必要とされる担当です。他にはデバッガという、テストプレイをしたり、バグを発見して報告する仕事もありますが、同人ゲームではリーダーが自ら行うか、スクリプターが行う事が通常です。
◇
コラム ◇
【全て自作は避けるべき】
アレなCG+スーパーシナリオというゲームも確かにある。自作で全てを行おうとするツワモノは確かにいて、まあプログラムにチャレンジするのは理解できる。しかし、信じられないのが、なんと音楽までも自作にしようとする人がいる。通常、音楽を作れる人はゲームを作る必要は無い。音楽だけで完結しているし、その用途はゲームには限定されないからだ。一方では、シナリオやグラフィックを作れるからゲームを作りたいとか考えている人間の中に、音楽までも作ってしまう者がいるのだ。言うまでもなく、音楽に趣味がなかったような素人が、ゲームに導入したいという理由だけで作った音楽なんて聴けたものではあるまい。というのは、絵を描いた事の無い人はいないが、音楽を作った事の無い人間というのは多数派で、たとえ吹奏楽部やバンドなど音楽に携わっている人でも、全員が作曲までは行わない。もちろん、音楽に携わっている人が自作ゲームのために作った曲ならば、素人よりはずっと良いだろう。しかし、今話しているのは、ずぶの素人の話だ。
MIDIといっても16ポートあり、要するに16もの音源を同時に鳴らし、聴ける音楽でないと評価は低くなる。素人が音色をマッチさせられるとは到底思えない。素人でも音楽を追求していけばアマチュアにはなれるが、ここで話しているのはもちろん、「ゲームのために音楽も作ろう」という人間の話なのを強調しておく。とにかく、ゲーム作成と共に、得意でもない音楽をゲームを盛り上げるために作るというのは無謀と判断している。
絵の描けない人によるアレな絵のゲームにはシナリオが良ければ認めざるを得ないが、音楽を作れない人によるノイズ音楽だけはフリゲでも勘弁して欲しい。音楽の質はプロアマ無関係なので、いい音楽素材は探せばたくさんある。またウディタはソフトウェアでMIDI再生するので、どんな貧弱な音源でもヘッドフォンでいい音色になり、音源がシッカリしていてスピーカーもちゃんとした代物ならば、相当に聴ける音楽となる。
ちなみに、グラフィックは特に人物に関してはイメージ通りの素材を見つけるのは不可能に近い。仮に見つかっても、その絵描きが自作ゲームの他のキャラクターまで描いているはずもなく、統一性を考えると、音楽のように別の人の素材というわけにはゆかない。通常は依頼せねばならないわけで、一定水準を求めると無料では引き受けてくれまい。お金を出したとしても即席ではないし、逃げてしまう人もいる。裏を返せば、お金さえ用意すればプロにでも頼め、CGは手に入る。
全て自作で進めるのもいいが、通常は挫折したり、年月が掛かり過ぎる。完璧を求めるあまり、完璧から最も遠い位置に流されてしまうのだ。「色んなミニゲームと本格ストーリーを味わって欲しい」という想いの強い筆者としてはとても賛同できない。
なお、全て自作というのは1つの売りとなるので、全要素がそれなりという場合には雑誌に掲載されたり話題性を集める事ができる。
【企画だけが企画倒れになる理由】
当サイトでは7作のゲームを完成させて公開している管理人。どのゲームもそれなりに時間をかけて作られており、タイトルの量産をしているわけではない。要するに、根気良く作品を完成させたというわけだ。しかし、制作中の様子を公開しながら、進捗がストップしてしまっているタイトルが1つだけある。「魔女娘・卒業試験」だ。このゲームには「主人公3人から選択のフリーシナリオ」「調合システム」「使い魔システム(アイテム発見やお金儲けなどを代行させる)」など、企画をたくさん盛り込んだ。結果的に途中で嫌になってしまい制作が頓挫してしまっている。頓挫している間に、聖魔対戦カオスに怪盗ラフィンに遺伝子レベルの殺意に、アルラウネさんのサイトのお化けキャッスルに、セドール、鏡の鬼など、完成された別タイトルが6つもできて尚、開発はストップしたままなのだ。一方、実は非公開の「妖魔ハンター」の本編のゲームもあり、1フロア100画面以上の学校マップ、学校を回る事によってイベントが発生し、ストーリーを進めてゆく、休日は町を散策、実戦バトルの他、カードバトルもあり……のような企画もあるが、実は開発が停まってしまっているのだ。企画だけを聞けば、さぞかし面白そうだが、完成するかは別の話というわけだ。なお、「妖魔ハンター〜聖魔対戦」というのが、カードゲームだけを取り出した番外編で、これは完成させられ、しかもバージョンアップも相当に積み重ねている。
企画だけなんて幾らでも作れるのだ。しかし、それをゲームにする作業というのは相当に根気が要り、自分の作った企画でさえ破綻するのが当然の中、他人の企画を忠実に再現するという作業がどれだけ苦痛かを、企画だけを提示する人は分かっていないのだ。
「ファイナルファンタジーみたいなゲーム」というように企画はあっと言う間に思いつくが、実際にファイナルファンタジーみたいなのを再現するには、途轍もない試行錯誤と苦労が伴う。企画を作った自分以外の誰も制作は代行できない。もちろん、10万円単位のお金を用意すれば別だが、相手が本当に仕上げられるかどうか疑問。
ちなみに、当サイトでも「3万円でゴルフゲーム作って、ファイアーエムブレムや信長の野望でもいい」と募集しているが、問い合わせはゼロではないにせよ、実際には作れると約束できた人はいない。仕方ないので、ファイアーエムブレムみたいなシステムは自分で作ってしまった。シナリオライターやプロッターの管理人が、なんでSLGの人工知能システムなんて作っているのが疑問だったが、誰も作れない以上は自分で作るしかなかった。
【マッチングは難しい】
面白いプロットやシナリオを作ったとする。仮に絵を描ける人がその物語を目にして気に入ったとして、その物語に対して絵を描きたいと思う事は考えにくい。絵描き人は物語を楽しんでそれでおしまいであって、たとえ依頼されても(特に無償では)絵を描く動機付けは発生しないのだ。
逆の場合を考えてみよう。気に入ったイラストがあったとして、目にしたライターがそのイラストに対して物語を作りたくなったり、スクリプトの技能のある人がゲーム化したくなるかという話になる。そのイラスト描きを自分のゲームの絵描きさんとして採用する事はあれど、既にあるイラストに対して物語を作ってあげようなんて話にはなりにくい。
【企画・プロットだけなら、せめて金でも出せ】
業界も含め、ゲームクリエーター志望者は、ほとんどがプランナーやプロッター志望です。しかしながら、素人界でさえ実際にシナリオを完成させた事も無く、何かのゲームを完成させた事も無いような人物が中心だと考えられます。ゲーム開発ツールすら使えない可能性が高いです。
同人ゲーム開発でメンバーを募集する場合、応募者候補は企画の内容そのものよりも、ちゃんとゲームが完成するのかを重視します。募集者が既に何かのゲームを完成させているならばともかく、何も実績が無い状態で企画・プロットやシナリオだけを用意する予定だという募集では、多くの場合には無視されます。そもそも、何かのスキルがある人が、企画だけが置いてあるのを見て気に入ったら、自分で練り直して自分の企画として発表します。一方、もし完成もしないゲームの企画に乗ってしまうと、その企画に染まったシナリオやグラフィックは使い物にならなくなります。まあ、グラフィックくらいは、自分のサイトに飾れない事は無いでしょうが。スタッフが集まったら、企画やプロットを充実させようという態度は嫌われます。他人の仕事に口を出すだけのリーダーを認めるわけにもゆきません。メンバーが集まらなくても素材だけで完成させてやるくらいの心構えがあって、初めて人の目に留まります。
サウンドノベルを作りたい人というのは、多くの場合シナリオライター志望だと考えられますが、中には企画だけでプロットやシナリオすら外注という無茶苦茶な人もいました。壮大なRPGなら、企画だけという気持ちも分かりますが、サウンドノベル、いわば小説を作りたいというのに、物語のパートを他人にやらせるとは何事か。シナリオライターが読めない漢字とか、難解な単語を連発してきたら、ちゃんと読み砕けるのだろうか?
ゲームの案や物語の出だしなんてのは誰でも持っています。ゲームとして完成させたいならば、別のスキルが必要です。スキルが無い場合には、無償でも全員に仕事をやってもらえるカリスマ性、有償だと嘘をついて払わない詐欺性みたいなのでしか成立?しません。あるいは、全てをお金で解決
という手もあるでしょう。
いずれにしても、企画だけを用意し、無償で他の全てをやらせようとする状況は時間の無駄なので、そんな暇があれば、シナリオを書いてしまったり、開発ツールの使い方でも絵の描き方でもいいので勉強しましょう。中途半端な企画だけを用意した人の中には、「絵、スクリプト、音楽、シナリオは自分で担当するより、専門的なスキルを持った人に担当してもらい、いいゲームに仕上げたい」という言い訳をする人もいました。それで、キミはなにをやるの? と。その論理で行くと、企画やプロット自体を専門家に作ってもらった方が、格段に良くなる事になります。全て外注みたいな人がチームを纏められるはずもありません。リーダーには、何らかのスキルがあるからこそついてゆくのです。そもそも専門的な能力を持った人の誰かが、その程度の企画はできます。特にシナリオライターならば、企画を立てやすいです。つまり、企画だけを用意する人がいなくても、いいゲームはできます。サウンドコンポーザーの所でも話しましたが、特にサウンドのイメージを文章で相手に伝え、イメージ通りにさせるのは相当に難しいです。そんな日本語能力があるならば、ライターができます。
企画だけの用意でリーダーとしてゲームを作りたい場合には、他のスタッフは全て有償のつもりでゆきましょう。もちろん、開発リーダーとしてのスキルもないので、各メンバーに指揮ができ、コミュニケーションの得意な人(ディレクター)までも有償で雇い、ゲームとして纏めてもらいましょう。企画の詳細(設計書)やプロットすら、お金を出して作ってもらいましょう。そうすれば、中途半端な企画だけでもゲームが完成する可能性が出てきます。半端企画だけの人の仕事はディレクターとのコミュニケーションと予算管理だけです! もちろん、宣伝・広報や予算管理も得意のはずはなく、有償でやってもらって構いません。もはや、株主の域。えっ? お金がない? そんな事だろうと思ったよ。←途中からは筆者の皮肉・ジョークです
生徒だったり身体の不都合でもない限り、何万円かのお金なんてのはゲーム開発ツールやグラフィックツールを習得するよりも楽に集められるんじゃないだろうか? 生徒であっても、お年玉などの貯金が残っているならば、そのお金を出資したらどうだろうか? その程度のお金、アルバイトでもすればすぐに回収できるので自己投資をする意味はある。また、事情をよく説明すれば、親がそのお金を立て替えてくれるかも知れない。子供の趣味の能力や芸術性を伸ばすのだから。
なお、お金を出したとしても、リーダーにはコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が必要となる。むしろ、お金はチームを纏める練習をさせてもらう代償だと考えればいい。ノウハウを身に着け、実績を残せれば、次のステップに進める人も現れるはず。ちなみに、プロに頼むのでもない限り、有償だからといって確実に完成するわけでもないし、納得できる水準のものができるわけでもないので注意。
ゲームを作りたいけど企画だけがしたいなんて人は、自分の企画に似たゲームのプレイをすればいいだけで、開発をしようなんて思わない方がいい。あるいは、既にゲームを作っている人に、企画を無償で提供するくらいの気持ちになるべき。とはいっても、「こんなゲームをリクエストします」に等しく、やはり相手にされないのだけど。
ポイント:企画だけを作り他を無償で別の人にやらせようという行為は、どこかのサークルに「こんなゲーム作ってください。権利を持つリーダーは私で、ちゃんと言う事は聞いてくださいね。あっ、もちろん無償でお願いね。」という態度と全く同じ。
【完成ゲームの割合は低い】
ゲームを作りたいと考える人は、日本全国に無数にいる事だろう。そして、無料開発ツールをダウンロードして、チャレンジした人もいる事だろう。あるいは、企画だけを提示して、メンバーを募る人もいる事だろう。しかし、実際に公開されているフリーゲームの数を考えると、あまりに少ない計算になる。一人の人が複数のゲームを作っている事が通常で、ゲームを作れる人は一人で作るか絵描きを雇う程度で何作でも作れるが、他の多くの人はゼロという事になる。もちろん、元より非公開のつもりのゲームだってあるだろう。だが、公開しないつもりで完成しなかったゲームというのは更に多く存在し、そもそもの非公開の理由は完成していないからというのが大きい。たとえ、開発途中は非公開のつもりでも、完成したら公開するという選択肢が生まれるのだから。二次創作やエログロでも、そのジャンルとして公開すればいいだけで、別に非公開として隠す理由にはならない。非公開を含んだとしても完成率を上げる効果は無い。何が言いたいかというと、ゲームを完成させるというのは簡単な作業ではなく、ましてや企画だけを用意すればメンバーが集まって完成するなんて事は到底あり得ないのだ。
未完成の時点での体験版や物語の1章だけを、鼻息荒く公開してサーチなどに登録している人もいるが、ほとんどの場合、続きが登場しない。体験版というのは、完成させてから一部だけを切り抜いて公開というのが本道であって、未完成の作品の体験版というのは、本来はあってはならないのだ。8割方の進捗ならともかく、オープニングだけの進捗で体験版というのも多い。また、8割進捗というのは実際には完成ではないというのは言うまでもない。全部で8章くらいあるとして、1章2章だけができたので公開する人間もいるが、「プレイしてもらいたい」という欲望だけが先走っているといえる。真に喜んでもらうには完成されていなければならない。未完成の面白いゲームというのは、それこそ無数に存在できる。続きはプレイヤーが極大に期待するからだ。
◇中学生でもゲームは作れているはず◇
ウディタという開発ツールの作品登録ページを見ると、完成したゲームが並んでいる。中には本当にイベントを並べただけというのもあるが、それでも一応の完成ゲームだ。勘違いしてはならないのだけど、その人達はちゃんと開発ツールを習得したから作れているのであって、開発ツールを勉強する努力すらせず、企画だけを提示しているのとはわけが違う。凝った企画や物語を練る暇があったら、開発ツールでイベントを並べる練習をする方がゲーム完成に近づいているというわけだ。ウディタならば、1画面を使いマップを作り、話しかけるとメッセージが出る程度の単純な仕組みを作るだけでも遥かに進んでいるのだ。だからこそ中学生であっても、ゲームを完成させている。
【締め】
さて、当ページはゲームの作り方よりも、ゲームを作れない要素の排除を重点的に述べていった。というのは、ゲームを作るためには、根気や技能が必要なのではなく、ゲームを作れない原因を排除する方が本筋だからだ。「自分は根気が無い」「自分にはスクリプトのセンスは無い」という想いをまず捨てる事が重要。なぜなら、「自分は根気が無い」「自分はスクリプトのセンスが無い」と思っている人が、ゲームを作れるわけがなく、本当に根気、センスがあるか以前の問題なのだ。
この3つの勇気がないようでは絶対にゲームは作れないし、想定せずに作り上げたとしても、直面したら即座に消滅する事になる。
管理人のゲームは雑誌掲載なども実現しているが、叩かれ具合も半端ではない。妖魔ハンターというデビュー作品はほとんど叩かれていないが、らんらん少女は無視されるのが辛かったし、怪盗ラフィンは非難の嵐、悲湯なんて無視やら難癖やら酷いもんだ。もちろん、全ての作品に「超面白かった」という感想もあるがそれ以外の話だ。また、悲湯にはニコニコムービーまで作った人がいるので、無視なんて事は無かったのだが、それまでは気づけなかった。
実はアマチュア小説の世界も同じで、批判などに耐える勇気などを得てこそ投稿できる。投稿小説と違い、ゲームのいい所は、ちょくちょく直せる所だ。ネットに投稿してしまった小説は、まずい所を発見しても直すわけにもゆかず、酷い感想がきたら、次の作品で活かすしかないのだ。なお、ライトノベルなどの小説家は、デビュー後にこそ目茶目茶に叩かれるらしい。要するに、叩いてる連中の多くは、自分もライトノベル作家志望で、何も完成できないか、ろくな物が書けないかの状態だからこそ叩く。同人ゲーム界隈とほとんど同じ状況といえる。
◆社会人・勤務者がゲームを作る方法◆ |
◆一人でゲーム作る方法 ◆ |
◇ことわざ◇
・ゲームを作れなかったら作れる人を中傷する外道に成り下がる
・無関心は悪評よりも堪える
◇テクニック◇
◆キャラクター設定でシナリオが決まる◆
キャラクター設定無しでシナリオを表現する方法は確かにあるが、通常はその手法での実現は難しい。また、プレイヤーによっては、シナリオがそこそこ面白くてもキャラクター設定が無いと物足りないなんてケースもあるので、素直にキャラクター設定をシッカリしてシナリオを構築する方法をお奨めする。実はキャラクターの設定が完璧ならば、キャラクターからストーリーは作れる。たとえプレイヤーにはキャラクター設定が伝わらなかったとしても、少なくともシナリオライターがキャラクターを深く理解していれば、面白いシナリオとなってゆく。
当サイトのゲームのキャラクターは全作品共通なのだが、仮に新しいゲームを作るにしても、テーマさえ決まれば、ほぼストーリーや配役が決まってしまう。キャラクターの設定に手間を払う事無く、惜しみなくシナリオを面白くできるというわけだ。
同人ゲーム開発コラム・その2へ……ゲームを完成させる方法
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